いらない不動産がある場合に相続放棄で対応できる?
ざっくりポイント
  • いらない不動産がある場合でも相続放棄は可能
  • 相続放棄をすると他の遺産も相続できない
  • 相続放棄によって誰も管理することがなくなった不動産の管理について
目次

【Cross Talk 】山奥のいらない不動産を相続放棄したい

先日父が亡くなり相続の手続きをしています。昔は田舎のほうの地主だったようで、山奥の土地を相当持っているのですが、どう考えても誰も使わないですし、固定資産税のみがかかるので、正直いらないです。父に借金があったわけではないのですが相続放棄をしようと思っているのですができますか?

相続放棄をすると相続人ではなくなるので他の遺産も相続できなくなるので注意しましょう。

先にお伺いしておいてよかったです!詳しく教えて下さい。

いらない不動産があるという理由で相続放棄できる?

被相続人が借金をしているときに利用が検討される相続放棄ですが、いらない不動産があるという理由で相続放棄もできます。ただし相続放棄によって相続人ではなかったことになるので、他の遺産も相続することができなくなります。相続人となる方全員が相続放棄をした場合の処理や、その場合の不動産の管理についても確認しておきましょう。

不動産がいらない場合の相続放棄

知っておきたい相続問題のポイント
  • 不動産がいらないという場合でも相続放棄できるのか
  • 相続人が誰もいなくなった場合に不動産などの遺産は相続人不存在の手続きを経て国庫に帰属することになる

親の借金が原因でなくても相続放棄はできますか?

はい可能です。相続放棄は理由を問いません。ただし他の遺産も相続できなくなるので気をつけてくださいね。

不動産がいらない場合に相続放棄をすることが可能なのでしょうか。

相続放棄自体は可能

まず、相続放棄自体は可能です。 相続放棄は被相続人が借金をしていてたようなケースでよく問題になるため、本件のような借金があるわけではない事例では相続放棄はできないと誤解している方も多いです。 しかし、相続放棄をする場合に特に理由を問われるわけではないので、不動産がいらないという理由でも相続放棄をすることは可能です。 なお、被相続人の借金が理由ではない相続放棄としては、相続争いに巻き込まれたくないというケースでも相続放棄が利用されることもあります。

相続放棄をするといらない不動産だけではなく全ての遺産を相続できなくなる

相続放棄は可能ですが、相続放棄をするといらない不動産だけではなく、全ての遺産を相続することができなくなることを知っておきましょう。 例えば、亡くなった方が不動産以外に預貯金も持っていた場合、相続放棄をすると不動産はもちろん、預貯金も相続できなくなります。 相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなすとされています(民法939条)。 いらない不動産だけを相続しないという制度はないことに注意をしましょう。

いらない不動産があるけれど、その他のものは相続したいという場合には、遺産を相続したうえ、不動産を売却することを検討しましょう。売却の際には、不動産会社に相談するのもよいでしょう。 また、売却までに時間がかかりそうな場合、売却できるまで自分で不動産を管理しなければならないことも考えられます。それに備えて、遺産分割協議で不動産管理のためのコストについても合わせて話し合うことにしましょう。 本件のように山奥の土地の場合、適切な管理をしなければ不法投棄などがされることになります。

相続放棄は3ヶ月以内にする必要がある

相続放棄の手続きをする際には、自分が相続人になったと知ってから3ヶ月以内にする必要があります。 相続放棄をするかどうか調査がすすんでおらず、3ヶ月以内に判断できない場合には、家庭裁判所に申し出て期間を伸ばすことができます。

誰も相続しなくなった不動産はどうなる?

相続人となる資格がある方が全員相続放棄をした場合には、相続人が不存在である場合の手続きを経て、最終的には国庫に帰属する(=国のものになる)ことになります(民法959条)。

不動産がいらないから相続放棄をする際の注意点

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続放棄によって相続の順位が変わることがあるのでその方には知らせておくほうが良い
  • 相続放棄後の不動産の管理義務

遺産もあまりないので相続放棄をしてしまおうかと思うのですが、なにか注意点はありますか?

相続放棄をすることで相続の順位が変わることがあります。先に知らせておくほうが揉め事にならずにいいですね。あと、もし不動産を管理している場合手続きが終わるまで管理をする義務を負います。

不動産がいらないから相続放棄をする際の注意点を知っておきましょう。

相続放棄によって相続人となる方がいる場合には連絡をする

相続放棄をすると、上述した通りはじめから相続人ではなかったことになります。 その結果相続の順位が変わることがあり、相続人ではなかった方が相続人になることがあります。 例えば、ある方が亡くなり、子どもが全員相続放棄した場合、相続人となる子どもがいなかったとして親・祖父母などの直系尊属が相続人になります(民法889条1項)。 既に親・祖父母などがいない場合や、親・祖父母も相続放棄をした場合で、兄弟姉妹がいる場合には兄弟姉妹が相続人となります。 よくある事例としては、既に両親・祖父母が亡くなっているような事例で、子どもが全員相続放棄をして、兄弟姉妹が相続人になったり、兄弟姉妹も亡くなっている場合にはの子ども(今回亡くなった人の甥・姪に当たる人)が代襲相続したりすることがあります。

このとき、自身が相続放棄したことを連絡しないでいると、次に相続人となるべき人が、相続人となったことに気づいていないことが多くあります。その場合、次に相続人となる人は、市区町村から固定資産税の請求をされたり、不法投棄について事情を聞かれたりすることで始めて相続人となっていることを知ることになります。 自分が相続人となったことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄をすることができるのですが、手続きの負担やこのような請求などを受けることに「なんで自分が…」と良くない感情を持つことは避けられず、トラブルになる可能性があります。

そのため、事前に事情や相続放棄をする旨を伝えて了承を得ておくほうが、トラブルの可能性を詰んでおくことができるでしょう。

事実上管理している不動産は引き渡すまで管理する義務がある

相続放棄をする不動産に実際に居住していたり、車やコンテナを置いて倉庫代わりにしているような場合があります。 相続放棄をする場合、これらの不動産を事実上管理している場合、相続人は管理できる方が現れるまで「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」管理の継続をする義務があります(民法941条)。 他の相続人が相続をする場合にはその方が管理をするまで、相続人が不存在である場合には家庭裁判所から選出された相続財産管理人が管理を始めるまで、管理をしなければなりません。 なお「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」とは、いわゆる他人のものを業務で預かっている善管注意義務よりも緩やかな注意義務です。

まとめ

このページでは、いらない不動産がある場合の相続放棄についてお伝えしました。 いらない不動産がある場合でも相続放棄は可能ですが、他の遺産も相続できなくなるといことには特に注意をしましょう。 不明な点があれば弁護士に相談してみてください。

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