被相続人の生前に合意した、遺産分割協議の効力について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 被相続人の生前遺産分割協議をしても法的な効力はない
  • 生前相続放棄をすることはできない
  • 生前でも遺留分の放棄は可能
目次

【Cross Talk 】生前に行った遺産分割協議の効力はあるの?

相続争いを防止するために、被相続人の生前に遺産について協議しておきたいです。法的に問題はありますか?

被相続人の生前に遺産分割協議を行い合意をしても、法的な効力は生じません。被相続人に遺言書の作成を依頼するなど、他の方法を検討しましょう。

生前に遺産分割協議をしても、法的な効力はないんですね。他の方法についても詳しく教えてください!

被相続人の生前に遺産分割協議の合意をした場合について解説。

被相続人の生前に、遺産をどのように分割するかについて推定相続人が話し合うことがあります。 遺産分割協議は相続が開始したあとに行われるものですが、被相続人の生前に行った遺産分割協議について、法的な効力が認められるかは気になるところです。 そこで今回は、被相続人の生前に合意した遺産分割協議の効力について解説いたします。

生前に合意した遺産分割協議には効力がない

知っておきたい相続問題のポイント
  • 生前に遺産分割に合意しても法的な効力はない
  • 生前に相続放棄をすることはできない

被相続人の生前に遺産分割協議をしたのですが、被相続人が亡くなれば効力が生じるのでしょうか?

被相続人の生前に遺産分割協議を行い合意しても、法的な効力は生じません。遺産分割協議はあくまで相続が発生した後の手続きです。

生前に推定相続人の間で合意した遺産分割に効力はない

被相続人の生前に推定相続人が遺産分割協議を行い合意したとしても、効力は生じません。

例えば、推定相続人として長男と次男がいる場合で考えてみましょう。 遺産として不動産と預貯金がある場合に、被相続人の生前に長男と次男が協議をして、長男が不動産を相続し、次男が預貯金を相続するとの合意をしたとしても、法的な効力は生じません。

遺産分割協議はあくまで相続人が行う手続きです。相続が発生していない以上、推定相続人は相続人ではありません。 また、被相続人の生存中は、被相続人の遺産をどのように処分するかは基本的に被相続人の自由であり、推定相続人が協議をしても、その内容に被相続人は拘束されません。

遺産分割は相続人となった人の合意で行う

遺言書がない場合、遺産分割は相続人の間で話し合いによって行います。 被相続人が遺言書を作成している場合は、基本的に遺言書の内容に従って遺産を分割します。 遺言書がない場合は、相続人全員で協議をして、誰がどの遺産を相続するかを決めなければならず、これを遺産分割協議といいます。

例えば、被相続人の遺産として800万円の不動産と500万円の預貯金があり、相続人が長男と次男の2人の場合で考えてみましょう。 相続人である長男と次男が遺産分割協議をして、長男が800万円の不動産を相続し、次男が預貯金を相続すると決めて、長男と次男が合意すれば遺産分割協議は成立します。

なお、遺産分割協議が成立するには、相続人全員で合意する必要があります。 相続人のうち1人でも協議に参加しなかったり、協議の内容に合意しなかった場合は、遺産分割協議は成立しません。

相続人となるのは被相続人の死後

相続人になるのは、被相続人が亡くなった日からです。

被相続人の生前、相続人になる予定の人を推定相続人と呼びます。 推定相続人とは、もし現時点で相続が発生した場合に、相続人として遺産を相続する人のことです。 推定相続人はあくまで推定されるだけであり、相続が発生するまでは相続人ではありません。

例えば、推定相続人が被相続人より先に死亡したり、離婚して配偶者の遺産の相続権を喪失したりした場合などは、推定相続人であっても相続人にはなりません。

生前に相続人の地位を無くすためには推定相続人の廃除が必要

被相続人の生前に、法的に相続人ではないものとする効果を生じさせるには、推定相続人の廃除という手続きが必要です。

推定相続人の廃除とは、推定相続人が一定の行為をした場合に、家庭裁判所に申立てをして、その推定相続人を廃除してもらう手続きです。 推定相続人の廃除が認められた場合、その推定相続人は相続人としての地位を喪失します。 遺産を相続できなくなるだけでなく、遺留分も請求できなくなります。

推定相続人の廃除が認められるには、以下のいずれかに該当しなければなりません(民法第892条)。

・被相続人を虐待したとき
・被相続人に重大な侮辱を加えたとき
・その他の著しい非行があったとき

推定相続人の廃除は強力な効果があり、家庭裁判所も慎重に判断します。推定相続人の廃除の申請をしても、必ず認められるとは限りません。

生前に相続放棄はできない

被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。 相続放棄とは、相続人としての地位を放棄することです。相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったものと法的に扱われる結果、被相続人の遺産を相続せずに済みます。

相続放棄をするには家庭裁判所に申立てをして手続きをする必要がありますが、裁判所が相続放棄の手続きを受け付けるのは相続が開始してからであり、生前に相続放棄をすることはできません。 仮に、被相続人の生前に「相続を放棄します」という内容の文章を作成したとしても、相続放棄としての効果は認められません。

生前に遺産分割に関する合意をしたい場合は

知っておきたい相続問題のポイント
  • 生前に遺産分割に関する合意をしたい場合、遺言書を作成してもらう方法がある
  • 生前に相続放棄はできないが、遺留分の放棄は可能

相続トラブルを防止するために、被相続人の生前に遺産分割に関する合意をしておきたいのですが、なにか良い方法はありますか?

被相続人に遺言書を作成しておいてもらったり、遺留分の放棄をしてもらったりなどの方法が考えられます。

遺言書を作成しておいてもらう

生前に遺産に関する合意をしたい場合の方法として、被相続人に遺言書を作成してもらう方法があります。 まず、被相続人の生前に推定相続人全員で話し合いをして、誰がどの遺産を相続するかを決めておきます。 次に、推定相続人の話し合いの結果に基づいて、被相続人に遺言書を作成してもらうのです。

上記の方法であれば、被相続人の生前であっても、実質的に遺産分割協議と同様の結果を得やすくなります。 ただし、相続トラブルを防止する観点から、推定相続人全員と被相続人が上記の方法に納得し同意することが必要です。

被相続人が遺言書を作成するにあたっては、遺言書の無効や紛失を予防するために、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

遺留分の放棄をしてもらう

被相続人の生前であっても、遺留分の放棄をすることは可能です。 被相続人の配偶者や子どもなど一定の法定相続人(民法で規定される相続人)は、被相続人の遺産について最低限の取り分(これを「遺留分」といいます。)が認められています。 仮に、遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分に相当する金銭の支払いを請求することができ、これを遺留分侵害額請求権といいます。

遺留分の放棄をすると、遺留分の権利を喪失するので、遺留分侵害額請求権は行使できなくなります。 被相続人の生前に相続放棄をすることはできませんが、遺留分の放棄は可能なので、必要に応じて検討しましょう。

まとめ

このページでは、被相続人の生前に合意した、遺産分割協議の効力などについて解説しました。 遺産分割協議は被相続人が亡くなって相続が開始したあとに、相続人によって行われるものなので、被相続人の生前に推定相続人が遺産分割協議を行って合意したとしても、法的な効力は認められません。 被相続人の生前は、推定相続人はあくまで推定されるだけであり、相続人ではありません。 生前に遺産に関する合意をしたい場合は、被相続人に遺言書の作成をしてもらったり、推定相続人が遺留分を放棄したりなどの方法があります。 遺産分割によるトラブルを防止するには、相続問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

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この記事の監修者

弁護士 水口 健太東京弁護士会
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