
- 売れない土地を相続したら考えなければならないこと
- 売れない土地を相続した場合の対策
【Cross Talk】バブルの頃に買った山奥の土地の相続ってどうすればいい?
先日父が亡くなり、母・兄・私で相続をすることになりました。父はバブルの頃に考えもなく不動産を購入していて、誰も使わないような山奥の土地を購入していました。バブルが崩壊し買い手がつかなくなってそのままになっていたのですが、相続の話し合いで私はこの土地を相続することになりそうなんです。
山奥の土地ともなると形式上は資産ではあっても、利用もできなければ固定資産税や管理が大変そうですね。かかるコストなどの話をしながら再考してもらうのが良いと思います。
詳しく相談させてください。
住宅に適した土地は売却できることが多いですが、逆に山の中にあるような土地は売却できないことも少なくありませんこのような差があるにもかかわらず不動産を相続するという意味では同じであり、使いやすい土地も売れない土地も同じ資産として扱われます。 相続の話し合いをする際、相続人の一人に売れない土地だけを渡すような提案をすると、本件の相談者のようにトラブルになることもあります。どのようなことを考えて相続手続きをすすめると良いのでしょうか?
売れない土地の相続で考えるべきこと

- 売れない土地を相続する場合に何が不利益なのか
一見資産を均等に分けているように見えているのですが、やはり不平等だと思うんです。じゃぁどう不平等なのか、ということを説明したいのですが…。
現金のような利用ができないことと、管理コストがかかるということを中心に考えてみましょう。
山奥にあって買い手がつかないような土地や、空き家になる実家や親族の誰かが使っているといった事情から売れない土地があるような場合に、相続ではどのようなことを考えておかなければならないでしょうか。
固定資産税や管理について
不動産は持っているだけでお金がかかる資産です。 不動産の所有者には固定資産税が課されることになっています。 固定資産税は、固定新税評価額に対して自治体が定めた税率(おおむね1.4%)をかけて端数調整を行った金額が課されます。 たとえば3,000万円の土地があった場合には年間36万円がかかることになります。 山奥で売れないような土地の場合、負担額が高額になることは少ないですが、不動産を相続する人は上記のような負担を強いられることになります。 また、不動産は管理をしなければなりません。 空き家や投資物件のような場合には、使えるようにするために維持管理の費用が必要です。 管理しないで放置していた場合、建物が崩れて他人に損害を与えるようなことがあれば、民法の不法行為責任を負う場合もあります。 山奥の土地を相続した場合でも、ゴミを不法投棄されると、撤去費用を所有者が負うことにもなりかねません。 こう考えると、すぐに使用できる現金を相続するのと、すぐに現金化できない不動産を相続することを、同様に捉えることはできないといえます。相続手続を放置するとどうなるか
では使えない土地があるからといって、これを放置しておくとどうなるのでしょうか。 相続をすると、法律上は相続分に応じた共有財産とされます。 だれも欲しがらない土地だからといってこれを放置すると、土地に関する責任は、相続分に応じて発生します。 登記をしなくても相続人は固定資産税を払う必要がありますし、土地の管理に関する費用も同様に支払う必要があります。 放置することは得策ではないといえるでしょう。売れない土地の相続についての対策

- 売れない土地を相続した場合の対策
- 売れない土地を遺贈された受遺者の対策
遺産に売れない土地があるような場合にはどうしたら良いでしょうか。
対策について確認しましょう。
では実際に売れない土地があるような場合の対策について見てみましょう。
売れない土地だけ相続放棄する…ということはできない
「売れない土地だけを相続放棄して、残りの財産を相続すればいいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、制度上、そのようなことはできません。 相続放棄は、相続放棄の申立てをした人を、相続時に遡って相続人ではなかったものとして取り扱う制度です。 そのため、特定の不動産だけを相続して、特定の不動産だけを放棄することは認められません。相続した場合の手続き
相続をした場合には、次のような手続きが必要です。 まず、遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作成します。 遺産分割の話し合いで、不動産を単独で相続する場合には、上述したような実質的な不公平がないかをきちんと検討しましょう。 不公平といえるようなケースでは、将来の不動産管理コスト等を考慮して、現金をほかの相続人よりも多くもらうことができないか、といった話し合いをした方が良いでしょう。 仮に、不動産を共有する場合には、固定資産税の納付書を管理するための代表者の届出を市区町村に行い、共同で不動産の管理コスト等を負担することになります。空き家になっているようなものがある場合には行政のサポートを受けることも
相続した不動産が空き家である場合、地方自治体によっては、空き家の売却・賃貸をサポートしてくれることがありますので、地方自体に相談するのもよいでしょう。遺贈をされてこまっているような場合には遺贈の放棄も検討する
遺贈によって不動産を受け継ぐようなケースもあります。 遺贈には、土地を指定して遺贈を行う特定遺贈というものと、遺産に対する割合で遺贈を行う包括遺贈というものがあります。 包括遺贈については、相続放棄と同じく原則3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があるので、包括遺贈で売れない土地や使わない土地を相続しそうな場合には,早めに手続きを行うようにしましょう。 特定遺贈の場合には、遺贈を承認しない限り、いつでも放棄することができます。まとめ
このページでは、売れない土地を相続する場合についてお伝えしました。 形式的には財産でも、所有していることでリスクを負うこともあるのが不動産です。 不動産を含む遺産分割協議がうまくいかないような場合には、弁護士に相談するのも良いでしょう。

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