遺産の中に不動産がある場合の固定資産税について解説いたします。
ざっくりポイント
  • 不動産を所有していると固定資産税がかかる
  • 遺言書がある場合は原則として、遺言書の内容に従って固定資産税を負担する
  • 遺言書がない場合は原則として、法定相続分の割合で固定資産税を負担する
目次

【Cross Talk 】遺産の中に不動産がある場合、固定資産税はどうなるの?

遺産の中に不動産があるのですが、固定資産税はどうなるのでしょうか?

相続に関する固定資産税は、被相続人の未納の分や、遺産分割が完了するまでに発生した分など、複数の場合があります。いずれにせよ、固定資産税は相続人が負担するのが原則です。

相続に関する固定資産税は、基本的に相続人が負担するんですね。各場合について詳しく教えてください!

遺産の中に不動産がある場合の固定資産税・遺産分割について解説いたします。

遺産の中に不動産がある場合、不動産について固定資産税が課税されます。 相続に関する固定資産税は、被相続人の未納の固定資産税や、遺産分割が完了するまでに発生した固定資産税など、複数の場合があるので複雑です。 そこで今回は、遺産の中に不動産がある場合の固定資産税について解説いたします。

遺産の中に不動産がある場合の固定資産税の取り扱い

知っておきたい相続問題のポイント
  • 不動産を所有していると固定資産税がかかる
  • 固定資産税の対象は土地や建物などである

固定資産税の対象となる不動産はどのようなものがありますか?

固定資産税の対象としては宅地・田畑・山林などの土地や、家屋・店舗・工場などの建物があります。また、一定の機械や船舶などが対象となる場合があります。

不動産を有していると固定資産税がかかる

不動産を所有している場合は、不動産に対して固定資産税がかかります。 固定資産税とは、土地や家屋など、固定資産税の対象となる物件の所有者に対して課される税金です。対 象となる不動産の所在地の市町村(東京23区の場合は東京都)が課税します。

固定資産税の税額は、固定資産税の対象となる不動産の価格をもとに算定されます。 固定資産税の税額の基準となる価格を、固定資産税評価額といいます。固定資産税評価額は3年に1度の割合で更新されますが、一般に不動産の実売価格の7割程度が設定されます。

固定資産税がかかる対象

固定資産税の対象となる物件を、固定資産といいます。一般的な固定資産として、以下のものがあります。
・宅地・田畑・塩田・鉱泉地・山林・池沼・牧場・原野・その他土地
・家屋・店舗・工場・発電所・変電所・倉庫・その他建物
・構築物・機械・装置・工具・器具・備品・船舶・航空機などの事業用資産のうち一定のもの

遺産分割前に発生した固定資産税はどうなる

被相続人が亡くなってから遺産分割前に発生した固定資産税は、原則として相続人全員が支払いの義務を負います。 固定資産税は1月1日が基準になりますが、その時点で既に被相続人が亡くなっている場合は、その固定資産税は被相続人ではなく、相続人に対して課税されます。

例えば、被相続人が令和3年10月に亡くなっており、令和4年1月1日に固定資産税が発生した場合、その固定資産税は相続人に対して課税されているのです。 仮に固定資産税の対象である不動産の名義が被相続人のままであっても、名義変更が終わっていないだけであり、固定資産税は相続人に対して課されます。

1月1日の時点で遺産分割が成立していない場合、固定資産税の対象である不動産は相続人全員が共有している状態なので、固定資産税も相続人全員が支払いの義務を負っています。 具体的には、それぞれの相続人が自己の法定相続分の割合で、固定資産税の費用を捻出するのが一般的です。

例えば、相続人が長男と次男の2人であり、固定資産税が10万円の場合は、それぞれの法定相続分(1/2ずつ)として5万円ずつ捻出します。 ただし、1月1日の時点では遺産分割が終わっていなくても、固定資産税の納付期限までに遺産分割が終わった場合は、対象の不動産を相続した相続人が固定資産税を支払う例も見られます。

例えば、不動産Aの固定資産税の納付期限が、令和5年2月末日であるとしましょう。 遺産分割の結果、長男が不動産Aを相続することが令和5年1月中に決まった場合、協議により長男が固定資産税を全額納付する場合もあるのです。

遺産分割で固定資産税をどう取り扱うか

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書がある場合は原則として、遺言書の内容に従って固定資産税を負担する
  • 遺言書がない場合は原則として、法定相続分の割合で固定資産税を負担する

分割納付の関係で、被相続人の固定資産税に未納があります。誰が固定資産税を負担するのでしょうか?

固定資産税について遺言書がある場合、原則として、遺言書の内容に従って固定資産税を負担します。遺言書がない場合は原則として、法定相続分の割合によって各相続人が負担します。

遺言書がある場合

被相続人に対して課税された固定資産税に未納がある場合、相続人が固定資産税を納付する必要があります。 固定資産税は年4回に分けて納付できるのが一般的ですが、分割納付が終わる前に被相続人が亡くなってしまうことで、固定資産税に未納が発生する場合があるのです。

例えば、合計16万円の固定資産税を、4月・7月・12月・翌年2月の4回に分けて納付するとしましょう。 4月と7月の分を納付した後、8月に被相続人が亡くなった場合は、12月と翌年2月の分の8万円について、固定資産税が未納になってしまいます。 被相続人の未納分の固定資産税については、相続人が納付義務を負います。 固定資産税の納付について遺言書がある場合は、原則として、遺言書で指定された相続人が固定資産税を負担します。

例えば、「不動産Aは長男に相続させる。不動産Aの固定資産税については、被相続人に課されたものも含めて、全て長男が負担するものとする」という遺言書があったとしましょう。 遺言書によって、不動産Aの固定資産税については全て長男が負担するものと指定されているので、原則として長男が固定資産税を負担することになります。

遺言書がない場合

固定資産税の納付について遺言書がない場合は、原則として、法定相続分の割合で各相続人が固定資産税を負担します。 例えば、固定資産税に12万円の未納があり、相続人として配偶者・長男・次男の3人がいるとしましょう。 各相続人の法定相続分の割合は、配偶者1/2・長男1/4・次男1/4です。 法定相続分に基づいて未納の固定資産税を分けると、配偶者6万円・長男3万円・次男3万円ずつで固定資産税を負担します。

なお、遺産分割協議をして誰が固定資産税を負担するかを決めて、特定の相続人が固定資産税を納付することもできます。 例えば、遺産分割協議によって次男が不動産を相続することが決まったので、次男が固定資産税を全額負担するとするなどです。

ただし、特定の相続人が固定資産税を負担すると決めたとしても、相手方(固定資産税を賦課する市町村)に対して主張できるわけではありません。 次男が固定資産税をきちんと納付しない場合は、他の相続人に対して相手方から請求される可能性があります。

まとめ

遺産の中に不動産が含まれている場合、固定資産税の対象になります。 被相続人に対して課税された固定資産税について未納分がある場合、各相続人が法定相続分に応じて負担するのが原則です。 相続の発生後、遺産分割が完了する前に固定資産税が発生した場合も、原則として各相続人が法定相続分に応じて負担します。 遺産分割協議によって負担者を決めることもできますが、相手方に対して主張できるのではない点に注意しましょう。

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