養子縁組と相続との関係について詳しく解説します!
ざっくりポイント
  • 養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類がある
  • 普通養子縁組では養親側の血族も実親側の血族もともに相続人になる
  • 特別養子縁組では実親側の血族は相続人にならない
目次

【Cross Talk】養子が亡くなったら誰が相続するの?

私は三人兄弟の長男ですが、三男は母方の親戚の養子になっています。先日、その三男が亡くなったのですが、三男の相続はどうなるのですか?

三男の配偶者や子がいなければ、養親や養親側の兄弟が相続人になります。 実親や実親側の兄弟が相続人になるかは、養子縁組の種類によってきまります。普通養子縁組の場合は実親や実親側の兄弟が相続人になる可能性がありますが、特別養子縁組の場合は実親や実親側の兄弟は相続人にならないのです。

養子の種類ですか。すぐに確認します。

養子と実親側との関係はどうなる?

養子縁組をすると、養親との間に親子関係が形成されます。その後に養子が死亡した場合、養子の遺産は誰が相続するのでしょうか?実親側が相続に関わることがあるのでしょうか?今回は、養子が亡くなった場合に誰が相続人になるのかについて詳しく解説します。

養子縁組とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 養子縁組とは人為的に親子関係を作る制度
  • 養子には普通養子と特別養子がある

養子縁組とはそもそもどんな制度なんですか?

血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を作り出す制度をいいます。養子縁組には、実の親との関係が残る普通養子縁組と、実の親との関係が断ち切られる特別養子縁組の2種類があります。

普通養子縁組(民法792条以下)

養子縁組とは、血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を作り出す制度を言います。 配偶者の連れ子と養子縁組をするとか、子どものいない親族と養子縁組をするなど、養子縁組は珍しいものではありません。

民法は、養子縁組について、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類の制度を設けています。 単に「養子」と言った場合、普通養子縁組のことを指すのが一般的です。 普通養子縁組をした場合、養親と養子との間に親子関係が生じる一方で、実親との親子関係も存続します。

特別養子縁組(民法817条の2以下)

これに対し、実親との親子関係が断ち切られるのが、特別養子縁組です。 経済的な困窮や虐待などの理由から、実親による養育が著しく困難又は不適当である場合に、実親との関係を終了させ、養親との親子関係のみを認めるという制度です。

「親子の縁を切る」「勘当する」等といった言葉がありますが、民法には実の親子関係を終了させる制度はなく、特別養子縁組が唯一の例外となります。 そのような重大な結果を伴うことから、特別養子縁組は、「子の利益のために特に必要があると認めるとき」に限ってすることができるなど、厳格な要件を満たすことが求められています。

普通養子縁組において養子が死亡した場合の相続人の範囲

知っておきたい相続問題のポイント
  • 養親や養親側の兄弟姉妹のほか実親や実親側の兄弟姉妹が相続人になる
  • 養子の子は代襲相続する場合としない場合がある

普通養子縁組で養子が亡くなったら、だれが相続人になるのですか?

養子に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。配偶者以外は、子、直系尊属(父母、祖父母など)、兄弟姉妹の順に、先順位に当たる者がいないときに相続人になります。普通養子の場合、父母や兄弟姉妹は、養親側だけでなく実親側も対象になります。

配偶者、子

相続人には、配偶者相続人と血族相続人の2種類があります。 配偶者相続人とは、被相続人の配偶者のことで、配偶者は常に相続人になります(民法890条)。

血族相続人とは、被相続人と血のつながりがある相続人のことで、民法は血族が相続人になる順位を定めています。 まず、被相続人の子が第1順位です(民法887条1項)。 したがって、養子に子がいる場合は、この規定に従って子が相続人となるので、養親側や実親側との関係を考慮する必要はありません。養子の子が養子の相続開始以前に死亡していたときは、その子(養子から見れば孫)が相続人になり、これを代襲相続といいます(民法887条2項)。

なお、配偶者相続人は血族相続人と同順位とされるので、被相続人に配偶者と子がいる場合、配偶者と子が相続人になります。

養親と実親

養子に子や孫がいない場合、直系尊属(父母、祖父母など)が相続人になります(民法889条1項1号)。血族相続人について、血のつながりがあると説明しましたが、現実に血のつながりのある実親だけでなく、養子縁組によって親子関係が形成された養親も、ここでいう直系尊属に含まれます。 したがって、養親、実親ともに養子の相続人になります。

実親側の養子の兄弟姉妹、養親側の養子の兄弟姉妹

養子に直系尊属もいない場合(養親も実親もいない場合)、兄弟姉妹が相続人になります(民法899条1項2号)。 ここでいう兄弟姉妹も、実親側、養親側の区別はありません。

代襲相続は生じる

養子の相続については、代襲相続に注意が必要になります。

さきほど解説した通り、代襲相続とは本来相続人になるはずであった者が相続の開始以前に死亡していた場合にその者に代わって相続をすることをいいます。 しかし、代襲相続ができるのは、被相続人の直系卑属(子、孫など)に限られます(民法887条2項但し書き)。

「子どもの子どもは孫に決まっているじゃないか」と思われるかもしれませんが、養子の場合は一概には言えません。養子縁組は、あくまで養親と養子の間に人為的に親子関係(血族関係)を作り出すもので、養親と養子の血族との間に親族関係は生じません。 たとえば、養親と養子の実親側の兄弟姉妹との間には親族関係は生じない、と言えばイメージしやすいでしょうか。

ここでいう血族には、養子の子も含まれます。 したがって、養子縁組をする前に養子となる者に子どもがいた場合、養子縁組をしても養親と養子の子との間には親族関係は生じない、いいかえれば養子の子は養親の直系卑属ではない、ということになるのです。 これに対し、養子縁組をして養親と養子との間に親子関係が形成された後に養子に子どもが生まれた場合、養親から見れば実子が子どもを産んだ場合と同じですから、養子の子は養親の直系卑属ということになります。

このように、養子に子どもが生まれるのが養子縁組の前か後かによって、養子の子が代襲相続できるかどうかが変わることに注意が必要です。

特別養子縁組において養子が死亡した場合の範囲

知っておきたい相続問題のポイント
  • 特別養子縁組は実親との関係が切れる
  • 実親側の血族は相続人にならない

特別養子が亡くなった場合は誰が相続人になるのですか?

特別養子に配偶者、子どもがいた場合は、普通養子と同じように配偶者、子どもが相続人になります。 子どもがいない場合、直系尊属、兄弟姉妹の順に相続人になることにかわりはありませんが、ここでいう直系卑属、兄弟姉妹は、養親側に限られます。

配偶者、子

配偶者は常に相続人になること、血族相続人の第1順位は子であることは、特別養子の場合でも同様です。したがって、特別養子に配偶者、子がいる場合、配偶者と子が相続人になります。

特別養子と実親との関係

養子に子がいない場合、直系尊属が相続人になります。 ただし、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了するので(民法817条の9本文)、ここでいう直系尊属は養親側に限られ、実親は相続人にはなりません。

特別養子と実親側の兄弟姉妹との関係

養子に子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。 ただし、特別養子縁組により実親側の兄弟姉妹との関係も終了していますから、ここでいう兄弟姉妹も養親側に限られ、実親側の兄弟姉妹は含まれません。

まとめ

養子が死亡した場合の相続について解説しました。相続人が一人でも欠けると遺産分割協議が無効になってしまうので、誰が相続人になるかをきちんと確認したうえで遺産分割協議を進めるようにしてください。

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