相続をするときに、「今住んでいる家に住み続けたい」という希望がある場合の解決方法
ざっくりポイント
  • 相続で「今住んでいる家に住み続けたい」という希望がかなわない可能性があるケース
  • 相続で「今住んでいる家に住み続けたい」という希望を叶えるための方法
  • 相続における交渉の注意点
目次

【Cross Talk 】今住んでいる家に住み続けることはできますか?

先日夫が亡くなり、私と子ども2人で相続をすることになりました。お恥ずかしい話ですがあまり家族はうまくいっておらず、夫の相続についてすでに揉めてしまっています。私は今住んでいる家に住み続けたいのですが、何かいい方法はないでしょうか?

自宅の価値が遺産のほとんどを占めてしまっているのでしょうか?配偶者居住権の設定ができないかどうか検討してみましょう。

そういうものがあるんですね!詳しく教えてください。

相続をしても、今の自宅に住み続けたいという希望を叶えるためには

相続をしたときに、今の自宅に住み続けられるかは重要な関心事です。しかし、不動産の価値が遺産の大部分をしているような場合には、共同相続によって上手に分割できないような場合があります。 このような場合でも今の自宅に住み続けられるようにするための基礎知識を知っておきましょう。

遺産分割で「住んでいる家に住み続けたい」場合に問題になること

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産の大半が不動産である場合に住んでいる家に住み続けたいという希望がかなわなくなる可能性がある
  • 具体的な紛争事例

どうして相続をする際、今住んでいる家に住み続けたいという希望がかなわないことがあるのでしょうか。

遺産の大半を不動産が占める場合に、うまく分割できないことがあるからです。

遺産分割をする際に「今住んでいる家に住み続けたい」ことが問題になるのはどのような場合でしょうか。

遺産の大半が不動産であり誰かが住み続けるのは割に合わない

住んでいる家が被相続人の所有物である場合には、相続によって家が遺産分割の対象となります。 所有している家が住みやすい場所の場合には、遺産の価値の大部分が家の価値であることも多いです。 相続人が複数いる場合には、遺産分割をする必要があるのですが、法定相続分にそって遺産を分割しようとしても、不動産の価値が大半でうまく分けられない可能性があります。

そのまま遺産分割交渉がうまくすすまないと、最悪のケースでは不動産を売却しなければならなくなり、そのまま家に住み続けることができなくなることがあるのです。

実例

例えば次のような事例です。 遺産として、配偶者と同居していた1,900万円の自宅・50万円の現預金・50万円の自動車が遺産であるとしましょう。 相続人は、配偶者・子ども2人の合計3人で、配偶者はそのまま今の自宅に住み続けたいと思っても、1,900万円の不動産を相続するとなると、遺産の9割以上を一人で相続することになってしまいます。 子ども2人のうち、もう1人の子どもも一緒にこの家に住んでいるような場合には、他の一人はたとえ現預金と自動車を相続することができても、法定相続分からするとバランスが悪いということになります。

このような場合に、バランスをとるために、配偶者・同居の子どもの側から、もう1人の子どもの側に金銭を支払うことで分割を行う代償分割という方法があります。 しかし、法定相続分に従うと子どもは合計2,000万円の遺産のうち1/4にあたる500万円を相続することができるので、現預金50万円・自動車50万円のほかに400万円を渡さなければならず、この金銭を代償として支払う必要があります。

この支払いができず、同居していない子どもの側で遺産分割を徹底的に争う場合には、不動産を売却して分割する換価分割によるほかない、ということになりかねません。 そうなると、当然ですが今いる家に住むことができないということになります。

「住んでいる家に住み続けたい」場合の対策方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 生前対策として分けやすい資産をなるべく用意しておく
  • 配偶者居住権の設定をする

なるほど、どうしても住み続けたい場合には、なにか良い手はありませんか?

配偶者居住権の設定や、家という維持や解体にお金がかかるものであるという特性を考慮した交渉を検討しましょう。

では、上記のようなケースで、今住んでいる家に住み続けるための方法を検討しましょう。

生前の対策として他の相続人に分けやすい現金を用意する

まず、生前の対策を考えている場合には、他の相続人に分けやすい現金をなるべく用意しておきましょう。 遺産分割において現預金があると、自宅・不動産のような分けづらいものがある場合に、調整がしやすくなります。 また、遺言書を作成して遺留分を侵害するような場合に、遺留分侵害額請求に対して応じやすくなります。

配偶者居住権を設定する

相続した自宅に住み続ける、という場合には、住み続ける人の所有物・名義にするということをイメージする方も多いかもしれません。

しかし、住み続けるという観点からは、必ずしも所有である必要はありません。 本件のご相談者様のように、自宅に住み続けたいというのが配偶者である場合には、配偶者居住権という権利を設定することが可能です。 遺言書でこのような権利を設定しておくことも可能ですし、遺産分割協議で所有権は子どもに設定しても、配偶者が居住しつづけることができることになるので、上に住み続けること自体は可能です。

配偶者居住権については、「配偶者が居住していた建物を相続する場合の配偶者居住権を解説!」で詳しくお伝えしていますので参照してください。

交渉のポイント

家などの不動産がある場合の遺産分割協議をする際のポイントも知っておきましょう。 1,000万円の自宅がある場合と、1,000万円の現金がある場合とでは、遺産という観点からは同じ価値をもっていても、その後の扱いは異なります。 不動産は現金に比べると、すぐに利用することが難しく、固定資産税や維持管理にお金がかかります。 この特性を主張することで、遺産の価格としては差があっても、了承してもらうように交渉することを検討しましょう。

例えば、夫婦で住んでいた不動産であれば、築何十年も経過していることが考えられます。 固定資産税はもちろん、維持管理にお金がかかることや、建て替えをする場合には建て替えの費用がかかることを交渉する際の材料としてみましょう。

まとめ

このページでは、相続をした際に、今住んでいる家に住み続けることについてお伝えしてきました。 相続財産として自宅がある場合に、遺産分割協議がうまくいかなくなると、自宅を退去しなければならない事態に陥ることもあります。 バランスが悪い相続になる場合に、現金をなるべく用意しておくことや、配偶者居住権の設定をする、などの配慮をしつつ、不動産という遺産の特徴を考慮して遺産分割交渉をするようにしてみましょう。

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この記事の監修者

弁護士 手柴 正行第二東京弁護士会 / 第二東京弁護士会 法教育委員会委員
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