遺言書を捨てた場合の法律関係を、遺言者・相続人・うっかり・わざとに分けて確認
ざっくりポイント
  • 遺言者が遺言書を捨てた場合の法律関係
  • 相続人が遺言書を捨てた場合の法律関係
  • 相続人が遺言書を捨てると相続できなくなったり刑事罰に処せられる可能性がある
目次

【Cross Talk 】遺言書を捨てたらどうなるの?

私の相続についてご相談があります。私は公正証書遺言をしたのですが、公証役場でもらった遺言書を誤って捨ててしまったようなのです…。遺言書を捨てた場合に法律上はどうなるのでしょうか。

公正証書遺言の場合には原本が公証役場にあるので特に影響はありませんよ。

そうなんですね!自筆証書遺言だとまた結論が違うのでしょうか?詳しく教えてください。

遺言書を捨てたらどうなるの?遺言者本人か相続人か?わざとなのか・うっかりなのか?ケースごとに解説

遺言書は大事な書類ですが、遺言者本人が、これはもう使わないと捨ててしまったり、書類を整理している間に誤って捨ててしまうことがあります。また、相続人が遺言書を見つけて、自分に不利であるからと捨ててしまったり、遺品整理時に誤って捨ててしまうことがあります。 捨ててしまった遺言書の種類によっても異なりますので、ケース別に確認してみましょう。

遺言者が遺言書を捨てたときの処理

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言者が自筆証書遺言書・秘密証書遺言書を捨てた場合
  • 遺言者が公正証書遺言書を捨てた場合

私が遺言書を捨てしまった場合にはどうなるのですか?

遺言書が自筆証書遺言なのか公正証書遺言なのかによって違うので、分けて考えていきましょう。

遺言者本人が遺言書を捨ててしまったときの法律関係については、遺言書が自筆証書遺言書・秘密証書遺言書・公正証書遺言書なのかによって異なるので、分けて考えましょう。

自筆証書遺言・秘密証書遺言を捨てたときの処理

自筆証書遺言・秘密証書遺言を捨てたときの処理を検討しましょう。 まず、自筆証書遺言・秘密証書遺言を故意に捨てたときには、民法1024条で破棄した部分の遺言を撤回したものとみなすことになっています。 うっかり捨ててしまった場合は直接この条文にあたりませんが、捨ててしまっている以上、遺言者が亡くなったあとに発見されることはないので、遺言はないのと同じ状態といえるでしょう。 なお、自筆証書遺言書保管制度によって、法務局で保管をしている場合には、本人には保管証のみが渡されます。

この保管証はあくまで保管をしていることについての情報が記載されているだけなので、これを故意に捨ててもうっかり紛失しても、遺言書自体は法務局に残っています。 もし、この遺言の内容を撤回したい変更したい場合には、新たに遺言をする必要があります。 遺言書の撤回・取り消しについては、「遺言書を書き換えたい!撤回・取り消しについての注意点」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

遺言者が遺言をわざとあるいはうっかり捨ててしまった場合でも、とくに刑事罰などのペナルティはありません。

公正証書遺言書を捨てたときの処理

公正証書遺言をすると、原本は公証役場で保管され、遺言者には正本と謄本が渡されます。 遺言者が保有している正本・謄本は、死後に公正証書遺言書として手続きに利用することができます。 正本・謄本をわざと捨てた、うっかり捨てた、いずれの場合でも、原本は公証役場で保管されていることになるので、捨ててしまったことで遺言に影響を及ぼすことはありません。

遺言の内容を撤回・変更したい場合は、公証役場において遺言を撤回する旨を申述するか、新たな遺言書を作成する必要があります。 この場合にも遺言者には特にペナルティはありません。

相続人が遺言書を捨てたときの処理

知っておきたい相続問題のポイント
  • わざと遺言書を捨てた場合は相続欠格となり刑事罰となる可能性がある
  • うっかり捨てた場合には特にペナルティはない

私が亡くなった後に相続人が遺言書を捨ててしまった場合にはどうなるのでしょうか。

わざと捨てた場合には相続欠格となったり刑事罰となる可能性もあります。

次に、遺言書を捨てたのが相続人である場合には法律的にはどのような処理がされるかを確認しましょう。

遺言書をわざと捨てた場合には相続人の欠格事由に該当

相続人が遺言書をわざと捨てた場合には、相続人の欠格事由となります。 民法891条に規定されている事由を行った相続人については、相続人になることができなくなる旨が規定されています。

この制度は「相続欠格」と呼ばれています。 そして、民法891条5号は、「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」と規定しているので、わざと捨てた場合には相続人になることができなくなるというペナルティが課せられます。 なお、解釈によって、相続で利益を得るあるいは不利益を避ける目的がなければ5号にあたらないとされていますので注意をしましょう。

相続欠格については、「相続欠格とは?確認方法や相続廃除の違いについてわかりやすく解説!」で詳しく解説していますので参照してください。 なお、相続欠格となった方に子どもがいる場合には、その子どもが代襲相続をすることになります。

うっかり遺言書捨てた場合には相続欠格にはあたらない

これに対して、遺品整理をしていてうっかり遺言書を捨ててしまったような場合には、相続欠格にはあたりません。 自筆証書遺言や秘密証書遺言のように、もう遺言の内容を確認しようがないのであれば、遺産分割協議を行って相続をすることになります。

公正証書遺言は再発行をしてもらえる

公正証書遺言書として本人が保管していた正本・謄本を破棄した場合でも、原本は公証役場に預けられています。 この場合には再発行をしてもらうことが可能なので、公証役場に相談をしてみましょう。

刑事罰もある

自筆証書遺言・秘密証書遺言をわざと捨てた場合には、私用文書等毀棄罪(刑法259条)が成立し、5年以下の懲役刑に処される可能性があります。

まとめ

このページでは、遺言書を捨てた場合について確認しました。 わざと・うっかり両方の可能性で遺言者本人が遺言書を捨てる、相続人に遺言書を捨てられてしまう可能性はあります。 原本が公証役場・法務局で保管されるような、公正証書遺言書・自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は捨てられるおそれがないのですが、自筆証書遺言書・秘密証書遺言書については捨てられてしまうおそれがあります。 それぞれの場合の処理の概要を把握して、争いたいことがある場合は、弁護士にご相談をしてみてください。

この記事の監修者

弁護士 鈴木 奏子
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