不動産相続登記にかかる費用と手続きを解説
ざっくりポイント
  • 不動産相続の手続きは、遺言書の有無を確認し遺産の把握・調査、遺産分割協議の後、相続登記という流れ
  • 不動産相続登記でかかる費用各種証明書類の取得費登録免許税専門家に依頼した場合は報酬が発生する
  • 不動産相続登記を専門家に依頼した場合6~8万円が相場だが、不動産の価額にもよる
目次

【Cross Talk 】不動産相続ではどのような手続きを行う?

父が亡くなり実家を相続する事になりそうです。まず何をすべきでしょうか?

お父様が遺言書を残しているか調べると同時に、全ての遺産の調査・把握をします。 遺産分割協議や遺言書の内容に従って相続人や分配割合を決め、相続登記を行います。

やるべき事が沢山あるのですね。詳しく教えてください!

不動産相続登記の手続きと登記費用、専門家への報酬について解説いたします

不動産相続登記では遺言書の有無の確認や遺産の調査・把握、相続登記などの手続きが必要となります。特に相続登記は手続きが難しくトラブルが起こりやすいため、専門家に代行を依頼する相続人は数多いです。「あらかじめどの位費用がかかるのか知りたい」という声も少なくありません。 不動産相続の手続きの流れと相続登記・専門家への依頼にかかる費用について解説いたします。

不動産を相続した場合の手続き

知っておきたい相続問題のポイント
  • 不動産相続では、遺言書の有無の確認、遺産の把握・調査、相続登記などの手続きが必要となる
  • 相続登記は必要書類を準備し、法務局に直接持参・郵送・オンラインのいずれかの方法を選ぶ

不動産相続での手続きを詳しく教えてください。

遺言書の調査の他に、被相続人の遺産全てを調べ把握する必要があります。遺言書や遺産分割協議によって分配割合・相続人を決め相続登記という流れです。

遺産分割

被相続人が亡くなった時に自動的に相続開始となります。 相続人は早急に遺言書の有無を確認しましょう。 遺言書は(1)自宅や銀行の貸し金庫など被相続人が保管している、(2)法務局、(3)公証役場のいずれかに保管されている可能性があります。

(1)被相続人が自ら保管している際には生前に本人からの伝言や遺品整理で見つけるケースが多く、遺言書の種類が自筆証書遺言である場合、家庭裁判所で「検認」という変造・偽造を防止するための手続きを行います。

(2)法務局で保管されている場合、被相続人は保管証を保有しているはずですが、紛失してしまう可能性もあります。管轄の法務局に遺言書保管事実証明書の交付を請求する事で補完されているか否かの確認が可能です。

(3)公証役場に1989年以降に公正証書遺言として保管されている際には、遺言検索システムを用いて確認する事ができます。 公証役場で公正証書遺言を作成した場合、その写しが自宅に保管されていることもあります。

遺言書を探すのと並行して、遺産を把握する必要があります。 遺産は被相続人が生前取引していた金融機関(銀行・証券会社・信用金庫など)・不動産会社・保険会社などに確認を取り全てを把握する必要があります。

調査に漏れがあると相続税に影響を及ぼし、申告漏れによる過少申告加算税の納付に繋がるおそれがありますので念入りな調査を行いましょう。

遺言書がある際には基本的に遺言書の内容に従って遺産を分割します。 ただ相続人の最低限の取り分である遺留分を侵害している、遺産分割協議で相続人全員が合意しているケースなどでは遺言書通りでなくても構いません。 遺産分割協議では相続人全員が協議に参加し、相続する方や割合・方法などを話し合いで決定します。 全員が合意した時には、後の手続きで必要となる遺産分割協議書を作成しましょう。

相続登記

不動産を相続する方は、法務局に不動産の所有権移転登記(相続登記)の手続きを行います。

相続登記の手続きで必要となる書類は相続人の順位や原因となる証書(遺言書または遺産分割協議書)によって異なりますが、基本的に以下の通りです。

<遺言書による相続>
遺言書
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本または住民票(本籍・筆頭者の記載有り) 申告者全員の住民票または戸籍の附票
<遺産分割協議による相続>
遺産分割協議書
遺産分割協議書に押された印の印鑑登録証明書全て
申告者全員の住民票または戸籍の附票
被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
法定相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人が父母・祖父母、兄弟姉妹(甥・姪)の場合…先順位法定相続人がいないことを確認できる戸籍謄本
法務局のホームページからダウンロードできる申請書と添付資料を法務局に直接持参・郵送・オンラインの3つの方法から選び申請します。

直接持参する場合には法務局の業務取扱時間(月~金曜日の8時30分から17時15分まで)に不動産登記の窓口に行きます。

申請書を郵送する場合、申請書はA4の用紙を使用し添付情報と一緒に左とじにします。申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載し、書留郵便により送付する決まりです。

オンラインによる申請は登記・供託オンライン申請システムで専用ソフトをインストールし手順に沿って手続きを行います。

オンライン申請は月~金曜日の8時30分から21時まで受け付けていますので、直接法務局に行く時間のない方でも申請が可能です。 ただオンラインでアップロードできる書類が限られており、添付書類を郵送しなければならない場合があります。

相続登記が義務化

2024年4月1日から施行される不動産登記法改正により相続登記が義務化されます。 不動産を取得した相続人に対し、取得を知った日(取得した日)から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられる予定です。

正当な理由のない申請漏れは10万円以下の過料の対象となりますので、不動産を相続する方は早めに手続きを行いましょう。

不動産相続登記にかかる費用

知っておきたい相続問題のポイント
  • 不動産相続登記にかかる費用には登記費用と専門家に依頼した場合の報酬がある
  • 司法書士への報酬は6~8万円が相場だが、弁護士に依頼した場合はトラブル対処も可能

不動産登記にかかる費用はどれくらいでしょうか?あと、実家にほぼ価値がないことが分かり、相続人の間で押し付け合いの状態になり困っています。

登記のみであれば6~8万円ですが、トラブルが起こりそうな時は弁護士にも相談したほうが良いでしょう。

手続き自体にかかる費用

登記にかかる費用には証明書類の取得費用、登録免許税、専門家に依頼した場合の報酬があります。

各種証明書の取得費用は以下の通りです。

証明書 費用
登記事項証明書
オンラインでも請求が可能です。
登記・供託オンライン申請システム(※1)
書面請求600円
オンライン請求・送付 500円
オンライン請求・窓口交付 480円
戸籍謄本・戸籍全部事項証明書
戸籍抄本・戸籍個人事項証明書
450円
印鑑証明書 300円
(※1)「登記・供託オンライン申請システム」はこちらから

土地の所有権移転登記手続きでは登録免許税を納める義務があり、計算式は「固定資産課税台帳の価格(課税標準額)×税率」となります。固定資産課税台帳は所在地を管轄する役所で閲覧でき、固定資産税評価証明書を取得することでも把握できます。

相続による所有権移転の登録免許税の税率は0.4%です。 ただ被相続人が登記を行っておらず2025年3月31日までの間に、被相続人を名義人とするために行う登記については、登録免許税を課さないこととされています。

また2025年3月31日までの間に、土地について所有権の保存登記または相続による所有権の移転登記を行う際に相続登記の促進を特に図る必要がある一定の土地であり、土地の登録免許税の課税標準となる不動産の価額が10万円以下であるときは、所有権保存登記または相続による所有権の移転登記については、登録免許税が課されません。

2022年4月1日からは、免税適用となる土地の価額の上限が100万円に引き上げられ市街化区域内に所在する土地も対象となります。

専門家に依頼した場合にかかる費用

不動産の登記は司法書士に依頼できます。

日本司法書士連合会が公表している「報酬に関するアンケート」調査結果で、「相続を原因とする土地1筆・建物1棟(固定資産評価額の合計1000万円)の所有権移転登記の代理・戸籍謄本など5通の交付請求・登記原因証明情報(遺産分割協議書及び相続関係説明図)の作成・登記申請の代理」における平均報酬が記載されています。

エリア 全体の平均
関東地区 65,800円
中部地区 63,470円
近畿地区 78,326円

相続登記を依頼する場合、6~8万円程度がボリュームゾーンとなります。 ただ不動産の遺産分割協議では相続人の間でトラブルが起こりやすくなっており、「まずは弁護士に相談する」というケースも多いです。

遺産分割調停に発展した際には、弁護士に依頼する事で法律の専門家としての相談、遺産に関する資料提出や法律的な意見を示してもらう事が可能です。

遺産分割調停に関して依頼した場合、着手金は30~50万円程度が約7割、報酬金は100万円前後がもっとも多くなっています。

不動産相続登記を専門家に依頼するメリット・デメリット

不動産の相続登記を専門家に依頼するメリットは、相続登記の手間と時間を省けることです。

相続登記は必要書類の収集や登記の手続きなどの手間がかかります。 特に戸籍謄本の取得は被相続人が生前複数の場所に居住していた場合、収集する戸籍謄本が多くなり、場合によっては取り寄せの必要性が生じます。 専門家に依頼することで登記に関する手間と時間はかからなくなります。

デメリットは費用がかかる点です。上記の費用の目安を参考に専門家への依頼を検討しましょう。

まとめ

相続における不動産登記では遺言書の有無の確認や遺産分割協議、相続登記などの手続きが必要となります。 専門家に登記手続きの代行を依頼することで手間や時間を省く事が可能ですが、費用がかかります。 遺産の中に不動産がある場合には相続人の間で意見が別れることが多いため、トラブルに発展しそうな場合は弁護士への相談をおすすめします。

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この記事の監修者

弁護士 手柴 正行第二東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 法教育委員会委員
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