1.遺言書には主に3つの種類がある

遺言書といっても、民法第967条以下でさまざまな方式の遺言書を用意しています。

特殊な状況において利用する特別の方式というものもありますが、通常用いるのは普通の方式

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

の3つの種類です。

2.自筆証書

自筆証書遺言とは、原則として全文・日付・氏名を自筆で記載する方式の遺言書です(民法第968条第1項)

2-1.メリット

自筆証書遺言は次のようなメリットがあります。

2-1-1.気軽に作成できる

自筆証書遺言は、後述する公正証書遺言や秘密証書遺言のように、公証役場を利用するものではないので、気軽に作成できます。

2-1-2.費用がかからない

公正証書遺言や秘密証書遺言は、公証役場を利用するものなので、手数料がかかります。

自筆証書遺言はこのような費用がかからない点はメリットといえます。

2-1-3.誰にも知られずに遺言をすることができる

公正証書遺言も秘密証書遺言も、証人2名の立ち会いが必要となります。

そのため、遺言をしたことを認識している人がいる状態になります。

自筆証書遺言は証人の立ち会いなど他人の関与なく作成することができるので、誰にも知られずに遺言をすることができます。

2-2.デメリット

一方で、自筆証書遺言には以下のようなデメリットがあります。

2-2-1.様式が厳しく無効となる可能性がもっとも高い

自筆証書遺言は、自分一人で作成することが可能であり、公証人や弁護士などの関与なしに作成することが可能です。

一方で、自筆証書遺言には厳しい法律的な要件があり、これを満たさない場合には遺言自体が無効とされてしまいます。


細かい規定を知らずに作成したために、遺言書が無効となってしまう可能性がもっとも高いといえます。

2-2-2.検認手続きが必要である

自筆証書遺言は、相続開始後に「検認」という手続きが必要となります(民法第1004条)。

この手続きには2ヶ月くらいの期間がかかるため、手続に時間がかかります。

参照「保管と検認」

2-2-3.誰にも発見されない可能性がある

自筆証書遺言のメリットである、誰にも知られずに遺言をすることができる、という点の裏返しなのですが、せっかく作成した遺言書を誰にも発見されない可能性があります。

2-2-4.争いになりやすい

自筆証書遺言は、筆跡は本人のものなのか・本当に本人の意思で記載したのか・偽造されたものではないのか、などの理由で争いになりやすい傾向にあります。

3.公正証書遺言

公正証書の形で遺言書を作成する遺言の方式が公正証書遺言です。

3-1.メリット

公正証書遺言を作るメリットには次のようなものがあります。

3-1-1.原本が確実に保管される

まず、原本が確実に保管されることになるので、遺言書の破棄や改ざんのおそれがありません。

3-1-2.検認手続きが不要

公正証書遺言については検認手続きが不要です(民法第1004条第2項)。

3-1-3.自書ができない場合でも作成できる

自筆証書遺言は遺言書の自書(全文を筆記すること)が要件になりますので、例えば手が不自由となった場合には利用できません。

公正証書遺言は、公証人と意思疎通ができれば作成ができるので、自書ができない場合でも利用ができます。

3-1-4.争いになりづらい

公正証書遺言は、作成をするのが法律のスペシャリストである公証人であり、弁護士などの専門家に依頼して作成することもあって、他の遺言書よりも信頼される傾向にあります。

そのため、争いになりづらいといえます。

3-2.デメリット

一方で、公正証書遺言には次のようなデメリットがあります。

3-2-1.費用がかかる

公正証書遺言を作成するには費用がかかります。

公証役場に収める手数料の他、1)証人2名を用意する費用、2)弁護士などの専門家に依頼する費用がかかります。

3-2-2.証人が必要である

公正証書遺言をするには証人2名の立ち会いが必要です(民法第969条第1号)。

知っている人に依頼をすれば遺言をしたことがわかってしまうことになりますし、専門家などの守秘義務のある人に依頼をするには1回につき1万円程度の費用がかかることになります。

3-2-3.撤回をするのにもう一度遺言をする必要がある

遺言の内容を撤回する場合、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、遺言書を破棄すれば撤回できますが(民法第1024条)、公正証書遺言の場合は原本が公証役場にあるため、破棄ができません。

そのため、違う内容の遺言をする場合には、遺言を撤回する旨の遺言をしたり(民法第1022条)、抵触する内容の遺言をする(民法第1023条)などの必要があります。

4.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、公証役場で公証人の前で遺言書を封印する方法で行う遺言です。

4-1.メリット

秘密証書遺言には次のようなメリットがあります。

4-1-1.自書の必要はない

秘密証書遺言は、自筆証書遺言のように全文を筆記できなくてもかまいません。

ワープロで作成をしてプリントアウトしたものでも効力が発生します。

4-1-2.遺言書の内容までは見られない

秘密証書遺言は公正証書遺言と同様証人2名を必要とします(民法第970条第1項第3号)。

ただし、公正証書遺言は遺言書の内容を証人にも読み聞かせる必要がありますが(民法第969条第3項)、秘密証書遺言は手続きの中で遺言書の内容までは確認しません。

4-2.デメリット

秘密証書遺言は次のようなデメリットがあります。

4-2-1.費用がかかる

公正証書遺言ほどではありませんが費用がかかります。

4-2-2.証人2名が必要である

公正証書遺言と同じく、秘密証書遺言の場合にも2名の証人が必要です。

4-2-3.遺言書は自分で保管する必要がある

遺言書については自分で保管するのが基本となるため、紛失・盗難の可能性があります。

4-2-4.検認手続きが必要

秘密証書遺言書も検認の手続きが必要となります。

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遺言作成に関するよくある質問

遺言書は3種類あります。 1つ目が「自筆証書遺言」、この方式は全文を自書(財産目録は自書でなくても問題ありません)する遺言形態になります。注意点としては法定の要件を全て充たす形式で作成されていないと無効になってしまいます。 2つ目は「公正証書遺言」です。公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。メリットは公証人の関与により正確に遺言者の意思を反映できる点、保管をしてもらえるため偽造を防ぐことができる点があります。 デメリットは手続きが複雑である点と、手数料やその他費用が掛かる点、証人が2名必要になりますので内容が証人に知られてしまう点です。 最後に「秘密証書遺言」になります。 メリットとしては、遺言の内容を秘密にしたまま、遺言者本人が作成したことを証明できる点がありますが、デメリットとして手続が複雑、内容次第では無効になる等があります。
内容の変更は可能です。 すでに作成している遺言書を変更する場合は新たに遺言を作成するか、既にある遺言の内容を変更する必要があります。 変更する場合は変更内容を署名し、変更箇所に押印をします。変更方法で不備がある場合には無効となりますので注意してください。 なお、遺言書が複数ある場合、内容が低触している部分は日付が新しい遺言書の内容が有効となります。
家庭裁判所へ検認手続きの申し立てを行ってください。
家庭裁判所へ遺言執行者選任の申し立てを行って下さい。
見せられた遺言に疑いがある場合は、執筆鑑定の専門家に依頼して執筆者が本人でないことを証明していきます。 仮に遺言書が偽造だと発覚した場合、遺言が無効になることはもちろん、偽造を行った兄弟は「相続欠格」となり、相続人となることができなくなります。

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