遺言の有効性と長谷川式認知スケールの点数との関係を確認
ざっくりポイント
  • 遺言をするためには遺言能力が必要
  • 長谷川式認知スケール遺言能力の有無を判断するために利用される
  • 長谷川式認知スケール10点前後が目安
目次

【Cross Talk 】長谷川式認知スケールと遺言の有効性の関係は?

先日母が亡くなりました。相続人である兄が母の自筆証書遺言を出してきたのですが、遺言書に記載された日付を見ると、このころ母は認知症で病院にかかっていたはずなのです。遺言は無効だと主張したいのですが、いろいろ調べていると長谷川式認知スケールというものがあると知りました。

遺言をするには遺言能力というものが必要なのですが、遺言能力の有無を認定するために、医師が行う検査の一つである長谷川式認知スケールというものが利用されます。過去のカルテを取り寄せてみましょう。

是非詳しく教えてください。

遺言が有効となる要件である遺言能力の有無の判断に使われる長谷川式認知スケールとは

遺言をするためには、自分の遺言によってどのような結果になるかを認識することができる、遺言能力が要件となります。認知症になっているような場合には、遺言をすることでどのような結果になるかわからない状態になっている場合があるので、遺言能力を欠き遺言が無効となることがあります。認知症の診断をするための検査方法として長谷川式認知スケールというものが利用されるのですが、これが遺言能力の有無を判断するために裁判所でも利用されています。このページでは、遺言と長谷川式認知スケールの関係についてお伝えいたします。

遺言と長谷川式認知スケールとの関係

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言をするためには遺言能力が必要である
  • 遺言能力の有無を判断するために長谷川式認知スケールの結果が利用される

遺言と長谷川式認知スケールの関係をもう一度教えてください。

遺言が有効となるための要件である遺言能力の有無を判断するのに利用されるのが長谷川式認知スケールです。

遺言において長谷川式認知スケールがどのように関係するのかを詳しく確認しましょう。

遺言が有効となるための要件として遺言能力が必要

遺言をするにあたって、それが有効とされるための要件として遺言者に遺言能力があることが求められます。 遺言能力とは、自分のした遺言によってどのような結果になるかを認識する能力のことをいいます。

認知症にかかっている場合には遺言能力が問題となる

認知症とは、認知機能の低下により日常生活全般に支障をきたす病気です。 認知症が進行すると、遺言のような法律行為を正常に行うことができなくなる場合があります。 そのため、認知症を発症した方が遺言を行っていた場合には、遺言で不利になる人から、遺言者に遺言能力がなかったのではないかが争われることになるのです。

遺言能力の有無を判断するための長谷川式認知スケール

では実際に遺言能力があるかどうかをどうやって判断するのでしょうか。 認知症であるかどうか、その状態を調べるためには、病院で検査が行われます。 検査の一で、神経心理学検査として行われるのが「長谷川式認知スケール」(HDS-R(改訂 長谷川式簡易知能評価スケール))です。 これは、医師から本人に対して、自分の年齢・今日は何日であるか・今自分がどこにいるのかなどの質問をして、その回答内容に点数をつけ、点数によって認知機能の低下の具合を計るものです。 30点満点で、20点以下だった場合には、認知症の疑いが高いとされます。 そして、この点数は裁判所で遺言能力の有無の認定によく用いられますので、遺言能力があったかどうかの有力な資料となることになります。

長谷川式認知スケールのみで判断するわけではない

以上のように長谷川式認知スケールは有力な資料となりますが、この点数のみで遺言能力の有無が決定されるわけではありません。 長谷川式認知スケール以外にも、同様の認知機能検査としてMMSE(ミニメンタルステート検査)、DASC-21、MoCAといったものが存在します。 また、他の検査結果や、本人の状態、遺言の内容によって、遺言能力の有無を総合的に判断することになる点に注意をしましょう。

遺言をするための遺言能力の有無と長谷川式認知スケールの判例

知っておきたい相続問題のポイント
  • 長谷川式認知スケール10点以下については遺言能力を認めないことが多い
  • 長谷川式認知スケール11点~19点の場合はケースによる
  • 長谷川式認知スケール20点以上の場合には遺言能力を認める可能性が高い

では、長谷川式認知スケールが何点であれば遺言能力を認めないのでしょうか。

10点以下である場合には遺言能力を認めず、20点以上であれば遺言能力を肯定する傾向にあるようですね。その間である11点~19点の場合にはケースによると言えます。

長谷川式認知スケールの点数と遺言能力の有無の関係について確認しましょう。

10点以下については遺言能力が認められない

長谷川式認知スケールが10点以下の場合には、遺言能力が認められない可能性は極めて高いと考えて良いです。 過去の裁判例で、遺言自体は単純な内容であったものでも否定しているものもありますし、公正証書遺言でされた遺言でも意思能力を否定した例があります。

11点~14点については遺言能力が認められない傾向にある

長谷川式認知スケール11点~14点である場合にも、遺言能力を認めない傾向にあると考えられます。 長谷川式認知スケール14点と認定された自筆証書遺言が無効とされた例などがあります。 遺言能力が肯定されるとすれば、遺言の内容がシンプルで、長谷川式認知スケールの点数は低いけども、その他の検査結果が良好であるような場合ぐらいといえるでしょう。

15点~19点については遺言能力が認められる傾向にある

長谷川式認知スケール15点~19点である場合には、遺言能力を認める傾向にあるといえるでしょう。 遺言についての判断ではありませんが、税理士への納税申告の委任や、長男への交通事故の示談請求の委任をしたものなどにおいて、法律行為の基礎となる意思能力を肯定している事例があります。 ただし、遺言内容の難易や、長谷川式認知スケール以外の検査の結果や医師の所見次第では無効となるケースもあり得ると考えておくのが良いでしょう。

20点以上では遺言能力が認められる可能性が高い

長谷川式認知スケールが20点以上の場合には、そもそも認知症と疑われないケースもあるので、遺言能力を認める可能性が高いといえます。 しかし、100%であるというわけではないことに注意が必要です。 遺言書作成の4ヶ月前に実施した長谷川式認知スケールは20点であったものの、診断書に金銭の管理ができないとされていた方の遺言について無効とする判決が下されたこともありました。

遺言能力がないと判断できる場合の対応方法

遺言能力がないと判断できる場合には、どのように対応すべきでしょうか。 その遺言が有効であることを前提とした主張をしてくる相続人・受遺者がいる場合には、遺言の無効を主張し、場合によっては遺言の無効を確認する訴訟を提起することが考えられます。 一方で当事者全員が、その遺言によらない相続を望んでいる場合には、全員で遺産分割協議をすることも考えられます。
詳細は 遺言の内容を覆すことはできますか?相続人本人が行うには?
遺言書に納得できない!遺言書と異なる遺産分割はできる? 以上のページで詳しく解説していますので、参考にしてください。

まとめ

このページでは遺言と長谷川式認知スケールの関係を中心にお伝えしました。 長谷川式認知スケールは、認知症の検査としておこなわれるもので、遺言能力の有無を判定するため有力な証拠となるものです。 ただし、遺言能力の有無については、総合的な判断が行われるので、無効を主張したい・無効を主張されたような場合には、弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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