遺言書で喪主・葬儀について指定できるか、事前の対処法について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言書には「遺言事項」があり、指定できることとできない事がある
  • 喪主は指定できるが、葬儀の方法については指定が出来ない
  • 指定したい場合には遺言書の付言事項エンディングノートに記載する事で実行される可能性がある。
目次

【Cross Talk 】遺言書で喪主・葬儀の方法は指定できる?

終活をしているのですが、喪主は長男、葬儀は家族だけで行ってもらいたいと考えています。遺言書に書くことで実現できるでしょうか?

喪主に関しては祭祀の主宰承継者として指定が出来ますが、葬儀の方法は指定しても法的な効力がありません。そうであっても、その意思を遺言書などに残したり、今のうちに家族と話し合っておくことが大事です。

詳しいお話をお聞きしたいです。

遺言書で喪主・葬儀方法の指定は可能?対処法と併せて解説

遺言書には「遺言事項」があります。遺言事項に当てはまる事柄は法的な効力がありますが、当てはまらない事柄は相続人や身近な方が自身で従うか判断することになります。喪主は「祭祀の承継者」として指定する事が可能ですが、葬儀の方法に関しては遺族の判断に委ねることになります。 事前の対処法と併せてお伝えしていきます。

遺言書で喪主の指定をすることはできない?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 喪主にしたい方を祭祀承継者として遺言書に明記することで指定ができる
  • 葬儀の方法は指定しても効力は生じない

遺言書に書いて有効になる事、ならない事があると聞いたのですが…

「遺言事項」に当てはまる事は有効となりますが、当てはまらない事は法的な効力が生じません。詳しく見ていきましょう。

遺言書で効力が発生する事項

遺言書に書く内容には、法的に有効となる「遺言事項」が定められています。 遺言事項には、相続分の指定や5年を超えない期間での遺産分割の禁止、遺言執行者の指定、遺贈など遺産に関することに加え、子どもの認知・未成年後見人・未成年後見監督人の指定、推定相続人の遺言廃除などの身分にかかわるものが法的に効力を持つ事項として存在しています。

葬儀の方法に関して指定をすることはできませんが、喪主は「祭祀承継(主宰)者」として遺言事項に含まれています。

喪主に関しては「祭祀承継(主宰)者」として遺言書で指定できる。 民法897条では、祭祀の主宰について以下の規定があります。
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
遺言書で指定しなかった際には慣習に従って祭祀承継者が決定し、一般的には被相続人の配偶者や長子が祭祀承継者としてそのまま喪主となる場合が多いようです。他方、被相続人(亡くなった方)が指定したときには、指定された方が祭祀承継者となると記されており、そのまま喪主となるケースが大半でしょう。

ただ、必ずしも「祭祀主宰者=喪主」ではないという見解も存在しますので、実際に葬儀で喪主を務めるかは、最終的には話し合いや事実上葬儀を主導する人が誰であるか等によります。 また、遺言書で指定がなく、かつ慣習でも明らかでなく、相続人の間で「喪主を誰にするか」で意見が別れた際には「祭祀に関する権利の承継者の指定調停・審判」を家庭裁判所に申立てる場合もあります。

葬儀の方法を指定しても効力は生じない

葬儀の方法に関しては遺言事項ではなく、遺言書に記載しても法的な効力が発生するわけではありませんので、相続人等が必ずしも実行してくれるとは限りません。 もっとも、後記のように、遺言に残すのは自由なので、理由と共に記載しておく、生前によく話し合っておく等によって、相続人等に希望通りに実行してくれる可能性を高めることはできます。

喪主・葬儀の方法を指定したい場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 喪主・葬儀の方法を指定したい場合には遺言書やエンディングノートに記載する
  • 元気なうちに家族・身近な方と話し合いを

喪主・葬儀の方法を指定したい場合にはどうしたら良いでしょうか?

遺言書に記載、エンディングノートに記入することで実行してもらえる可能性はあります。また、元気なうちに家族や身近な方と話し合っておくことが重要です。

遺言書に記載する

遺言書で喪主を指定したい場合には「喪主(祭祀承継(主宰)者)」が誰であるかを明記しておきましょう。 また、遺言書には本文の他に「付言事項」という項目があります。付言事項では遺言事項といった法的な事柄以外に遺族や周りの方に伝えたい文章を記入する事が出来ます。

自筆証書遺言の場合には、自書により遺言書本文に記載します。 付言事項に葬儀方法に関して記載しておくことで、実行してもらえる可能性があります。 なお付言事項には遺族・身近な方へのメッセージや相続の意図・経緯などを記す事もできます。

エンディングノートに記載する

エンディングノートは、自身の万が一のことがあった場合に現在の状況や今後の意向について残す事ができるノートです。 法的な拘束力はありませんが、遺族や周りの方が「本人の意向を尊重したい」「保有財産や親しい方の連絡先について知りたい」という場合に役に立ちます。 フォーマットはありませんが、地方自治体法務局のホームページからダウンロードする事が可能で、配布を行っている市町村もあります。 エンディングノートに、喪主や葬儀の方法について指定する事で、意向を汲んでもらえる可能性があります。 遺言書・エンディングノートに記載した場合でも、必ずしも実行されるとは限りません。元気なうちに家族・身近な方と話し合っておくことも重要です。

まとめ

遺言書で喪主・葬儀の方法を指定した場合について解説しました。民法では「祭祀承継(主宰)者」を遺言書で指定する事が出来ますが、「祭祀の主宰者=喪主であるか」等で意見が割れる可能性があります。また、葬儀方法は指定を行っても法的な効力は生じません。 遺言書に記載する、エンディングノートに書くなどの対処法がありますが、遺言書の作成に自信がない方や書き方が分からない方は相続に強い弁護士に相談しましょう。

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