相続法が改正された!いつから?今までと何が変わった?
昨今相次ぐ相続法の改正についてまとめてチェックしよう
ざっくりポイント
  • 配偶者保護のための改正
  • 遺言を活用するための改正
  • 相続に関係する者の公平を図るための改正
目次

【Cross Talk】相続法が改正されたらしいけど…どう変わったの?

私の相続について真剣に調べるようになりました。そうすると相続については最近大きな改正があったということをちらほら見ます。どのような改正があったのでしょうか?

重要な規定が新設されたり、様式が変わったようなものもあるので、改正点について主に3つの視点からお伝えしますね。

よろしくお願いします。

40年ぶりの改正?相続法の改正について知ろう
民法は様々な分野で改正が進んでいます。相続法に関していうと40年前と現在では時代が違うこともあり、必要な内容を改正したものがあります。改正内容と施行日がそれぞれ異なりますので、重要な点をしっかり確認しておきましょう。

相続法の改正は約40年ぶり

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続法を含む民法は古いもので改正の作業が進んでいる
  • 相続法の大きな改正は約40年ぶりになるもの

どうして相続法は改正されたのですか?

これまでの相続法は、現在の事情にあっていないということもあって、現在の事情に合わせた改正が進んでいます。

相続法は約40年ぶりの改正とされています。 相続に関する法律は、主に民法に規定されていますが、この民法は明治期に基礎が出来上がったもので、現在の事情にあっていないものを判例・解釈・運用といったものでやりくりしていました。 それを、現在の事情に合わせようとしたものです。 相続法については、戦後の新しい家族の在り方に沿った改正がされてから40年ぶりに改正がされました。

配偶者の保護を図る

知っておきたい相続問題のポイント
  • 改正の一つ目のポイントは、残されたもう一方の配偶者(生存配偶者)の保護
  • 配偶者居住権の新設がメイン

相続法の改正の一つ目の視点について教えてください。

一つ目の視点は、生存配偶者の保護をしようという点の改正で、配偶者居住権が主なものになります。

相続法の大きな改正の一つ目は、配偶者の保護についての規定です。

相続における配偶者居住権の創設(2020年4月1日施行)

大きな内容としては「配偶者居住権」という権利が新たに創設されたことにあります。 遺産に住居があるような場合に、遺産のうちのかなりの割合を不動産が占めるということがよくあります。 その結果、相続人が複数居るような場合には、不動産の価値が大きいため、残った現金など分けやすい資産だけでは、均等に分けられないことがあります。 相続人が円滑に相続をすることができる場合には問題ないのですが、相続人の利害が対立しているような場合には、自宅を売却することを余儀なくされるケースもあります。 配偶者居住権は、所有権の他に配偶者居住権という権利を新設することで、生存配偶者が住居を失わないように配慮をしたものです。 内容についての解説は「配偶者が居住していた建物を相続する場合の配偶者居住権を解説!」のページで行っているので、是非参照してください。 この規定は2020年4月1日から施行されています。

持戻し免除の意思表示の推定規定

相続法の改正により、持戻し免除の意思表示の推定規定が新設されました。 「特別受益」とは、被相続人から遺贈や生前贈与を受けた者(特別受益者)の利益をいい、遺産を決める際に、特別受益者の利益を遺産に加算することで、相続人間の公平を図るものです。 また、特別受益の持戻しの免除とは、特別受益者の利益を遺産に加算しないため、特別受益者はその利益を保持することができることをいいます。 内容についての解説は「相続の特別受益とその持ち戻しとは?学費や生命保険は含まれる?」のページで行っているので、是非参照してください。 例えば、遺産が2,000万円で、妻と子2人の3人が相続人であるような場合、妻が生前に1,000万円もらっていたような場合には、遺産を3,000万円と計算し、妻が1/2である1,500万円、子はそれぞれ750万円を相続するものとします。 その上で、妻がすでにもらっている1,000万円分を差し引けば妻が500万円、子は750万円ずつの計1,500万円と計算され、あわせて2,000万円の相続の分配ができるようになります。 このような処理のことを「特別受益の持戻し」と呼んでいます。 持戻しについて、被相続人が持戻しをしないで財産を計算してほしいという意思表示をした場合には、このような考慮を行わないで相続をすることになります。 つまり、妻に贈与した1,000万円については計算せず、遺産は2,000万円で妻が1,000万円子はそれぞれ500万円ずつ相続をします。 相続法の改正では、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が、他方に居住のための建物・敷地を遺贈又は贈与したときには、持戻しをしない意思表示をしたものと推定されることになりました。 これによって、生前贈与の持戻しによって不動産を売却せず、住居を確保できることが可能になりました。

遺言の活用を促進する

知っておきたい相続問題のポイント
  • 改正の一つ目のポイントは遺言の活用を促進するための制度
  • 自筆証書遺言の財産目録がパソコンで作成することが可能になった
  • 遺留分に関する規定が改正

相続法の改正の二つ目はどのような視点ですか?

遺言をもっと活用しやすくするため改正がされています。

相続法の改正の二つ目のポイントは、遺言の活用を促進するものです。

自筆証書遺言に添付する財産目録のパソコンでの作成が可能に(2019年1月13日施行)

自筆証書遺言は全文を自書するのが原則です。 しかし、遺産が多い場合に作成する財産目録については、パソコンで作成してもよいとすることで、負担を軽減する措置が取られています。 この改正は2019年1月13日に施行されています。

法務局での遺言書の保管が可能に(2020年7月10日施行)

自筆証書遺言は従来本人もしくは遺言執行者や、作成に関与した専門家が保管していました。 家族にも内緒で作成して、大事にしまっているような場合には、自筆証書遺言が発見されないような可能性があり、とはいえ人が認識できるようなところに置くと改ざんされるなどの危険がありました。 そこで、自筆証書遺言書を法務局で保管する制度が新設されました。 この改正は2020年7月10日に施行されています。 詳しい内容は「【令和2年7月10日スタート】自筆証書遺言書保管制度ってどんな制度?」こちらで解説していますので、参考にしてください。

遺留分制度の変更(2019年7月1日施行)

これまでの遺留分減殺請求では、遺留分権利者が意思表示をすれば遺留分を侵害する遺贈や贈与の効果がなくなり、これにより個々の財産について共有関係が生じることで、共有関係の解消をめぐって新たな紛争が生じるなど問題点がありました。 相続法の改正では、遺留分を行使する権利であった「遺留分減殺請求権」というものを、「遺留分侵害額請求権」という名称に変更をして、金銭債権としています。 遺留分については「遺留分とは?相続分との違いは?遺留分は親や孫にも認められる?」こちらで詳しく解説しておりますので参照してください。

相続に関係する者の公平を図る

知っておきたい相続問題のポイント
  • 改正三つ目のポイントは相続に関係する者の公平をはかる制度
  • 特別の寄与の制度が新設
  • 預貯金の払い戻し制度の新設

相続法の改正の三つ目の視点はどういったものですか?

相続に関係する人の公平を図るための制度です。

相続法の改正の3つ目は相続に関係する者の公平を図るための制度です。

特別の寄与制度の創設(2019年7月1日施行)

まず、「特別の寄与」に関する場合の規定が創設されました。 被相続人が生前家族に介護してもらっていて、ヘルパーを雇わなくてよかったような場合には、その分相続財産が確保されたといえます。 このような、被相続人の財産の確保に特別な関係があった人について、改正前はその人が相続人であった、場合には「寄与分」という制度によって配慮されていました。 しかし、被相続人の長男の妻が介護をしていたような事案では、長男の妻は相続人ではないので、妻の貢献は被相続人の相続では一切配慮されませんでした。 「特別の寄与」の制度によって、相続人以外の人でも相続人に対して特別寄与料の支払を請求できることになりました。 この制度は、2019年7月1日に施行されています。 詳しくは、「相続における特別寄与とは?金額は?いつまでに請求する必要がある?」こちらの記事で解説をしていますので参照してください。

預貯金の払い戻し制度の創設(2019年7月1日施行)

預金は被相続人が亡くなった段階で口座が凍結され、所定の手続きをとることで、相続人に支払われることになります。 しかし、亡くなった直後には葬儀などにお金がかかるほか、配偶者がその口座を生活資金の出し入れに使っているような場合に生活ができなくなるといった事態になりかねませんでした。 そのため、凍結前に預金を全て引き出してしまうような行為も見られ、他の相続人が追及できなくなるといったことも発生していました。 そこで、150万円を上限に払い戻しをすることができるほか、家庭裁判所が判断した額の払い戻しも認められることになりました。 この制度は2019年7月1日から施行されています。

まとめ

このページでは一連の相続法改正の概要についてお伝えしました。 新しく新設される権利・制度があり、遺留分のように制度自体が変わるものもあるので、心配なことがある場合には、弁護士に相談するようにしてみてください。

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