相続回復請求権の手続きについての詳細を知ろう
ざっくりポイント
  • 相続回復請求権とは
  • 相続回復請求権の行使方法
  • 相続回復請求権の時効
目次

【Cross Talk】子じゃない人が子だと名乗って相続した!相続回復請求権は使えますか?

先日父が亡くなり、母・兄・私で相続をすることになりました。実は兄は父の生前に父の財産を何度も無断で着服したことがあり、相続排除の審判まで受けていたのですが、「家は自分が相続する」と母を追い出して自宅をそのまま使っているという状態です。このような場合にはどうすれば良いのでしょうか?

相続回復請求権という権利があります。

詳しく教えてください。

相続財産を取り返すための特殊な権利である相続回復請求権

相続人ではないのに相続人であるとして遺産に対する権利を行使している人に対して行使する特殊な権利として、相続回復請求権という権利があります。聞きなれない権利であるのですが、遺産が不当に使われているときに、これを取り戻す強力な手段になります。

相続回復請求権とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続回復請求権とはどのような権利か
  • 誰が誰に対して請求する権利か

相続回復請求権ってどのような権利なのでしょうか。

表見相続人という相続人ではないのに相続人のようにふるまっている人に対して、本当の相続人(真正相続人)が相続財産の回復をする権利です。

相続回復請求権の内容について詳しく見てみましょう。

相続回復請求権の意味

相続回復請求権とは、本当の相続人ではないにもかかわらず、相続人であるとして遺産を管理したり処分した者に対して、遺産を取り戻すために行使する請求権をいいます。 もちろん、遺産の権利者ではない者が権利者として遺産に対する権利を行使している場合には、個々の財産について返還請求をすることができます。 そのような権利とは別に、個々の財産を特定せずにまとめて取り戻しを請求する権利であるとされているのが相続回復請求権です。

相続回復請求権を行使できる者の範囲

相続回復請求権を行使できるのは、本来は相続人である者で、法律用語では真正相続人といわれています。 真正相続人が未成年者・成年被後見人などの制限行為能力者である場合には、法定代理人がかわってこれを行います。

相続回復請求権の相手方である表見相続人

相続回復請求権の相手方として、真正相続人からの請求を受ける人のことを表見相続人と言います。 その例としては以下の者が挙げられます。 ・ 相続欠格に該当する人 ・ 相続人の廃除をされた人 ・ 事実と異なる出生届け・認知届によって子として相続をした人 ・ 配偶者・養子として相続人になったが、婚姻・養子縁組が無効であった これらの者は、現状相続人として手続きができていても、民法では相続人となることができませんので、相続回復請求権の対象となります。

相続回復請求権の相手方になりうる共同相続人

複数の相続人で共同相続をしている場合でも、その相続人が自分の相続分を超えて遺産を利用しているような場合があります。 遺産の一部に自分の持分はあっても、その持分を超えて利用している部分については、全く権利のない表見相続人と同様であると評価することができます。 そこで、このような場合でも、相続回復請求権を行使することが可能であると最高裁が判断をしています。 この点については後述する時効との関係でも問題になるため、あわせて確認してください。

相続回復請求権と遺留分侵害額請求権との違い

遺産を手に入れた人に対する請求権として「遺留分侵害額請求権」があります。 遺留分侵害額請求権は、遺言・生前贈与の結果、相続人の遺留分が侵害されたときに、遺留分に相当する金銭を請求するための規定です。 遺言・生前贈与がある場合の争いが遺留分侵害額請求権であって、相続人ではない人が遺言もなく勝手に遺産を管理・処分している状態を是正するのが相続回復請求権です。 二つの権利は適用場面が異なるので注意が必要です。

相続回復請求権の行使方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続回復請求権の行使の方法

続回復請求権はどのようにして争うのでしょうか?

任意の請求・裁判上の請求があります

相続回復請求権の争い方について確認しましょう。

相手方に直接請求する方法

まず、相手方に直接請求をする方法です。 相続回復請求権の行使方法について法律で定めるものはありません。 ですので、電話・メールなどを使っても良いです。 しかし、現実には後述する時効との関係もあるため、請求したこと自体やその日時が証明できる、内容証明郵便を利用するのが一般的です。 交渉自体は電話・メール等を使ってもよいです。 遺産の返還に合意した場合にはきちんと書面を取り交わして、期限を決めて返還させます。

裁判所に申し立てる方法

任意の交渉では相手が応じない場合には裁判を起こします。 相続にまつわるものについては調停を利用するイメージがある方も多いと思うのですが、相続財産回復請求権は調停ではなく民事裁判で争われます。

相続回復請求権の時効

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続回復請求権には時効がある
  • 悪意の相手方の時効主張についての判例

相続回復請求権を行使したいのですが、相続開始からどれだけ時間が経っていてもできるのでしょうか?

時効により消滅してしまうことになります。適切な手段で時効の完成を阻止しましょう。

相続回復請求権は次のケースで時効にかかります。 ・ 相続権の侵害を知ったときから5年 ・ 相続開始から20年(除斥期間) 時効の規定があるからといって、請求する側としては何らの対策も打てないわけではなく、内容証明を送り時効の完成猶予をして、裁判を起こせば時効が更新されます。 これにより相続回復請求権が消滅時効にかかることを防止できます。 共同相続人が自分の相続分を超えて管理・利用しているようなケースでも相続回復請求権を行使できることは前述したのですが、この請求権の適用によって、表見相続人は5年で時効にかかるという主張ができてしまうように思えます。

しかし、最高裁判所は昭和53年12月20日の判決で、時効の規定が適用されるのは時効の主張者が善意・無過失のときだけであるという判断をしています。 共同相続人の一人が、自分の相続分を超えて遺産を管理・処分していることを知っているような状況で、他の相続人から相続財産回復請求権を行使されたときに、5年の期間をすぎたからといって時効の主張は許されない、とされています。 その結果、いままで一人で利用していた分も含めて遺産分割協議を行うことになります。

まとめ

このページでは、相続財産回復請求権についてお伝えしてきました。 適用されるのがレアなケースになるので、権利が使えるかどうかも含めて弁護士に相談をするようにしましょう。

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この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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