相続させたくない人を戸籍から抜くことができるのか、他にどんな方法があるのかを解説します。
ざっくりポイント
  • 相続させたくない人を戸籍から抜く制度は、法的には存在しない
  • 相続欠格事由に該当すると相続権がなくなる
  • 相続人の廃除が認められるには、家庭裁判所の審判が必要
目次

【Cross Talk 】相続させたくない人がいる場合はどうすればいいの?

うちは3人の子どもがいるのですが、長男は昔から悪さばかりしていて、遺産を相続させたくありません。長男を戸籍から抜いて相続させない方法はありませんか?

養子縁組の解消などは別として、相続させたくない人を戸籍から抜く制度はありません。ただし、一定の事由に該当する場合に相続できなくなる相続欠格や、家庭裁判所の審判によって相続から外す相続人の廃除などがあります。

一定の場合には相続できなくさせる方法があるのですね。必要な要件などを教えてください!

相続させたくない人がいる場合に、どのような方法があるかを解説いたします。

昔から悪さばかりしてきたなど、どうしても遺産を相続させたくない人がいる場合があるかもしれません。 相続させたくない人を廃除するために、戸籍から抜くという方法があるのでしょうか。もし戸籍から抜けない場合は、他の方法がないかも気になるところです。 そこで今回は、相続させたくない人を戸籍から抜けるのか、他にどのような方法があるかなどを解説します。

相続人の戸籍を抜く制度はなく相続欠格事由がない限り相続人になる

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  • 相続人の戸籍を抜く制度は法的に存在しない
  • 相続欠格事由に該当する場合は相続できなくなる

私に悪いことばかりしてきた長男には遺産を相続させたくありません。長男を戸籍から抜く方法はありませんか?

相続させないために戸籍から抜くという制度は、法的に存在しません。ただし、一定の事由に該当する場合は、相続欠格として相続できなくなることがあります。

戸籍を抜く制度はない

相続させたくない人を排除するために、その人の戸籍を抜けないか検討したくなるかもしれません。しかし、法律上は戸籍を抜くという制度は存在しません。 また、一般的には家族から排除するというような意味で用いられることが多いですが、「戸籍を抜く」という言葉について、法的に明確な定義があるわけでもありません。

法律上、親子(養親と養子も含む)には互いに相続権(遺産を相続する権利)が認められています。 戸籍を抜く制度がないため、相続させたくない人がいたとしても、相続権は原則として消滅させることはできません。

例外として、養子縁組を解消する場合は、養親と養子の法的な親子関係が消滅するため、お互いに相続権はなくなります。 実子の場合は戸籍を抜くという制度がないため、親が亡くなれば、実子は基本的にその遺産を相続することになります。

相続欠格になると戸籍から抜けるわけではないが相続人ではなくなる

戸籍から抜くという制度はありませんが、実子であっても養子であっても、例外として相続人ではなくなるケースがあります。相続欠格といいます。 相続欠格とは、法律が規定する要件に該当する場合に、相続人としての権利を喪失することです。相続欠格になる主な要件は、民法891条で以下のように規定されています。
  • 被相続人やほかの相続人を殺害して(または殺害しようとして)刑に処せられた場合 例えば、長男が父親を殺害し、殺人罪で有罪判決を受けた場合には、父親を被相続人とする相続について、長男は相続欠格に該当します。

  • 被相続人が殺害されたことを知りながら、 告発または告訴しなかった場合 長男が父親を殺害したと知っていながら、次男がそれについて黙っていた場合などは、次男は相続欠格に該当します。

  • 詐欺または脅迫によって、被相続人の遺言(遺言をする、撤回、取り消し、変更)を妨害した場合 父親が遺言書を作成することを知って、長男が父親を脅迫し、遺言をさせるなどです。

  • 詐欺または脅迫によって、被相続人の遺言について干渉(遺言をさせる、取り消させる、変更させる)した場合 父親が遺言書を作成する際に、長男が父親を脅迫して、自分が有利な内容に変更させるなどです。

  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合 自分に不利な遺言書が作成されたことを知った長男が、遺言書を捨ててしまった場合などです。

相続人の廃除により相続させないことはできる

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  • 一定の事由に該当する場合は、相続人の廃除によって相続させないことができる
  • 相続人の廃除が認められるには、家庭裁判所の審判が必要

長男が私を長年虐待していました。長男を相続から外す方法はありませんか?

一定の事由に該当する場合は、相続人の廃除の手続きによって相続から外すことができます。ただし、家庭裁判所に申立てをして、審判で認められる必要があります。

一定の要件を満たす場合、相続権を有する人を相続から外すことができ、これを相続人の廃除といいます。 相続人の廃除が認められた場合、その相続人は遺産を相続できなくなります。 例えば、被相続人の親が亡くなって長男と次男が遺産を相続する場合に、長男に相続人の廃除が適用されると、長男は遺産を相続できません。 なお、一定の法定相続人には、遺産に対する最低限の取り分(遺留分)が法的に認められていますが、相続人の廃除が適用された場合、遺留分も請求できなくなります。

相続人の廃除の手続き

相続人の廃除をするには、家庭裁判所に申立てをして、手続きをする必要があります。 家庭裁判所に申立てをすることができるのは、被相続人(遺言により廃除する場合は、遺言書で指定された遺言執行者)です。相続人などが勝手に廃除の手続きを申請することはできません。

具体的には、被相続人が自らの住所地を管轄する家庭裁判所に所定の申立書を提出して、審判(裁判所による判断)を受けます。 審判の結果、相続人の廃除が認められた場合は、被相続人の戸籍がある市町村役場に所定の廃除届を提出すれば、相続人の廃除の手続きが完了します。

代襲相続が発生する点に注意

相続人の廃除が認められたとしても、代襲相続が発生することに注意しましょう。 代襲相続とは、特定の事由(相続人が亡くなるなど)によって相続人が相続できない場合に、相続人の子どもや孫などが相続することです。そして、相続人の廃除の場合にも代襲相続が認められます。

例えば、父親に対し長男が虐待をしていたとき、長男を相続人から廃除することが裁判所に認められたとしても、長男に子ども(父親からみて孫)がいる場合は、その子どもが遺産の相続権を有します。

せっかく相続人の廃除が認められたのに、代襲相続によって相続人の子どもや孫などが遺産を相続してしまうと、実質的に相続人の廃除をした意味がなくなってしまう可能性があります(代襲相続をした子どもが、廃除された親に遺産を渡すなど)。

現実には廃除は認められにくい

相続人の廃除は、一般には認められにくいのが特徴です。 相続人の廃除が認められるには、以下のいずれかの要件に該当しなければなりません。
  • 推定相続人(相続人になるであろう人)が被相続人を虐待した
  • 推定相続人が被相続人に重大な侮辱を加えた
  • その他、推定相続人から被相続人に対して著しい非行があった

上記の要件に該当して相続人の廃除が認められるかどうかは、家庭裁判所が判断します。家庭裁判所が認めなければ、いくら要件に該当する行為があったと思っていても、相続人の廃除はできません。 要件に該当しなければならないこと、家庭裁判所に認められなければならないこと。この2点をクリアしなければならないことが、相続人の廃除が一般に認められにくい要因の1つになっています。

まとめ

相続させたくない方がいる場合に、戸籍から抜いて相続できなくするという制度はありません。 ただし、一定の事由に該当する場合に相続できなくなる相続欠格や、一定の場合に家庭裁判所の審判によって相続から外す相続人の廃除など、相続できなくさせる方法はあります。 いずれにせよ、一定の事由に該当するか、家庭裁判所に認められそうかなどを判断するには、相続の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめいたします。

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