孫に何かしてあげたい場合の、遺言書の書き方や遺言書以外の方法について解説いたします
ざっくりポイント
  • 孫は原則として相続人ではない
  • 孫に遺産を受け継がせるには、遺言書によって遺贈をする方法がある
  • 孫を養子にする、生前贈与をする、家族信託を利用するなどの方法もある
目次

【Cross Talk 】自分の財産で孫に何かしてあげたい場合、どうすればいいの?

孫の将来の進学や結婚を考えて、遺産を相続させるなど、自分の財産で何かしてあげたいと考えています。どのような方法が考えられますか?

孫に財産を与えるには、まずは遺言書によって遺贈をする方法が考えられます。他にも、孫を養子にしたり、生前贈与をするなどの方法もありますね。

孫に何かしてあげたい場合、色々な方法があるんですね。それぞれ詳しく教えてください!

自分の財産で孫に何かしてあげたい場合の方法について解説いたします。

孫の将来の進学や結婚を考えて、自分の財産で何かしてあげたいと考えるかもしれません。 孫は原則として相続人にあたらないため、孫に財産を与えるには、遺言書による遺贈や生前贈与などの方法で工夫することが重要です。 そこで今回は、自分の財産で孫に何かしてあげたい場合の方法について解説いたします。

孫になにかしてあげたい場合の遺言

知っておきたい相続問題のポイント
  • 孫は原則として相続人ではない
  • 遺言書によって孫に財産を遺贈する方法がある

孫に財産を相続させたいのですが、孫は相続人になれるのでしょうか?

民法が規定する法定相続において、孫は原則として相続人にあたりません。孫に財産を受け継がせる方法として、まず遺贈が考えられます。

孫は相続人ではない

孫は原則として相続人にならないことに注意しましょう。 民法は誰が相続人になるかのルールを定めています。

まず、被相続人(亡くなった方)の配偶者は常に相続人になります。 次に、被相続人の血族について、以下の順位が定められており、順位が上の方が優先して相続人になります。

・第一順位:被相続人の子ども(相続開始前に亡くなった場合は孫)
・第二順位:被相続人の父母(相続開始前に亡くなった場合は祖父母)
・第三順位:被相続人の兄弟姉妹(相続開始前に亡くなった場合は甥や姪)
例えば、被相続人に子どもと父がいる場合、第一順位である子どもが優先して相続人になり、第二順位である父は相続人になりません。

いずれにせよ、被相続人の孫は原則として相続人にならないのがポイントです。 ただし、第一順位である被相続人の子どもが、被相続人よりも先に亡くなった場合は、孫が相続人の地位を受け継いで相続人になります(代襲相続)。

孫に遺産を渡す方法として遺言書による遺贈がある

孫に遺産を渡すには、遺言書によって遺産を遺贈する方法があります。

遺贈とは、遺言書によって、自分の遺産を相続人以外に無償で受け継がせる方法です。 遺言書を作成して、その内容として孫に遺贈することを規定しておけば、亡くなって相続が発生した際に、孫に遺産を受け継がせることが可能になります。

遺贈の種類として、包括遺贈と特定遺贈があります。 包括遺贈とは、どの財産を遺贈するかを指定せずに、遺贈する割合を指定する遺贈方法です。 包括遺贈は遺贈する財産を特定する必要がないのがメリットですが、借金などの負の財産も割合で引き継ぐのがデメリットになります。

特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺贈する方法です。特定遺贈の場合、負の財産を引き継がないのがメリットです。

相続税がかかる場合の2割加算には注意する

相続税がかかる場合は、相続税の2割加算の制度に注意しましょう。

相続税の2割加算とは、相続や遺贈によって財産を取得した方が、被相続人と一定の身分関係にある場合に、相続税の額が2割加算される制度です。 2割加算が適用される主な身分関係は、被相続人の兄弟姉妹・内縁の妻・子どもの配偶者・甥・姪・友人や知人などです。 被相続人が孫に遺贈をした場合も、2割加算が適用されます。孫への遺贈で2割加算される主な理由は、相続税の課税が1回分減るからです。

相続の場合、まず被相続人から子どもに遺産が相続されることで1回目の相続税の機会があります。その後、子どもから孫に遺産が相続されると、2回目の相続税の機会となります。 ところが、相続ではなく遺贈によって、被相続人から孫に財産が渡されると、相続税の発生が1回分減少するのと同じような結果になるので、2割加算が適用されるのです。 ただし、孫が代襲相続する場合は、2割加算にはなりません。

遺言書による遺贈以外の方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書を作成して遺贈する以外にも、孫に財産を与える方法はある
  • 孫を養子にする、生前贈与をする、家族信託などが考えられる

わけあって遺言書を書きたくありません。遺言書によって遺贈をする以外に、孫に財産を与える方法はありませんか?

遺贈以外の方法としては、孫を養子にする、生前贈与をする、家族信託を利用するなどが考えられます。

孫を養子にして相続人とする

孫に遺産を相続させるために、孫を養子にする方法(普通養子縁組)があります。
孫は原則として相続人ではないので、法定相続(民法の規定に基づく相続)の場合、そのままでは孫に遺産を相続させることができませんが、孫を養子にすれば遺産を相続させることが可能です。

養子縁組をすると、養子は自分の実子と同等の法的地位を獲得し、第一順位の相続人となります。
例えば、相続人として2人の実子がいる場合に、孫と養子縁組をすると、相続において孫は2人の実子と同じ法的地位を獲得するので、相続人は合計3人になります。

孫に生前贈与をする

孫に財産を与える方法として、生前贈与があります。

生前贈与とは、自分が生きている間に、自分の財産を他人に無償で与えることです。
孫は原則として相続人ではありませんが、生前贈与は相続人以外にも財産を与えられるので、孫に自分の財産を与えることが可能になります。

贈与をすると原則として贈与税の課税対象になりますが、贈与には年間110万円の基礎控除があるのがポイントです。
贈与の合計が年間で110万円以下の場合、基礎控除によって原則として贈与税がかからないので、贈与税の負担なしで孫に生前贈与することができます。

家族信託

孫に財産を託す方法として、家族信託があります。

家族信託とは、自分の財産の所有権を家族に移転させ(信託)、家族に財産を管理してもらう方法です。
財産を管理してもらう方を委託者、財産を管理する家族を受託者、財産の管理によって利益を得る方を受益者といいます。
委託者は自分の財産を受託者に信託し、受託者は契約や委託者の指示に基づいて財産の管理や処分を行います。財産の管理や処分によって得られて利益を得るのが、受益者です。

孫を受益者にすれば、家族信託によって自分の財産を孫に託すことができます。
家族信託は様々な方法がありますが、典型例として、委託者の子ども(孫の父母)を受託者にして財産を管理してもらい、孫を受益者にして必要な時期に財産を与える方法があります。
普段は孫の父母に自分の財産を管理してもらい、孫の進学や結婚など、適切なタイミングで財産を与えるのです。

家族信託は状況に応じて様々な方法が考えられますので、もっとも適切な方法を見つけるには、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

自分の財産で孫に何かしてあげたい場合、まずは遺言書によって財産を遺贈する方法があります。
遺贈以外の方法としては、孫を養子にして遺産を相続させる方法や、生前贈与によって自分が生きている間に財産を贈与する方法などが考えられます。
どのような方法が適切かは状況によって異なるので、適切な方法を見つけるには、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

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