
- 相続人代表者指定届とは何?
- 固定資産税の納税を怠るとどうなるのか?
- 不動産を相続する人が決まるとどうなるのか?
【Cross Talk】「相続人代表者指定届についてのお願い」という通知が届いた!「相続人代表者指定届」って何?
最近、身内に不幸があったのですが、その後、市役所から「相続人代表者指定届のお願い」という通知書が届きました。相続人代表者指定届とは、一体何なのでしょうか。
「相続人代表者指定届」というのは、亡くなった人が従来受け取っていた納税通知書について、それ以降、誰が受け取るのかを指定するための届出です。
身内が亡くなった場合、その相続人に「相続人代表者指定届のお願い」という通知が届くことがあります。あまり馴染みのない言葉ですが、一体どのような意味を持つ届出なのでしょうか。 この記事では、「相続人代表者指定届」がどのような事項を届け出るものなのか、また、その届出時期や届出をしなかった場合の罰則の有無などについて、解説します。
相続人代表者指定届とは?

- 相続人代表者指定届はどのような場合に提出しなければならないのか
- 相続人代表者指定届を提出することによってどのような効果が生じるのか
- 相続人代表者指定届を提出しなかった場合の罰則はあるのか
「相続人代表者指定届」は、どのような場合に提出する必要があるのでしょうか。これを提出すると、どのような効果が生じるのでしょうか。
提出にあたっては、いくつか知っておくべきポイントがありますので、具体的に見ていきましょう。
身内が亡くなった場合に、役所から「相続人代表者指定届のお願い」という通知書が届く場合があります。この届出を提出するにあたっては、以下の5点に留意しておく必要があります。
相続人代表者指定届を提出しなければいけない場合
不動産を所有している人は、役所から毎年5月~6月に送られてくる納税通知書に基づき、固定資産税を納付する必要があります。 そのため、不動産を所有する人が亡くなった場合には、亡くなった人に代わって納税通知書を受け取る人を役所に知らせる必要があります。法定相続人が一人である場合には、原則として、それ以降法定相続人が固定資産税を納付することになりますので、法定相続人に納税通知書が送られます、 ですが、法定相続人が複数いる場合、遺産分割協議を終えていない段階では、各法定相続人が不動産を共有している状態になります。 このような場合に、すべての法定相続人に対し、納税通知書を送るとなると、役所にとっても大変な手間です。
そこで、法定相続人の中から納税通知書を受け取る代表者を指定して届け出るためのものとして、「相続人代表者指定届」があるのです。 相続人代表者指定届を提出させることにより、役所は、代表者として届け出た者だけに納税通知書を送ればよくなるため手間を省くことができます。
このように、「相続人代表者指定届」は、不動産の相続人が確定していない場合において、納税通知書を受け取る人を指定するために提出する必要があります。
相続人代表者指定をしなければならない法定相続人とは
相続人代表者指定により、指定される代表者は「法定相続人」である必要があります。 ここでいう「法定相続人」とは、相続分を受け取ることができる相続人として、民法で定められている者をいい、以下のように順位が付けられています。第一順位:配偶者と子 第二順位:配偶者と直系尊属(両親や祖父母等) 第三順位:配偶者と兄弟姉妹
このように、亡くなった人に配偶者がいれば、配偶者は必ず法定相続人となり、そのほか、子、直系尊属、そして兄弟姉妹という順で法定相続人になるものとされています。
相続人代表者指定届の提出時期
先に見たように、相続人代表者指定届は、亡くなった人に代わって納税通知書を受け取る人を指定するために必要となる届出です。 納税通知書は、1月1日時点における不動産の登記名義人宛てに、毎年5月1日に発送されるのが一般的です。相続人代表者指定届の提出時期について、特に決まりはありませんが、役所は「登記名義」を基準として、納税通知書を送りますので、亡くなった年の12月末までに相続登記を完了できないようであれば、すみやかに相続人代表者指定届を提出した方が良いでしょう。 また、1月から4月までの間に被相続人が亡くなった場合は、相続登記の時期に関係なく、直ちに届け出を提出すべきでしょう。相続人代表者指定届を提出した場合の効果
相続人代表者指定届が受理されると、代表者として届け出た者が納税通知書を受け取る人として指定されることになります。 ここでポイントとなるのは、あくまで納税通知書を受け取る人が決まるという効果しか持たないということです。相続人代表者指定届を提出することにより、代表者が不動産の相続人として確定するわけではありませんし、そのことにより遺産分割協議が確定するわけでもありません。 つまり、納税通知書の送り先が届出をした人に決まるだけであって、それ以上の効果は何も生じません。
相続人代表者指定届を提出しなかった場合に罰則はある?
相続人代表者指定届を提出しなかったからといって、ペナルティを受けることはありません。 その場合は、役所が納税通知書の送付先を決め、その人に対し納税通知書が送られることになります。固定資産税の納税を怠った場合

- 遺産分割が終わるまで固定資産税を納付しないことはできるのか
- 固定資産税を滞納するとどうなるのか
不動産を相続する人が決まるまで、固定資産税を納付しなくても大丈夫ですか。
それはできません。固定資産税の滞納が続くと、最悪の場合、不動産を失うことにもなりかねません。
遺産分割協議が終了せずに、不動産を相続する人が確定していない間は、固定資産税を納めなくてもいいようにも思えます。 しかし、たとえ遺産分割協議が終わっていないとしても、それまでの間は、法定相続人が固定資産税を納める義務を負っています。 にもかかわらず、固定資産税を長期にわたり滞納すると、役所から催促を受けることになり、それでも滞納し続けると、不動産を差し押さえられ、公売にかけられる可能性もあります。
一旦不動産を差し押さえられてしまうと、滞納している固定資産税を全額納付しない限り、役所は差し押さえを解除してくれません。 滞納を解消できない状態が続くと、公売にかけられる可能性があり、その場合は、不動産は第三者の手に渡ってしまいます。
不動産を相続する人が決まった場合

- 不動産を相続する人が決まった場合、納税通知書の受取人は誰になるのか
相続人代表者指定届を提出した後に、不動産を相続する人が決まった場合、納税通知書はそれ以降誰に送られることになりますか。
不動産を相続する人が決まれば、その翌年から納税通知書は不動産を相続した人に送られることになります。
相続人代表者指定届は、遺産分割協議を終えていないことなどにより、不動産を相続する人が決まっていない場合に、納税通知書を受け取る人を指定するために提出されるものです。 そのため、不動産を相続する人が決まった場合は、その翌年から不動産を相続した人に納税通知書が送られることになります。 なお、不動産を相続する人が決まった場合であっても、その旨の登記を行わないかぎり、その相続人に納税通知書が送られてくることはありませんので、注意が必要です。
まとめ
不動産を所有していた身内が亡くなった場合でも、固定資産税の納税義務までが消えてなくなるわけではありません。 不動産を相続する人がすぐに決まらないような場合は、納税通知書を受け取る人を指定するための「相続人代表者指定届」を提出しておいた方が良いでしょう。 相続人代表者指定届を提出することにより、固定資産税の税額や納期などを適切に管理することができます。 固定資産税を滞納し続けると、最悪の場合、不動産を公売にかけられる可能性もあり、その場合、不動産を手放すことになってしまいます。 そのようなことにならないためにも、不動産の相続人が決まっていない場合は、相続人代表者指定届を提出することをお勧めします。

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