公正証書遺言ってどんなもの?
ざっくりポイント
  • 遺言および公正証書遺言とはどのようなものか
  • 公正証書遺言のメリット・デメリット
  • 公正証書遺言を作成する場合の費用や注意点
目次

【Cross Talk】公正証書遺言ってどんなもの?よく使われているの?

遺言の相談を検討しているのですが、ホームページ等で調べているとほとんどが「公正証書遺言」ですね。公正証書遺言ってどんなものなのでしょうか?

公正証書遺言とは遺言の方式のひとつです。公証人がいる公証役場という所で公正証書として遺言を作成するため、遺言により発生する争いを少なくでき、相続発生後の手続きもスムーズに進められることが特徴です。争いを無くすために遺言をしている方がほとんどなので、この形式が実務上よく使われています。

なるほど!詳しく教えてください。

実務上よく使われる公正証書遺言ってどんなものだろう

遺言は民法の規定に従った形でしないと効力が発生しません。民法にはいくつかの遺言の方式が規定されているのですが、実務上よく使われるのが公正証書遺言です。公証役場で公証人が作成するという特性があることから遺言が無効となりにくく、相続による争いも避けられるといえます。そのため、数ある方式のなかでも公正証書遺言がよく使われます。公正証書遺言についてお伝えします。

公正証書遺言とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言とは何か
  • 公正証書遺言とはどのようなものか

まず、遺言、公正証書遺言といったものの概要を教えていただけますか?

自分の死後の遺産の分配などの最終の意思表示をするものが「遺言」で、遺言は民法に規定された方式に従う必要があります。公正証書遺言はこの遺言する方式の一つとなります。

まず、遺言とは?公正証書遺言とはどのようなものかのイメージをつけましょう。

遺言とは?

遺言というと、一般的には自身の死後に残すメッセージを指しますが、法律用語としての遺言は、自身の死後遺産の分配をどうするかなどの意思表示をするものになります。 通常遺言をせずに死亡した場合には、民法の規定に従って遺産分割されることになりますが、遺言をすることによって遺言の内容に沿った遺産分割が行うことができます。遺言する際には、民法に規定されている方式に従って行う必要があります。

公正証書遺言の要件

公正証書遺言は、遺言する方式のひとつで,遺言書を公正証書として作成する方式を指します。公正証書遺言は次のように作成することになっています。
  • 証人2人以上の立会いのもと
  • 遺言する人が公証人に対して遺言の内容を口授
  • 公証人が遺言者の口授を筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる
  • 遺言者及び証人が筆記の正確なことを確認した上で、各自署名捺印をする
  • 最後に公証人が、公正証書遺言の方式に従って作成されたものである旨を記載して署名捺印する
以上が法律の規定です。 しかし、実際には,遺言者は高齢で病気である場合なども多く,遺言内容を事前に書面で用意する,電話・ファックス等で公証人に伝えるなど柔軟な対応がとられることもあります。

公正証書遺言のメリット・デメリット

知っておきたい相続問題のポイント
  • 公正証書遺言のメリット
  • 公正証書遺言のデメリット

遺言には公正証書以外にもいろいろありますよね?この方式が一番使われているということは、それなりにメリットがあるということでしょうか?またデメリットはありますか?

公証人と作成した遺言は、遺言者の手元に加え公証役場にも保管されているので、偽造のおそれがなく、遺言書の検認が不要であること、などがメリットとして挙げられます。 一方で、手続が複雑で費用がかかる、場合によっては秘密に作成できないなどのデメリットもあります。

公正証書遺言にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットを確認しましょう。 まず公正証書遺言は、遺言者の意見を踏まえて公証人が作成します。作成された遺言書は遺言者が正本・謄本として持っている他、公証役場でも保管してあるので、偽造されるおそれが非常に低いといえます。

また公正証書遺言は、他の遺言書と違って、裁判所での検認という手続きが不要です。裁判所での検認には長いと2ヶ月程度待つこともあるので、スムーズな遺言の利用ができるようになります。 自筆証書遺言は自分で秘密しておくことが可能であるため、誰も遺言書を作成したことに気が付かないというデメリットがありますが、公正証書遺言は証人2名の立会いがあるので、遺言の存在に誰も気が付かないという可能性が減ります。

公正証書遺言のデメリット

一方デメリットとしては、公証役場での手続きが必要となるなど、自筆証書遺言に比べて手続きは複雑であるといえるでしょう。 また、公証役場に払う手数料などの費用がかかります。費用については後述します。さらに、証人2名が必要でかつ遺言の内容を証人にも伝えるため、遺言をしたことやその内容を知っている人がいる点で、完全秘密で作成することは難しくなります。 もっとも弁護士に依頼した場合、証人2名を守秘義務が課せられている弁護士や司法書士、税理士などに頼むこともできるため、遺言の内容が外部に漏れるおそれは少なくなります。

公正証書遺言にかかる費用について

知っておきたい相続問題のポイント
  • 公正証書遺言作成にかかる費用

公正証書遺言を作成するにはどのくらい費用がかかるのでしょうか。

遺産の内容によって異なりますので詳しくみてみましょう。

公正証書遺言にかかる費用としては、公証人に対する手数料(報酬)が必要となります。

公証役場に払う手数料

公正証書遺言にかかる費用としてはまず公証役場への手数料があります。手数料は次のとおりです。
遺言で取り扱う財産の価格 手数料
100万円まで 5,000円
100万円を超えて200万円まで 7,000円
200万円を超えて500万円まで 11,000円
500万円を超えて1,000万円まで 17,000円
1,000万円を超えて3,000万円まで 23,000円
3,000万円を超えて5,000万円まで 29,000円
5,000万円を超えて1億円まで 43,000円
1億円を超えて3億円まで 5,000万円ごとに13,000円がプラス
3億円を超えて10億円まで 5,000万円ごとに11,000円がプラス
10億円を超える部分 5,000万円ごとに8,000円がプラス
さらに遺言加算として、1億円以下の場合には11,000円が別途加算されます。

弁護士に支払う費用

遺言の作成を弁護士に依頼する場合には、100,000~200,000円程度の弁護士費用がかかります。

証人に支払う費用

証人を用意してもらう場合には一人あたり10,000円程度の費用がかかります。 自分達で用意できる場合(親戚になってもらうなど)には費用はかかりません。

書類収集

遺言書を作成する際に、添付書類を提出します。 具体的には戸籍謄本や不動産登記簿謄本、印鑑登録証明書などです。 これらの費用は遺産の内容や相続人の数によって異なりますが、10,000~20,000円程度です。

公正証書遺言作成の際の注意点

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺留分侵害に注意をする
  • 公正証書遺言が無効になる場合を知っておく

公正証書遺言を作成する際、注意すべきことはありますか?

遺留分侵害に注意すること、公正証書遺言を作成しても無効になる場合があることを知っておきましょう。

公正証書遺言作成時の注意点について確認しましょう。

遺留分侵害に注意をする

例えば、妻子が居るにも関わらず、愛人に遺言で相続財産の全部を譲り渡す、という内容の遺言をしても、方式さえ満たしていれば遺言の効力は認められます。しかしこの場合、妻子に対して相続人として最低限保証される権利である遺留分を侵害することになります。

もし妻子が遺留分侵害を原因として、遺留分侵害額請求を行使すると、遺贈を受けた人に対して遺留分相当の金銭の支払いを求める事ができます。 また、長男と長女が居る場合に、長女は結婚して家の人間ではなくなったとして、相続分をなくそうと考える方もいます。しかし、実際に子である以上は相続分を保有しています。そのため、子の一人を除くような遺言をすると、遺留分を侵害しかねません。 遺留分を侵害する遺言を作成することも可能ですが、その場合には遺留分侵害額請求権を行使されたときに支払いをすることができる金銭をしっかり用意しておくなどの対策をとる必要があります。

公正証書遺言でも無効になる場合がある

遺言をするには、公正証書遺言の要件を満たす必要がありますので、公正証書遺言の方式に背くような事があると無効になります。 たとえば、法律上証人になることができないとされている人が証人であったというような場合です。ただし、このようなケースはあまり起きません。 問題となるのは、遺言をするために必要な意思能力です。遺言も対象物を処分する意思表示ではあるので、意思能力(あることがらについて正しいかどうかを判断することができる能力)が必要となります。 そのため、認知症にかかるなどして、意思表示をすることができる状況にない人は、公正証書遺言も利用することができません。 公証人との面談で確認はするのですが、相槌程度の返事をすることができて、付き添われている親族に誘導されるような形で進んだような場合には、公証人も知ることができない場合があります。

まとめ

このページでは、公正証書遺言についてお伝えしてきました。公正証書となることで高い信頼が得られ、紛争予防に利用できる公正証書遺言で、確実な相続を目指しましょう。

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この記事の監修者

弁護士 水口 健太東京弁護士会
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