内縁関係にあった人には相続権は無くても特別縁故者として遺産を譲り受けることができることもある
ざっくりポイント
  • 相続人がいない場合には原則として相続財産は国のものになる
  • 生前に被相続人の生活に深いかかわりをもっていた人については「特別縁故者」として遺産を譲り渡すことがある
  • 「特別縁故者」として財産を譲り受けるための手続を知る
目次

【Cross Talk】相続権のない人が遺産をうけとることができる「特別縁故者」という制度を知ろう

私は夫と内縁関係にあったのですが夫が先日亡くなりました。夫には兄弟や親、その他相続権をもっている親戚がいないようで、この場合遺産ってどうなるのでしょうか。私がもらえる可能性ってないのですか?

相続人がいない場合には相続人の不存在となり、内縁の方であれば「特別縁故者」として遺産を譲り受けることができる可能性があります。

内縁の妻など相続人でない人が遺産を受け継ぐことができる「特別縁故者」について把握しよう

被相続人が亡くなり、相続人がいない場合、遺産は最終的に国に帰属することになります。もっとも、相続人が不存在でも、例えば内縁の妻など、被相続人が生活をしていく上で特別な関係にあった方がいる場合もあります。 このような場合に、特別な関係にあった方に対して、家庭裁判所が遺産の全部又は一部を与える制度のことを「特別縁故者」といいます。このページではどのような人が特別縁故者にあたるか、特別縁故者としてもらうための手続についてお伝えします。

特別縁故者とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人がいない場合には最終的には相続財産は国のものになる
  • 被相続人の療養看護などで特別な関係があった場合には「特別縁故者」として遺産を受け継ぐことができる

そもそも「特別縁故者」とはどのような制度なのでしょうか。

相続人がおらず、遺産を受け取る人がいない場合、遺産は最終的に国のものになります。しかし、被相続人と内縁関係にあった人物や、被相続人を長年療養していた人物がいる場合、そのような方々に遺産を分け与えることが被相続人の意思に合致する場合もあります。 このような場合に、被相続人以外の人物に遺産の全部又は一部を与える制度のことを「特別縁故者」といいます。

「特別縁故者」とはどのような制度なのでしょうか。 相続人がいない場合には、相続財産は様々な手続を経て国庫に帰属する(=国のものになる)とされています(民法第959条)。 相続人がいないという事態は珍しいことではありません。親や兄弟などがすでに亡くなっており法律上の相続人がいない場合はもちろん、相続人が相続放棄をしたことで、相続人が一人もいなくなった場合にも発生します。 このように相続人がいない場合、遺産を受け取る権限のある人がいないので、遺産は最終的には国庫に帰属します。

もっとも、被相続人の内縁関係の妻がいたり、被相続人の息子の妻が被相続人の療養看護をしていたような場合、遺産を国庫に帰属させるよりも、このような方々に財産を与えた方が被相続人の意思に合致すると考えることができます。 このような場合に、被相続人と特別な関係にあった者に対して、遺産の一部又は全部を与えることを特別に認めたものが「特別縁故者」という制度です(民法第958条の3第1項)

特別縁故者の範囲

知っておきたい相続問題のポイント
  • 誰が特別縁故者になるのか

では被相続人とどのような関係にあれば、「特別縁故者」になるのですか?

どのような人が特別縁故者になるかを確認しておきましょう。

特別縁故者に該当するかどうかは、家庭裁判所が個別具体的な事情に応じて判断することになりますが、民法第958条の3第1項は、以下の3つの類型のいずれかに該当する場合には、遺産の一部または全部を与えることができるとしています。

被相続人と生計を同じくしていた者

まず、被相続人と生計を同じくしていた者については特別縁故者に該当する可能性があります。 内縁関係や事実上の養子関係にあるような場合には、被相続人の生活を支えるために金銭の支出をしていたというような事もあることから、特別縁故者となりえます。

被相続人の療養看護に努めていた者

被相続人が亡くなる直前、被相続人の療養や看護のために付き添ったりしている人がいる場合もあります。 そのような人たちは私生活を犠牲にして被相続人に貢献しているので、特別縁故者として認められる場合があります。 介護士・看護師などが有償で療養をしている場合、原則として特別縁故者には該当しません。

その他被相続人と特別の縁故のあった者

被相続人が生前どのような生活をしていたかは多種多様で、個別具体的に判断すると上記2つと同じくらい密接な関係といえるのであれば、遺産を分け与えるのが相当である場合もありますので、民法は、「その他被相続人と特別の縁故のあった者」についても特別縁故者に該当する余地を残しています。 具体的には、被相続人から生前に財産を譲りたいと言われていた場合や、身元保証人となっていた場合が挙げられますが、個別具体的な判断になりますので、必ずしも特別縁故者に該当するわけではありません。

特別縁故者になるための手続

知っておきたい相続問題のポイント
  • 特別縁故者になるための手続

内縁で15年にわたり被相続人と一緒に暮らしていた私は特別縁故者の要件にあてはまりそうなのですが、特別縁故者になるためにはどのような手続があるのですか?

相続財産管理人選任の手続きを経た後に、特別縁故者の申立てをする必要があります。

特別縁故者になれるような場合、どのような手続が必要なのでしょうか。

相続財産管理人選任にかかわる手続

特別縁故者は、相続人がいないことを前提とした制度になりますので、相続人が不存在であることを確定させる手続が必要になります。 相続人の不存在を確定させるためには、民法第951条以下の「相続人の不存在」についての手続をとる必要があります。 その手続をするためには利害関係人として相続財産管理人を選任してもらう必要があります。 相続財産管理人は、裁判所に対して申立てを行う手続です。

特別縁故者の申立て

相続財産管理人が選任された場合、本当に相続人がいないかを確認するために相続人の捜索(民法958条)を行うことになります。 相続人を捜索するためには公告という方法が用いられます。 これは「官報」という国が発行する媒体に被相続人の死亡を掲載して、一定期間内に相続人であるならばその権利を主張するように告知することをいいます。

公告の期間内に相続人が名乗り出てこなかった場合には、期間満了から3ヶ月以内に、特別縁故者として家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が相当と認めて決定をすれば特別縁故者となることができます。 この決定の際に、どの程度の貢献があったかを考慮して何パーセントの資産を譲るかについても決定されます。

特別縁故者の申立てに時効はある?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 特別縁故者の申立てには時効はないが期間制限はある

特別縁故者になるための申立てには時効はありますか?

民法で規定している時効というものではありませんが、上述したとおり、公告から3ヶ月以内という期間制限があるので気を付けましょう。

特別縁故者として申立てができる権利は時効によって消えるのでしょうか。 時効というと、必要な期間の経過と消滅によって利益を得る側からの援用によって行われるので、そのような制度は特別縁故者にはありません。 しかし、上述したとおり、相続人捜索のための広告が終了してから3ヶ月以内に申立てをすべきという期間制限があるという事は知っておきましょう。

特別縁故者には相続税が発生する?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 特別縁故者として財産を引き継いだときには相続税の対象になる

内縁の夫はかなりの額の資産を持っていたのですが、相続ではないので相続税はかからないですか?

いいえ、この場合にも相続税がかかり2割の加算があるので注意をしましょう。

特別縁故者として財産を引きついだ場合、相続税の基礎控除額を超えるような遺産があるような場合には、相続ではないものの相続税の対象となります。 この時に相続人ではない人が課税の対象になる場合2割加算という制度の対象になるのに注意しましょう。

まとめ

このページでは、特別縁故者という制度についてお伝えしてきました。 相続人がいない場合の規定であり、内縁の妻のように法律上の相続権がないような人が引き継ぐことを認める規定であることを知っておきましょう。 手続としては、相続に関しては相続人の不存在を確認するための手続を踏み、その上で、裁判所に対して特別縁故者の申立てを行う必要があります。

この記事の監修者

弁護士 水本 佑冬第二東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 消費者委員会幹事
一つひとつの案件が、ご依頼者さまにとって重大な問題であることを忘れずに、誠実に職務に取り組みます。

法律問題について相談をする

初回相談無料

電話での予約相談

(新規受付:24時間対応中) 0120-500-700

相続手続お役立ち資料のダウンロード特典付き

資料ダウンロード

相談内容

資料ダウンロード