LGBTのためのパートナーシップ制度を利用した場合に相続はできない!対応方法を確認する。
ざっくりポイント
  • LGBTとパートナーシップ制度についての概要
  • パートナーシップ制度を利用したLGBTの方でも相続はできない
  • LGBTの方がパートナーに遺産を譲渡したい場合
目次

【Cross Talk】同性のパートナーに遺産を譲りたい

私は、性別は女性ですが心は男性で、いわゆるLGBTです。一緒に住んでいる女性がいるんですが、先日パートナーシップ制度を利用してパートナーとしての証明書をもらいました。そこで相談なのですが、もし私が亡くなった場合に、パートナーは私の遺産を相続することができますか?

パートナーシップ制度を利用しても、パートナーは相続をすることができません。遺言を残しておくことで遺産を渡すことができますよ。

是非手続きについて詳しく教えてください。

パートナーシップ制度を利用しても相続はできない!遺言をしておくなど対応をしておこう。

日本では同性婚が認められていません。LGBTで同性と一緒に暮らしている方のために、東京都渋谷区などの一部の自治体でパートナーシップ制度というものを設けて、一定の基準を満たす同性カップルについて、パートナーであることの証明を発行してもらうことができます。

しかし、これによって法律上の配偶者となることができるわけではないので、相続をすることはできません。特別縁故者として遺産を譲り受けることができる可能性がありますが、確実に財産をパートナーに渡したい場合には、遺言などの対策が必要です。

LGBTとは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • LGBTとは何か?

そういえば、どうしてLGBTっていうのでしょうか?LGBTとはどのようなものですか?

レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシャル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)の頭文字を組み合わせた言葉で、性的少数者(セクシュアルマイノリティ)を総称する言葉です。

そもそも、LGBTとは何でしょうか。 LGBTは上述したとおり、レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシャル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)の頭文字をとったもので、性的少数者の総称をいいます。 それぞれの言葉の意味は次のとおりです
言葉 意味
レズビアン(Lesbian) 女性の同性愛者
ゲイ(Gay) 男性の同性愛者
バイセクシャル(Bisexual) 両性愛者
トランスジェンダー(Transgender) 性自認と身体上の性別が不一致な人
LGBTを定義する言葉はないのですが、一般的には性的少数者(セクシャルマイノリティ)を指しており、昨今では国際連合などの国際機関において、人権問題を扱う公文書でもこの言葉が採用されています。

パートナーシップ制度とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • パートナーシップ制度の概要

パートナーシップ制度って結局はどのようなものでしょうか。

同性カップルに対してパートナーであることを証明する制度で、東京都渋谷区と世田谷区で始まったものです。

パートナーシップ制度とはどのようなものでしょうか。 日本では同性婚が認められていません。 性的少数者の人権を尊重する意味でも、法律上の婚姻関係は認められなくても、婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義して、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明してくれるものです。 東京都渋谷区と世田谷区で採用されて以来、これを採用する自治体は増えており、2020年7月1日には神奈川県川崎市など5つの自治体でも採用され、計56自治体で採用されるに至っています。

LGBTの同性カップルの場合にパートナーは相続できない

知っておきたい相続問題のポイント
  • 誰が相続人になるか
  • LGBTのパートナーは相続できない

パートナーは相続できないのですね。

はい。相続人は法律で決められており、LGBTの方がパートナーシップ制度を利用してパートナーとなった場合でも、法律上の相続人でないため相続できません。

パートナー制度を利用しても相続人になれないのはどうしてでしょうか。

相続人の範囲

相続をすることができるのは法律で定められた相続人です。
第一順位の相続の場合には子が、第二順位の相続の場合には親・祖父母などの直系尊属が、第三順位の相続の場合には兄弟姉妹が相続人になるとされています。 そして、配偶者は常に相続人となり、これらの人と共同相続をすることになっています。

日本では同性が婚姻することはできない

配偶者とは法律婚で婚姻した相手のことをいいます。 同性では法律婚はできず、パートナーシップ制度でパートナーとなった場合でも、配偶者になるわけではありません。 そのため、相続をすることはできないのです。

LGBTで同性カップルの場合には特別の寄与制度も利用できない

知っておきたい相続問題のポイント
  • 寄与分は相続人に認められた制度
  • 法改正で相続人以外の特別の寄与をした人に相続人に対する寄与に応じた金銭の支払請求を認めたが、その範囲は親族に限られる

相続人でなくても、被相続人の生活に寄与した人は何か請求ができる制度ができたと聞いているのですが、それは使えないのでしょうか。

特別寄与料の請求のことだと思うのですが、こちらも親族に限られてしまうので、パートナーシップ制度で認定されたパートナーでも認められていません。

たとえば、被相続人の介護をした相続人がいるような場合、本来ならばヘルパーを雇うことになるところの支出が無かったといえます。 このように、被相続人に対する療養看護などの寄与があった者に対して相続分の配慮をし、相続人間の公平を図る制度のことを寄与分といいます。

寄与分は相続人にしか認められないため、たとえば同居している長男の妻が被相続人の身の回りのことをしているといった場合でも、長男の妻には寄与分は認められませんでした。 このような現状に対応するため、改正された民法において、被相続人に対する寄与があった者に、特別寄与料の請求を認められました。 しかし、これも民法上の親族にのみ認められる制度で、パートナーシップ制度でパートナーとなった人であっても親族になるわけではないので、特別寄与料の請求はできません。

特別寄与については、「相続における特別寄与とは?金額は?いつまでに請求する必要がある?」こちらの記事で詳しくお伝えしていますのでご参照ください。

LGBTの方の同性のパートナーは相続人がいない場合に特別縁故者制度を利用できる可能性がある

知っておきたい相続問題のポイント
  • 特別縁故者制度の概要
  • パートナーは特別縁故者と認められる場合、財産を譲り受けることができる可能性がある

相続によっては全く財産を譲り受ける可能性はないのでしょうか。

被相続人に相続人がおらず、特別縁故者と認められた場合には財産を譲り受ける可能性はあります。ただし、例外的な事例といえるでしょう。

ここまでの話を総合すると、パートナーは全く財産を相続することができないようにも思えます。 ただ、特別縁故者に該当する場合には、亡くなったパートナーの財産を譲り受けることができる可能性があります。 被相続人に相続人がいない場合、その財産は国庫に帰属することになります。 ただし、被相続人と生計を一つにしていたなど、特別縁故者として認められる場合には、財産を譲り受けることが可能です。

特別縁故者の代表例が、内縁関係にある当事者であるため、パートナーシップ制度を利用するほどの結びつきがあるパートナーであれば、特別縁故者と評価される可能性が高いといえます。 ただし、この制度はあくまで相続人がいないことが前提となる制度です。 特別縁故者の制度については「相続人がいないときの特別縁故者とは?内縁関係や親戚も範囲内?」こちらの記事も参照してください。

LGBTで同性カップルの場合に財産をパートナーに残す方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • LGBTの方でも事前の対策でパートナーに財産を残すことが可能
  • 遺言などを利用する

パートナーに財産を残すために、事前に準備できることはないのでしょうか?

遺言書を作成するなどの方法が考えられます。

LGBTの方のパートナーに財産を残すためにできる事前の方法について検討しましょう。

遺言する方法

遺言書を作成することでパートナーに財産を残すことができます。
この時に気を付けたいのが、仮に子や両親がいるような場合には、それらの相続人には遺留分がありますので、財産の全てを相続人に相続させると遺留分侵害額請求権の対象となります(兄弟姉妹には遺留分はない)。
そのため、遺留分を侵害しない遺言をする、遺留分侵害額請求権に対応できる現金を用意するなどの対応を取るようにしましょう。

死因贈与をする方法

死因贈与というのは、死亡したことを条件として贈与をする契約です。 遺言とは異なり、契約ですが、亡くなった際に財産が移転する点では変わりません。 きちんと証拠に残るように、贈与契約書を作成しておくなどの対応はしておくべきでしょう。 死因贈与も遺言と同じく遺留分侵害額請求の対象になります。

養子縁組をする方法

相続という法形式にこだわるのではれば、養子縁組をする方法もあります。 養子縁組によって養親子関係になった場合には、親・子供として相続をすることができるようになります。 ただ、パートナーシップ制度でパートナーになるためには親族であってはならないという要件もあり、養子縁組によってパートナーシップ制度を利用できなくなる可能性があることを知っておきましょう。

まとめ

このページでは、LGBTの方がパートナーシップ制度を利用した場合の相続についてお伝えしてきました。 相続においては、相続人がいない場合で、特別縁故者として財産取得が可能な程度であるため、パートナーに財産を残したい場合には、遺言などで確実に財産を残せるようにしておくのがよいでしょう。

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