相続手続きをするときに印鑑証明はどのような時に使うかを確認しよう
ざっくりポイント
  • 相続で印鑑証明を利用するケース
  • 印鑑証明がない場合の処理
  • 相続で印鑑証明が原因でもめるケース
目次

【Cross Talk】相続が発生したとき、印鑑証明っていつ使うの?

先日母が亡くなりまして、長男である兄と私が相続人になりました。印鑑証明ってどんなタイミングで必要なのですか?

相続した不動産の登記をする場面や金融機関での手続きの際に必要になります。また、遺産分割協議書を作成する際には、印鑑証明書に登録されている印鑑(実印)で押印することが一般的なので、もしないのであれば事前に作成する必要があるでしょう。

そうなんですね!相談に乗っていただいて良いですか?

印鑑証明書は各種相続手続き時に添付書類として必要となる。

相続をする際に必要な書類として印鑑証明書があります。手続きを専門家や親族の一人にまかせるような場合、なぜ印鑑証明書が必要なのか不安になると思いますので、どのような手続きで必要となるのか、ない場合にはどうすれば良いのかについて知っておきましょう。

また、印鑑証明を巡って争いになり、取返しのつかないことになるケースもあるので、併せて確認をしておきましょう。

相続で印鑑証明を使うのは次のようなケース

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続で印鑑証明を使う手続き
  • 前提となる遺産分割協議書の作成の際には作っておく必要がある

印鑑証明はいつ使うのですか?

役所や金融機関で手続きをする際に必要になりますが、前提として印鑑証明が必要な場合もあるので併せて確認しておきましょう。

相続において、印鑑証明が必要になるのはどのような場面か確認しましょう

遺産分割協議書を作成するとき

相続の各種手続きの前提として遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作る必要があります。
遺産分割協議書をどのように作るかについて法律で定めてはいません。
しかし、実務上は実印を用いて押印をし、複数のページにまたがる場合には、契印を行います。実印は印鑑登録をした印鑑のことを言うので、印鑑登録をしておく必要があります。

不動産の相続登記をするとき

相続した不動産の名義を変更する場合には、不動産の相続登記を行うことになります。
相続登記を行う際には、相続人全員の印鑑証明書が添付書類として必要となります。

金融機関の相続手続き

被相続人が亡くなった場合、口座が凍結され一定額を除いてお金が引き出せなくなります。
遺産分割協議を行ったうえで、銀行預金を相続することになった方が相続手続きを行います。印鑑証明はこの手続きで必要となります。

相続税申告

相続税の基礎控除額を超える遺産を相続した場合には、相続税の申告・納税が必要となります。
この相続税の申告をするときに、印鑑証明が必要となります。

遺産分割調停で解決した場合

これら各種手続きの際、遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることを確認するために印鑑証明書の添付が必要となります。
そのため、遺産分割協議が整わず、遺産分割調停や審判を利用したような場合には、実印を押印しませんので、不要となります。

相続放棄に印鑑証明書は不要

同じく相続放棄をする際にも、遺産分割協議書を提出するものではありませんので、印鑑証明は不要です。

死亡保険金の受取

手続きとしては相続ではないのですが、被相続人が亡くなったときに、死亡保険金の受取人となっている方が、死亡保険金を受け取る場合に、印鑑証明書が必要となります。
これは、受取人が本人であることを確認するためです。

印鑑証明がない場合にはどうすればいいか

知っておきたい相続問題のポイント
  • 印鑑証明がない場合
  • 外国人の場合のサイン証明

私は印鑑登録をしていないのですが、しておく必要がありますね。

登録自体は難しいものではないので、予めしておくことをお勧めします。

印鑑証明がない場合にはどうすればいいか確認しましょう。

印鑑登録をしたことがない

まず、印鑑登録をしたことがないような場合には、一から印鑑登録をすることになります。
実印はいわゆる三文判と呼ばれるものでも良いのですが、重要な取引に使うもので偽造をされないためにも、きちんとハンコ屋等で作成すべきであるといえるでしょう。
印鑑登録はお住まいの市区町村において行います。

子どもの印鑑登録は必要?

もし印鑑登録をしていないのが子どもである場合はどうなるのでしょうか。
印鑑登録は15歳以上しかすることができませんので、15歳未満の場合には印鑑証明は添付しません。
ただ、未成年者は遺産分割を単独ですることができず、法定代理人が代わってすることになっていますので、法定代理人が自身の印鑑証明を提出することになります。

外国人の場合

外国に居住している方については印鑑登録がありません。
この場合、その方が住んでいる地域の日本領事館において、サイン証明書(署名証明書)を作成してもらい、印鑑証明に代えることになります。

印鑑証明書の取得方法と期限

知っておきたい相続問題のポイント
  • 印鑑証明書は役所で取得できるほか、コンビニでも取得が可能
  • 3ヶ月以内に発行されたもの、という期限を設ける事が多い

印鑑証明書はどこで取得できますか?

市区町村の役所で取得できますが、最近ではコンビニで取得することも可能です。実際手続きに利用する場合には3ヶ月以内に発行されたものという条件がつく場合があるので注意をしましょう。

印鑑証明書の取得方法

印鑑証明書は市区町村の役所で取得が可能です。
住民票などの各種証明書の発行をしている部署で発行をしてもらうことが可能です。
また、マイナンバーカードを発行していていれば、マルチコピー機のあるコンビニで発行をすることが可能な場合があります。
印鑑登録をしている市区町村のホームページを確認してみましょう。

印鑑証明の期限

印鑑証明書については特に法律等で定められた使用期限があるわけではありません。
しかし、本人を確認するという観点から、発行されてから3ヶ月以内のものなど、期限が定めれられている場合があります。
手続きで印鑑証明書が必要な場合には、発行されてから何ヶ月以内のものでなければならないか、というのもあわせて確認しておきましょう。

「実印と印鑑証明書を預からせて」で紛争に

知っておきたい相続問題のポイント
  • 実印と印鑑証明を預かり遺産分割協議書を勝手に作ってしまうケースがある

実は今回相談したのは、兄が「相続手続きをするから、実印と印鑑証明を預かる」と言ってきたからなんです。これは大丈夫なのでしょうか。

遺産分割協議書をこれから作るのであれば、実印と印鑑証明を渡してしまうと、不利な内容の遺産分割協議書を勝手に作成される可能性があります。渡さないようにしましょう。

相続で争いになるケースで、長男や家族の中でリーダー的な行動をする人が、他の共同相続人に「実印と印鑑証明を預かるので渡してほしい」と迫ることがあります。
これによって、相続人全員の実印と印鑑証明がある場合には、預かった人が遺産分割協議書を勝手に自分に有利な方向で作成したうえで、印鑑証明を使って手続きまで済ませてしまうことができます。
相続手続きがどうなったか?と聞いた頃には、相手が財産を全て手に入れているということになりかねません。
実印と印鑑証明を預けてしまうような行為は、たとえ信頼をしていても厳に慎むべきといえるでしょう。

まとめ

このページでは、印鑑証明がどのようなタイミングで必要なのかを中心にお伝えしてきました。
最後の争いになる事例でもお伝えした通り、印鑑証明は各種手続きをする際に重要な書類であるといえます。
用途を知ったうえで、トラブルにならないように、適切に取得・利用をするようにしましょう。

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この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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