遺言が有効になる要件、メモやメールでの遺言の効力を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言は遺言者に遺言能力があり、それぞれの様式について法的な要件を満たしていることで有効となる
  • メモでも要件を満たしている遺言は有効となる可能性があるが、メールは無効である
  • 走り書きやメモに書かれた遺言はトラブルになる可能性があるため、弁護士に相談を
目次

【Cross Talk 】メモやメールでの遺言は有効?

兄が亡くなり、遺言が電子メールの下書きフォルダに残されていました。法的に有効なのでしょうか?

自筆証書遺言としても要件を満たしていないため、無効です。ただ、遺産分割協議で相続人全員が遺言書の内容通りに相続することに同意する場合には、遺言書の内容通りに相続することが可能です。

詳しく教えてください!

メモ・メールでの遺言の有効性とは

遺言書には自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があり、それぞれ民法に定められた要件を満たすことで法的に有効となります。 遺言者(遺言を残す方)の中には、メモやメールなど簡易的な遺言を書く方がいますが、法的に有効といえるのでしょうか?今回は遺言が有効となる要件、メモやメールによる遺言の効力について解説いたします。

遺言が有効になる要件

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言は、遺言者に遺言能力がある、法的な要件を満たすことで有効になる
  • 遺言者が高齢・認知症の場合は効力が問われることも

法的に有効となる遺言書を作るために守るべきルールとは何でしょうか?

まず、遺言者が15歳以上で、遺言書に書いたことを実行するとどのような結果になるのか判断できる能力(遺言能力)が必要です。また、遺言書の種類に応じた要件を満たさなくてはいけません。

遺言能力があること

遺言は民法963条で「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」と定められています。

遺言書を書く際には「遺言能力」が必要で、民法961条では「十五歳に達した者は、遺言をすることができる」と規定されています。 15歳以上であることに加え、「遺言書に書いたことが実行されるとどうなるのか判断できる能力」が必要となります。

認知症や高齢などの理由により、遺言能力の有無が問われることがありますが、遺言当時に遺言能力があったかどうかは、医学的観点からの検査の結果、遺言作成時の様子、画像検査結果などから判断されています。※1

法律の様式によって遺言をすること

遺言書には自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類がありますが、それぞれ法律によって様式が定められています。

例えば自筆証書遺言は※2、遺言書の全文と遺言の作成日付・遺言者自身の氏名を遺言者が自書し押印しなければならないという決まりがあります。財産目録だけはパソコンによる作成が認められています。 作成日付は日付が特定できるように記載し、訂正や追記は直したことが分かるように示し、訂正または追加した旨を書き署名したうえで押印します。

他の遺言書にも様式が定められており、守られていない場合には法的に無効となる可能性があります。

メモやメールでの遺言の効力

知っておきたい相続問題のポイント
  • メールでの遺言は基本的に無効である
  • メモは自筆証書遺言の要件を満たしている場合に有効となるが、トラブルに発展する可能性も

メールの遺言は無効とのことですが、メモは有効ですか?

自筆証書遺言の要件を満たしている場合は有効となります。ただ、走り書きやメモ用紙に書かれたものはトラブルとなる可能性があるので要注意です。

メモでの遺言の効力

メモで書かれた遺言書でも、法的な要件を満たしている場合には遺言書として取り扱うことができます。 ただ、「遺言者が15歳以上で遺言能力がある」ことが前提となりますので、15歳未満の場合と、認知症や高齢などの理由により遺言を書いた時の判断能力が不十分と思われる場合には、相続人の間で相談することになります。

メールでの遺言の効力

自筆証書遺言は、財産目録以外は自筆で書かなければいけない決まりがあるため、メールによる遺言は法的に無効です。

ただ、メールでの遺言の内容について相続人の間で話し合い、全員が遺言書の内容通りに遺産分配を行うことに合意した場合には、遺言書の内容通りに遺産分割協議が成立することになります。 なお、遺言書が法的に有効である場合でも、遺産分割協議で全員が合意した時には、遺言書の内容通りに相続が行われない場合があります。

もっとも、遺言書の内容が遺留分(相続人の最低限の取り分)を侵害している、遺言の内容が現実的ではないなどの場合でなければ、基本的には遺言者の意向を尊重し、遺言書の内容通りの相続を行うことが望ましいと言われています。

簡易な形での遺言は遺言の効力自体が争われることも

 メモ帳への走り書きといった簡易な形式の遺言書は、自筆証書遺言として要件を満たしており法的に有効な場合でも、後にトラブルとなる可能性があります。

遺言書の有効性について意見が対立する場合には、遺言の無効を主張する人が「遺言無効確認調停」を申し立て、家庭裁判所で話し合いを行います。調停でも意見がまとまらず調停が不成立となった場合には、遺言の無効を主張する人が訴訟を起こす流れとなります。

遺言書の有効性について相続人の間で意見が対立している時には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。 第三者が介入することで冷静に話し合いが可能となり、調停や訴訟に発展することなく早めに解決できる可能性があります。

まとめ

法的に有効な遺言書とは(1)遺言者に遺言能力がある(2)遺言書が法的な要件を満たしているという2点をクリアしたものです。 「有効な遺言書を書きたいけれど、自身の作成では不備があるかもしれない」と心配な方、有効性が疑われる遺言書を発見した方などは、相続に強い弁護士に相談し早期解決を目指しましょう。

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この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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