親が危篤なんだけど遺言をしたいとのこと!緊急時の方法について確認
病気・怪我が原因で危篤となったような緊急時に使える遺言の方法について確認
ざっくりポイント
  • 一般方式の場合には負担・時間がかかる
  • 一般危急時遺言について
  • 一般隔絶地遺言について
目次

【Cross Talk】危篤になっているような緊急時に使える遺言はあるのか?

かねてより体調の悪かった私の父なのですが、急に体調を崩し医者からもかなり厳しい状態だと告げられました。父がどうしても遺言を遺しておきたいという希望があるようなのですが、このような緊急時にはどのような方法がありますか?

自筆証書遺言や公正証書遺言などの一般方式と呼ばれるものでの遺言は難しいかもしれないですね。特別方式の遺言を検討しましょう。具体的な状況を教えてもらえますか?

危篤になっているなどの緊急時に利用する特別方式の遺言について

遺言には一般方式と特別方式があります。よく遺言に関する例として登場する公正証書遺言・自筆証書遺言は一般方式に該当します。それぞれ手続きにおいては一定の負担と期間が必要となる場合があります。危篤であるような場合には、一般方式の手続きで遺言をするのは難しい可能性があります。危篤のような緊急時には特別方式の遺言を利用することができます。危篤時に利用するものとしては、特別方式の遺言のうち、一般危急時遺言と一般隔絶地遺言を知っておきましょう。

一般方式では遺言が難しい場合がある

知っておきたい相続問題のポイント
  • 一般方式の遺言を利用する場合にはどのような負担がかかるのか
  • 一般方式の遺言を利用する場合にはどのくらいの期間がかかるのか

遺言について調べていたんですが、自筆証書遺言や公正証書遺言は難しいのでしょうか?

自筆証書遺言の場合は遺産目録以外の全文を自筆し署名押印をする等一定の要件が定められており、その要件を欠くと遺言の全部または一部が無効となります。公正証書遺言の場合には公証人とのやりとりをするため時間がかかることがあります。危篤になっている場合、遺言をする人の状態にもよりますが、自筆証書遺言は難しい、または公正証書遺言は間に合わないと判断せざるを得ない場合がありますね。

遺言書には、一般方式と特別方式というものがあり、ほとんどの場合一般方式の自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言が利用されます。しかし、一般方式の3つの手続きには次のような負担があるのと、作成までに期間がかかることがあります。

自筆証書遺言をする場合にかかる負担・期間

自筆証書遺言は、公正証書遺言のようにやりとりのための期間は必要なく、作成するための情報を収集する(たとえば、自動車の車検証の番号、口座番号、不動産登記簿謄本を集めるなど)ための時間があれば充分に作成できます。

これらの収集は、書類がきちんと管理されていれば、長くても3.4日、早ければ一日あれば集まりますので、公正証書遺言ほど時間がかかるというものではありません。 しかし、自筆証書遺言は、遺産目録以外はすべて自書しなければなりません。 危篤で起き上がるのも難しく、筆をとることができない、という状況では利用するのは難しいかもしれません。

公正証書遺言をする場合にかかる負担・期間

実務上一番よく利用される公正証書遺言を作成するのは公証人です。 公正証書遺言の条文上は遺言の趣旨を口授(口頭で公証人につたえること)した上で、これに基づいて公証人が遺言書を作成することになっています。 しかし、現実的にはその場で作るとなると効率が悪いので、実務上は事前に遺言書案を遺言者のほうで作成した上で公証人に提出し、公証人がこれをもとに遺言書案を作成し遺言者が事前に承諾した上で、公証役場で証人とともに顔を突き合わせて確認をして作成します。

費用はかかりますが、公証役場に出向けない場合には公証人に自宅・病院等に来てもらうことは可能です。 しかし、そこまでのやりとりに早くても2週間程度の期間はかかりますので、危篤になっているような緊急時には遺言作成が間に合わない可能性もあります。

秘密証書遺言をする場合にかかる負担・期間

自筆証書遺言や秘密証書遺言に比べて利用頻度は多くないのですが、一般方式の遺言の中には秘密証書遺言という方式があります。 内容はパソコン等で作成しても良いのですが、遺言書への遺言者の署名押印、遺言書に封をしたうえで遺言者の押印および遺言書に封をする際に公証人1名・証人2名の面前で行う必要があることから、公正証書遺言ほどではないにしてもやはり一定の期間が必要であるといえます。

以上のように、危篤時のような緊急時には一般方式による遺言書の作成は難しい場合があります。

緊急時に遺言をしてもらう方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 公証人の日程が合うのであれば公証人に出向いてもらって公正証書遺言の作成をする
  • それでもなお本人の状態が予断を許さないのであれば、特別方式の遺言を利用する

父がいつ意識を失い、それこそ急変して亡くなってしまうのかはわからないという状況です。いそいで遺言をするにはどうすればいいですか?

公正証書遺言を急いで作成できる状況ならば公正証書遺言で、それが難しいというのであれば特別方式の遺言を利用するのが良いでしょう。

本人が危篤であるような緊急時にはどのようにして遺言をしてもらうのが良いのでしょうか

公証人に訪問をしてもらって公正証書遺言をする

まず、専門家と連携してすぐに遺言書案を作ってもらった上で、公証人にも事情を説明し、すぐに対応してくれそうな場合には、本人が作成する際に負担が少ない公正証書遺言の作成を考えましょう。 ただしこの方法が利用できるのは、公証人がすぐに対応でき、遺言書案の作成や証人の手配もスムーズに行える場合に限られます。

一般危急時遺言

特別方式の遺言とは、危篤のように緊急を要している場合、一般方式では遺言が難しい場合に利用できるものです。 そのうちの一つに一般危急時遺言というものがあります。

民法976条に規定されており、「疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者」がする。遺言については、 ・ 証人3人以上の立会い ・ 証人の一人に遺言の内容を口授 ・ 口授を受けた者がこれを筆記 ・ 遺言者と他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ ・ 各証人において筆記が正確なことを承認 ・ 署名・押印をする ・ 遺言の日から20日以内に証人・利害関係人から家庭裁判所に確認を請求する という手続きによって認められています。 実務的には、依頼を受けた専門家や証人の誰かが事前に作成して、証人となる者が遺言者がいる所に集まって、遺言書の内容を確認して署名・押印をする、という手続きになります。

一般隔絶地遺言

現在コロナウイルス感染症が流行しています。 伝染病に罹患したような場合、行政処分によって隔離をされることがあります。 このような状況にある人については、上記の証人3人の立会いとなっていた要件が、警察官1名と証人1名の立会いという緩やかな要件になります。

遺言を残したいと考えている人が危篤状態の場合、上記の2つの特別方式の遺言を、状況に応じて利用することになります。

まとめ

このページでは、病気などで危篤になったような緊急時の遺言についてお伝えしました。 最も利用できる可能性が高いのが公正証書遺言を公証人に出向いてもらって行う方法で、それでも間に合わない場合には特別方式の遺言を利用するのが現実的であるといえます。 確実に遺言を遺すには状況に応じた判断が必要ですので、早めに弁護士に相談をするようにしてください。

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