被相続人の債務を相続人の一人が引き受ける方法である免責的債務引受とは
ざっくりポイント
  • 被相続人の債務は相続人が相続分に応じて相続され、遺産分割で一人だけが相続するとすることはできない。
  • 事業を受け継ぐ人が一人で借金を支払うような場合には、債務引受を行う。
  • 他の相続人は債務から免れる免責的債務引受と、他の相続人の債務を一緒に負担する重畳的債務引受がある
目次

【Cross Talk 】債務を受け継ぎたい場合はどうすればいいですか?

先日父が亡くなって、母・私・妹2人で相続をしました。父は個人事業をやっており、私がそれを引き継ぐのですが、事業に関してした借金を母・妹二人に引き継がせることなく、私一人で引き継ぐことはできないのでしょうか。

免責的債務引受という方法で義務を引き継がないということは理論上可能ですが、現実的に債権者が承諾する可能性は低いです。重畳的債務引受という別の方法で、確実に支払いをしていれば、他の相続人が債務の督促を受けるということはありません。

詳しく教えてください。

債務の支払いを一人が引き受ける場合の債務引受とは

ご相談者様のように、個人事業をそのまま引き継ぐなどで、被相続人がしていた借金を一人に相続させたい、という事情がある場合があります。借金などの債務は相続人が相続分に応じて均等に相続することになっており、遺産分割でだれか一人にだけ負わせることはできません。 そこで、相続後に債務を引き継ぐための債務引受をする場合があります。 債務引受には、従来の債務者が債務の負担から免れる免責的債務引受と、従来の債務者と一緒に債務を負うことになる重畳的債務引受がありますので、このページで詳しく解説をいたします。

相続人の一人が債務を引き受ける場合とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人の一人が事業を引き継ぐような場合には債務引受を検討する。

どのようなケースで相続人の一人に債務を負担させることを検討しますか?

ご相談いただいたような、事業をしているようなケースで検討することになります。

どのような場合に、債務を一人が継ぐことを検討することになるのでしょうか。 ご相談にあったように、個人経営をしていて、経営に関する借金があるようなケースで、相続人の一人が後継ぎとなるようなケースが典型的な事例です。 個人経営をしているようなケースでは債務は被相続人個人が負っているので、どうしても債務も相続の対象となります。 また、法人としている場合でも、代表者が連帯保証していることがあり、連帯保証債務も債務として引き継ぐことになります。 相続人の一人だけが事業を継ぐのであれば、借金・連帯保証はその方が負担するのが望ましいと言えます。

債務がある場合の法律上の取り扱いと債務引き受けの種類

知っておきたい相続問題のポイント
  • 債務は法定相続分で分割することになり、だれか一人が負うということはできない。
  • 免責的債務引受もしくは重畳的債務引受によって誰か一人が債務を負うことになる

借金を一人で受け継ぐにはどうすれば良いでしょうか。

債務は相続においては法定相続分に従って負うことになり、遺産分割協議や遺言書で一人に負わせることはできません。そこで、相続後に債務を一人が引き受ける債務引受を利用することを検討しましょう。

では債務を相続人の一人のみが受け継ぐためにはどのような方法があるのでしょうか。

債務は法定相続分で分割

まず、相続直後に債務はどのようになるかを確認しましょう。 相続をした債務は、法定相続分の割合で相続人に分割して帰属することになります。

ご相談者様のケースで言うと、母が1/2・子どもがそれぞれ1/4ずつの割合で債務を受け継ぎます。 遺言書で遺贈をされた場合で、包括遺贈を受けた場合には、包括遺贈を受けた割合で債務も受け継ぐことになっています。

遺産分割でだれか一人の負担とすることはできない

相続した遺産については、遺産分割協議で具体的に誰がどの遺産についての権利を取得するかを決定いたします。 この時に債務を一人の相続人が受け継ぐことにすればいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続人の間でのみ取り決めておくことは可能ですが、これを債権者に対して主張することはできず、債権者からの請求があれば法定相続分の範囲では支払う義務があります。 一人の相続人に債務を押し付けてその方に自己破産させてしまって債務だけ逃れることを認めてはならない、という観点から、このような結論となっています。

また遺言書で債務を誰かに負わせるとしても、同様に相続人の間では主張をすることができても、債権者との関係では主張することはできません。

免責的債務引受

相続手続きの中でだれか一人が債務の引き受けをすることができないので、相続における仕組みとは違う方法で債務を一人が負担する方法を検討する必要があります。

その方法が、本来の債権者に変わって債務の支払い義務を負う債務引受というものです。 債務引受には、免責的債務引受と、後述する重畳的債務引受の2種類があります。 免責的債務引受とは、債務引受をして、元々の債務者が債務から免責される方法をいいます。

つまり、事業を引き継いだ相続人が、自分が引き継いだ債務と引き受けた相続人の債務を支払うことになり、他の相続人は債務を負わなくなります。 免責的債務引受をする場合、引き受けをする人が本当に返済できるかどうかわからないことがありますので、債権者の同意を必要とします。 そして、共同相続人の一人に債務を引き受けさせることになると、複数人で少しずつ負担しているときよりも債権回収の可能性が低くなってしまうため、通常、債権者は同意をしません。 そこで、後述する重畳的債務引受を利用することになります。

重畳的債務引受

重畳的債務引受とは、従来の債務者と一緒に債務者として返済義務を負うという形で債務引受をするものです。

返済について債務者が増えることとなり、債権者としては返済をしてくれる人が増えることになるので、債権者の同意は必要なく行うことができます。 事業に参加しない他の相続人は従来通り債務を負いつつも、跡を継ぐ相続人が一緒に債務者となり返済をすることができます。

跡を継ぐ相続人がきちんと債務の返済をできるのであれば、この方法を利用することで、事実上債務を一人に集めることが可能となります。 ただし、跡を継ぐ相続人が返済できなくなった場合には、他の相続人は免責されているわけではないので返済義務を負うことになります。

債務引受の方法

債務引受についての手続きは特に何も法定されていませんので、債権者と交渉をして行います。 返済をするにあたっても、債務引受をしたことについての証拠がないと、経理処理において税務署から追及される可能性もあります。 ですので、債務引受の合意ができれば、契約書を作成しておくのが望ましいといえます。

まとめ

このページでは、相続人の一人が債務を引き受ける方法についてお伝えしました。 相続の仕組みの中で債務を引き受けることはできませんが、債務引受を利用して一人が債務の支払いをするということは可能です。 不明な点があれば、弁護士にご相談して行うようにしましょう。

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この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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