相続が発生した場合に、未支給年金の受け取り手続きについて解説いたします。
ざっくりポイント
  • 年金は原則として相続の対象にならない
  • 一定の要件を満たした場合、未支給年金を受け取れる
  • 未支給年金を受け取るには申請が必要
目次

【Cross Talk 】未払いの年金は遺族が受け取ることができるの?

親が亡くなって相続が発生したのですが、生前に親が加入していた年金について、未支給の分があります。遺族は未支給年金を受け取ることはできますか?

一定の要件を満たした場合、遺族が未支給年金を受け取ることができます。未支給年金を受け取るには基本的に申請が必要です。

遺族が未支給年金を受け取れる場合があるんですね。申請の手続きについても教えてください!

未支給年金を受け取る要件や申請の手続きについて解説いたします。

被相続人が生前に年金に加入していた場合、年金の支払い時期との関係で、未支給の年金が発生する場合があります。年金は原則として相続の対象になりませんが、一定の要件を満たす場合、親族が未支給年金を受け取れるケースがあるのです。 そこで今回は、未支給年金を受け取るための要件や、申請の手続きについて解説いたします。

年金は相続の対象にならない

知っておきたい相続問題のポイント
  • 年金は原則として相続の対象にならない
  • 未支給年金を受け取れる方には順位がある

被相続人が亡くなった場合、年金は相続の対象になるのでしょうか?

年金は遺族の固有の財産として扱われるので、原則として相続の対象になりません。

相続の対象となる財産

相続の対象となる財産を、相続財産といいます。 一般的な相続財産は以下の通りです。
・現金や預貯金
・不動産と不動産に対する権利(借地権など)
・株式などの有価証券
・自動車や貴金属などの動産
・各種債権やゴルフ会員権など
・借金などの債務

年金は相続の対象にならない

被相続人が亡くなった場合、年金は原則として相続の対象になりません。 被相続人が亡くなると、被相続人の年金の加入状況や世帯の状況などに応じて、遺族基礎年金や寡婦年金などの支給対象になる場合があります。

これらの年金は遺族の生活の安定を図るためのものであり、遺族の固有の財産として扱われるので、相続の対象にはならないのです。

未支給年金は相続の対象になる

一定の要件を満たした場合、遺族は未支給年金を受け取ることができます。 ただし、未支給年金は厳密には相続の対象となる相続財産ではなく、遺族の固有の権利である固有財産にあたるので、厳密には相続されるわけではありません。

つまり、未支給年金は亡くなった被相続人の遺産ではなく、未支給年金を受け取る権利を有する遺族自身の財産なのです。相続放棄をすると相続財産を相続できなくなりますが、未支給年金は相続財産ではないので、相続放棄をしても受け取ることができます。

未支給年金とは、年金の受給者が死亡した場合に、本来その受給者に支給されるべき年金のうち、まだ支給されていないものです。

例えば、年金の支給日が6月15日であり、同日に4月分と5月分が支給されるケースで考えてみましょう。 受給者が5月10日に亡くなって年金が支給されなくなったとすると、本来は6月15日に振り込まれる4月分と5月分の年金が、未支給年金となります。

未支給年金を受け取ることができる方

未支給年金を受け取ることができるのは、「受給者が亡くなった当時に受給者と生計を同じくしていた」、一定の親族です。 受給者が亡くなった当時に生計を同じくしていなければ、未支給年金の対象にはならないので注意しましょう。 一定の親族には以下の順位があり、順位が上の方が優先して受取人になります。
1:受給者の配偶者
2:子ども
3:父母
4:孫
5:祖父母
6:兄弟姉妹
7:その他の3親等内の親族

例えば、年金の受給者が亡くなった当時、受給者の配偶者と父が生計を同じくしていた場合、配偶者が未支給年金の対象になります。

未支給年金を受け取るための手続き

知っておきたい相続問題のポイント
  • 未支給年金を受け取るには、年金の種類に応じて申請する
  • 未支給年金の申請には戸籍や住民票などの添付書類が必要

未支給年金を受け取るには、どのような手続きが必要ですか?

未支給年金を受け取るには、年金の種類によって各機関に申請をします。申請には所定の書類に記入するほか、住民票などの添付書類も必要です。

国民年金の場合

国民年金の場合に未支給年金を受け取るには、各地の年金事務所や年金相談センターに対して、必要書類・添付書類を提出します。 必要書類は2点あり、「受給権者死亡届(報告書)」と「未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)」です。 受給権者死亡届(報告書)は受給者が亡くなったことを報告するための書類であり、添付書類として以下のものが必要です。
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった事実を明らかにできる書類(戸籍抄本・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
未支給年金・未支払給付金請求書(複写帳票)」は、未支給年金を申請するための書類であり、添付書類として以下のものがあります。
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写しなど)
・亡くなった方と請求者が生計を同じくしていたことが分かる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票など)
・未支給年金の受け取りを希望する金融機関の通帳(金融機関から口座の証明を受けていない場合)
・生計同一についての別紙(亡くなった方と請求者が同一世帯でなかった場合)

厚生年金の場合

厚生年金の場合に未支給年金を受け取るための手続きは、基本的には国民年金の場合と同様になります。 国民年金と厚生年金の運営業務は、どちらも日本年金機構が実施しているからです。

共済年金の場合

共済年金の場合、被相続人が生前に加入していた共済組合によって、手続きの詳細や必要書類が異なる場合があります。 全国市町村職員共済組合連合会では、未支給年金がある場合、共済組合から「未支給年金・未支払給付金請求書・受給権者死亡届(報告書)」という書類が送付されます。 書類が送付されたら必要事項を記入し、以下の添付書類を添えて返送しましょう。
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方の死亡の事実を明らかにする書類(戸籍謄本・戸籍抄本・死亡診断書のコピー・住民票など)
・亡くなった方と請求者の身分関係を明らかにする書類(戸籍謄本・戸籍抄本・法定相続情報一覧図) ・請求者の世帯全員の住民票
・亡くなった方の住民票(除票)
・預貯金通帳のコピー(年金受取機関に金融機関の証明を受けていない場合)
・生計同一に関する申立書(亡くなった方と請求者が別居していた場合など)
公立学校共済組合では、共済組合に電話をするか所定の連絡票を提出すると、共済組合から「未支給年金・未支払給付金請求書・受給権者死亡届(報告書)」が送られてきます。 必要な添付書類として以下のものがあります。
・請求者の戸籍謄本または戸籍抄本
・請求者の世帯全員分の住民票
・亡くなった方の住民票(除票)
・通帳またはキャッシュカードの写し
・亡くなった方の年金証書
その他、共済組合によって手続きが異なる場合がありますので、詳しくは加入している共済組合に確認しましょう。

まとめ

年金の支払い時期などの関係で、被相続人について未支給年金が発生した場合、遺族が未支給年金を受け取れる場合があります。 未支給年金を受け取れるのは、受給者が亡くなった当時に受給者と生計を同じくしていた、一定の親族です。親族には順位があり、順位が上の方が優先して未支給年金を受け取ることができます。 未支給年金を受け取るには、日本年金機構や共済組合など、被相続人が加入していた機関に対して手続きをしましょう。 さらに詳しく知りたい方は、相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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