相続放棄の手続や必要書類を詳しく解説いたします!
ざっくりポイント
  • 相続放棄をすれば相続人にならない
  • 相続放棄の必要書類は誰が相続人になるか(被相続人と相続人の関係)によって異なる
  • 相続人がまとめて相続放棄をすれば共通の書類は1通で足りる
目次

【Cross Talk】借金を相続したくない!相続放棄をするにはどうしたらいい?

先日、兄が亡くなりました。兄は独身で子どももいなかったので私たち兄弟で相続することになりましたが、どうやら兄には多額の負債があったようです。どうすればいいでしょうか?

借金を相続したくないのであれば、相続放棄をすることをおすすめします。相続放棄は各相続人が単独で行うことができますが、相続人がまとめてする場合には、一部の必要書類を省略することができます。一度、ご兄弟で相続放棄について話し合ってみてはいかがでしょうか?

わかりました。さっそく話してみます!

相続放棄の手続とは?相続人がまとめてした方がいい?

被相続人が債務超過である場合など、相続人が相続放棄をすることは珍しくありません。 ただ、相続放棄という言葉は聞いたことがあったとしても、実際の手続についてはよく知らないという方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、相続放棄の手続について、相続人ごとに必要となる書類、書類の提出方法、提出後の流れ等を解説します。

相続放棄の必要書類

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続放棄の施術所や戸籍謄本などは共通で必要になる
  • 相続人であることを明らかにするための書類は誰が相続人になるかによって異なる

相続放棄をしたいのですが、どんな書類を準備すればいいのですか?

まず、相続放棄の申述書、被相続人の住民票除票または戸籍の附票、相続放棄をする方の戸籍謄本は必ず必要になります。また、手続に係る費用として、収入印紙と郵便切手も準備しなければなりません。 そのほかに、相続放棄をする方が相続人にあたることが分かる資料が必要になりますが、これは誰が相続人になるかで変わってきます。

共通で必要な書類

相続放棄をする場合に共通で必要な書類(必ず提出しなければならない書類)として、

・家庭裁判所に宛てた相続放棄の申述書
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・相続放棄する者の戸籍謄本

があげられます。

住民票除票または戸籍附票が必要になるというのがわかりにくいかもしれませんが、これらの書類が必要になるのは、相続放棄を扱う裁判所は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所と定められているからです。
また、相続放棄をするには、家庭裁判所に収入印紙800円分と郵便切手(各裁判所によって異なるので事前に確認が必要です)を納めなければなりません。

相続放棄をするには、これらの書類以外にも、相続放棄の申述者が相続人にあたることを明らかにする書類が必要になりますが、具体的にどのような書類が必要になるかは、誰が相続人になるかによって異なります。

相続放棄する者が被相続人の配偶者の場合

被相続人の配偶者が相続放棄をする場合、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本があれば足ります。
被相続人の配偶者は、常に相続人となるので(民法890条)、被相続人が死亡したことと、被相続人と婚姻関係にあることが確認できれば十分だからです。

相続放棄する者が被相続人の子どもまたはその代襲者の場合

配偶者以外の相続人は、相続人になる順位が定められています。 具体的には、子ども(及び代襲者)が第1順位、直系尊属(父母、祖父母など)が第2順位、兄弟姉妹が第3順位で、先順位の相続人が一人もいない場合に後順位の者が相続人になります(民法899条)。
被相続人の子どもは第1順位にあたり、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本及び相続人の現在戸籍があれば、相続人であることが確認できることが多いです。

なお、被相続人の相続開始以前に被相続人の子どもが死亡している場合があります。そのような場合に、被相続人の子どもに子ども(被相続人からみれば孫)がいた場合、被相続人の子どもに代わって被相続人の孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。 代襲相続人は、被相続人の子どもと同様、第1順位の相続人になります。

代襲相続人が相続放棄をしようとする場合、共通する書類である申述者(代襲相続人)の戸籍謄本や被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本だけでは、代襲相続に関する事実の確認ができません。
そのため、代襲相続人が相続放棄をする場合、被代襲者(本来の相続人である被相続人の子ども)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本も必要になります。

被相続人の孫も相続の開始以前に死亡していた場合、孫の子ども(曽孫)がいればその者が相続人となり(再代襲相続といいます)、上記書類に加えて代襲相続人(被相続人の孫)死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本も必要になります。

相続放棄する者が被相続人の父母・祖父母等の場合

被相続人に子どもや代襲者が一人もいない場合、第2順位の父母・祖父母といった直系尊属が相続人になります。一人もいない場合とは、もともといない場合だけでなく、相続の開始以前に全員死亡している場合もありえます。

そこで、被相続人の父母、祖父母が相続人となり、相続放棄をする場合、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本を集め、被相続人に子どもがいないかを確認する必要があります。
もし被相続人に子どもがいて、その子ども(及びその代襲者)が全て死亡している場合には、子ども(及びその代襲者)が全員死亡していることを確認しなければならないので、その子ども(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になります。

また、被相続人の父母、祖父母の親等異なる直系尊属がいる場合、親等の近い者だけが相続人になります。
そのため、親等の近い直系尊属が亡くなっているために相続人となる者(被相続人の父母が亡くなっていることから、祖父母が相続人となる場合など)が相続放棄をする場合、親等の近い直系尊属(上の例でいえば、被相続人の父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になります。

相続放棄する者が被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者の場合

被相続人に子ども(及びその代襲者)も直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
被相続人の兄弟姉妹が相続放棄するには、先順位である被相続人の子ども(及びその代襲者)も直系尊属もいないことを明らかにする必要があるので、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、被相続人の子ども(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合は、その子ども(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、さらに被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になります。

また、兄弟姉妹が相続開始以前に死亡していた場合、兄弟姉妹の子ども(甥、めい)が代襲相続します。
代襲相続人である甥、姪が相続放棄をするには、代襲相続の事実を明らかにするため、被代襲者(本来の相続人である兄弟姉妹)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になります。
なお、兄弟姉妹の相続の場合、民法887条3項(再代襲に関する規定)は準用されていないため、兄弟姉妹の子ども(甥、めい)が死亡していた場合には、その子どもが相続人となることはありません。

相続放棄を兄弟等でまとめて行う場合の必要書類

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続放棄はまとめて行うことができる
  • まとめて行う場合は共通する書類は1通だけで足りる

兄弟で話し合った結果、全員相続放棄をしようということで意見がまとまりかけています。これからどうすればいいですか?

もし意見がまとまるようでしたら、ご兄弟全員でまとめて相続放棄をすることをおすすめします。そうすれば、同じ書類は1通で済ませることができるからです。

相続放棄をするかどうかは、各相続人が決めることができます。
そのため、相続放棄は各相続人が単独で行うこともできますが、全部または一部の相続人がまとめて行うこともできます。その場合、同じ書類は1通で良いという扱いになっているので、相続人の人数分書類を集める必要はありません。

兄弟が相続放棄をする場合を例にとれば、相続放棄の申述書や収入印紙、切手は各相続人の分が必要になります。申述者の戸籍謄本も、各自のものが必要になることが多いでしょう(結婚などで兄弟と別の戸籍に入っていることが多いため)。

これに対し、被相続人の住民票除票または戸籍附票、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、被相続人の子ども(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合のその子ども(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本などは、同じ書類になりますので、1通で足ります。

相続放棄の必要書類の提出方法

知っておきたい相続問題のポイント
  •  裁判所に書類を持参する
  •  郵送で提出することもできる

必要書類はわかりました。書類がそろったらどうすればいいですか?

家庭裁判所に必要書類を持参するのが一般的ですが、郵送で提出することもできます。

家庭裁判所に出向く方法

必要書類が全て揃ったら、書類を持って管轄の家庭裁判所の窓口に出向くのが一般的です。
その場で書類の不備等を教えてもらえる可能性があり、速やかに対応できるというメリットがあります(例えば申述書に押印がなかった場合、印鑑を持っていればその場で押印することができます)。

郵送による方法

管轄の家庭裁判所が遠方であるなど、管轄の家庭裁判所に出向くことが難しい場合には、郵送で必要書類を提出して相続放棄の申述をすることも可能です。
ただし、郵送の場合、上記の持参の例と違って即座に対応することができないというデメリットがあります。

相続放棄の必要書類提出後の手続き

知っておきたい相続問題のポイント
  • 裁判所から送られてくる照会書に必要事項を記入して返送する
  • 相続放棄申述受理通知書が届く

裁判所に必要書類を提出すれば、それで相続放棄の手続は終わりですか?

いいえ。裁判所は、本当に本人の意思で相続放棄をするのかを確認するために、本人宛に照会書を送付することが多いです。この照会書に必要事項を記入し、裁判所に返送する必要があるのです。

照会書の受領・返送

相続放棄の申述書等の提出を受けた家庭裁判所は、申述者に対し、照会書を送付します。
照会書の内容は家庭裁判所によって異なりますが、被相続人の死亡をいつ知ったか、被相続人の遺産を処分していないか、相続放棄を自分でしたのか誰かに依頼したのか、相続放棄をするのは自分の意思か、相続放棄をするのはどのような理由によるのか、などを尋ねられるのが一般的です。
必要事項を記入して家庭裁判所に返送しましょう。
なお、相続放棄の手続きを弁護士に依頼した場合、上記の照会書は裁判所から弁護士に送られ、弁護士が回答すればよい、という運用になっている裁判所もあります。

相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書の受領

照会書の返送を受けた家庭裁判所は書類を審査し、問題がないと判断した場合は相続放棄の申述を受理し、申述者に対して相続放棄申述受理通知書を送付します。
通常はこれで相続放棄の手続は終了です。
被相続人に負債があった場合、被相続人の債権者が相続人に請求をしてくることがありますが、債権者に相続放棄申述受理通知書の写しを交付すれば、通常は請求を止めることができます。

ただし、なかには相続放棄申述受理通知書だけでは足りないという金融機関等があります。 その場合には、家庭裁判所に手数料150円を支払い、相続放棄申述受理証明書を発行してもらう必要があります。

相続放棄の注意点

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続放棄には期限がある
  • 相続放棄の撤回はできない
  • 相続放棄の再申請はできない

相続放棄について何か注意をすべき点はありますか?

相続放棄には期限があること、撤回ができないことなどが挙げられます。

相続放棄について注意をすべき事項は次の通りです。

相続放棄の期限

相続放棄には期限があります。
相続放棄は相続したことを知ってから3ヵ月以内に行うことが原則とされています。
もし、借金の調査などが間に合わない場合には、裁判所に期間の延長を申請することも可能です。
また、3ヵ月を超えてから借金があることが発覚したような場合には、3ヵ月以内に相続放棄できなかったことに正当な理由がある限り、相続放棄をすることが可能です。
この場合には、3ヵ月以内に相続放棄ができなかった正当な理由があることを、上申書という形で記載して提出する必要があるので、弁護士に依頼して行うようにしましょう。

相続放棄の撤回はできない

一度した相続放棄は撤回できないので注意しましょう。
相続放棄をすると相続人ではなかったという処理をして相続人になった人が相続の手続きをするので、相続放棄後に「やっぱり相続放棄をやめます」ということを認めることができないためです。

相続放棄の再申請はできない

相続放棄の再申請はできません。
相続放棄をしても、例えば期間を過ぎていた、既に遺産に手をつけていたなどで、法律上相続を単純承認したものとみなされるときには、相続放棄の申請をしても通りません。
この場合、条件を整えて再申請したいと考えても、法律上承認したものとみなされている以上は、あとからそれを覆すことができず、再申請はできないという仕組みになっています。

まとめ

このページでは相続放棄についてお伝えしました。
相続放棄については特に戸籍に関する書類で必要なものが多いことと、最後の注意点のところでお伝えしたとおり、遺産に手を付けてしまうと単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。
手続きに誤りがある結果、借金を相続するようなことが発生しないようにしたい、という場合には、弁護士に依頼するのが望ましいといえます。

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