相続税の基礎控除額を超える場合の手続について詳しく解説します。
ざっくりポイント
  • 不動産・株式持っている場合は注意が必要になる
  • 相続税の申告・納税には10ヶ月の期限がある
  • 早めに手続をしないと余計なお金がかかるおそれがある
目次

【Cross Talk 】それほど財産がなくても相続税を払わないといけない?

先日、父が亡くなったのですが、親戚から「相続税は大丈夫か」と言われました。相続税なんてお金持ちだけの話で自分には関係ないと思っていたのですが、相続税を払わないといけないのでしょうか。

相続税法が改正されて基礎控除が大幅に引き下げられたため、相続税を課税される方が増えました。親族の方はそのことをお聞きになったことがあるのでしょうね。相続財産が基礎控除を超える場合には相続税の申告が必要になるので、気になる方は早めに税理士に相談するといいでしょう。

わかりました。税理士を探してみます。

基礎控除が引き下げられて課税対象が増加!基礎控除を超えたらどうすればいい?

平成27年に施行された改正相続税法によって基礎控除が引き下げられたことで、相続税の課税対象になる方が大幅に増加しました(国税庁の統計によれば、平成27年中に亡くなられた方のうち相続税の課税対象となったのは8.0%で、前年の4.6%を大きく上回りました(平成27年分の相続税の申告状況について)

「うちには財産とよべるほどのものはない」と思っている方も相続税の課税対象になる可能性があるのです。 そこで今回は、相続財産が相続税の基礎控除を超えそうな人が注意するポイントと、基礎控除を超えてしまった場合の手続について解説します。

相続税の基礎控除額を超えるかどうか気にした方がいいケース

知っておきたい相続問題のポイント
  • 基礎控除は3000万円+(法定相続人の数×600万円)
  • 都市部の不動産や経営する会社の株を所有している場合は注意が必要

どういう場合に基礎控除額を超えるのか気にした方がいいのですか?

都心部に不動産を持っていたり、経営する会社の株式を持っていたりする場合は気にしたほうがいいでしょう。それらの評価額が高くなるために、自由になるお金はそれほど多くないうえ、基礎控除額を超えてしまうことがあるからです。

平成27年に相続税法が改正され、相続税の基礎控除額が次のように改められました。

(改正前)5000万円×(法定相続人の数×1000万円) (改正後)3000万円×(法定相続人の数×600万円)

たとえば法定相続人が配偶者と2人の子どもの合計3人であった場合、改正前の基礎控除額が8000万円であったのに対し、改正後の基礎控除額は4800万円になります。 このように、基礎控除額が大幅に引き下げられたため、相続税を課税される方が大きく増加しました。 相続税なんて他人事だと思っていた方にも、相続税が課税される可能性があります。

都市部に不動産を持っている

自分の家には自由になるお金がそれほどないから安心、とは必ずしも言えません。 預貯金や現金がそれほど多くなかったとしても、都心部に土地・建物といった不動産を所有していた場合、不動産の評価が高額になる可能性があります。 不動産の評価額や法定相続人の数次第で、不動産以外にめぼしい財産がなかったとしても基礎控除額を超えてしまう可能性は十分にあります。

ですから、亡くなった方が都心部に不動産を所有している場合は、基礎控除額を超えるかどうかを気にしたほうがいいといえます。

会社を経営している

基礎控除額を超えるかどうかを気にしたほうがいいもう一つのケースは、亡くなった方が会社を経営したいた場合です。 多くの中小企業では、会社の経営者はその会社の大株主であり、実質的な所有者です。経営者が会社を創業した場合などは、経営者が会社の株式を全て保有していることも珍しくありません。 そのような会社経営者が亡くなった場合、その保有する会社の株式も相続の対象になります。

株式の価値は、おおざっぱにいえば会社の純資産によって決まります。会社に財産が多いほど、株式の価値も高くなるということです。 そうなると、会社経営者が個人名義で不動産や現金・預貯金を(それほど)持っていなかったとしても、会社の株式の評価次第で基礎控除を超えることがありえるのです。

相続税の基礎控除を超えた場合の手続き

知っておきたい相続問題のポイント
  • 申告期限を過ぎると特例が受けられなくなったり税金が加算されたりもする
  • 基礎控除を超えるか気になる方は早めに税理士に相談を

基礎控除額を超えるか気にした方がいいケースはわかりました。もし基礎控除額を超えてしまった場合、どうすればいいのですか?

相続税の申告・納税が必要になります。期限は10ヶ月で、これを過ぎるといろいろなデメリットがありますので、気を付けてください。 期限の直前に税理士に依頼すると費用が通常よりも高くなってしまうおそれもあるので、早めに手続きを進めるようにしてください。

相続税の申告・納税期限は10ヶ月

相続税の申告・納税の期限は、相続の開始の翌日から10ヶ月とされています。 申告だけではなく、納付までこの期限に済ませないといけないことに注意が必要です。

万が一、申告・納付がこの期限を過ぎてしまうと、無申告加算税、延滞税といった税金が追加で課されるおそれがあります。

また、相続税には、配偶者控除などの相続税を抑える特例があるのですが、期限を過ぎてしまうと特例を受けることができなくなるというデメリットもあります。 ですから、期限を過ぎることがないように注意しましょう。

相続人が複数いる共同相続の場合には遺産分割協議を早めにととのえる必要がある

共同相続の場合、各相続人が自分の相続分について相続税の申告・納税をする必要があります。 遺言がない場合、遺産の分け方が決まっていなので、まず共同相続人間で遺産の分け方について話し合う必要があります。これを一般的に遺産分割協議といいます。 話し合いの結果、意見がまとまり遺産分割協議が成立すれば、各相続人は遺産分割協議で決められた相続分について相続税の申告・納税をすることになります。 ですから、「相続税の申告・納税期限は10ヶ月」の期限内に申告・納税をするには、遺産分割協議を早めにととのえる必要があるのです。

もっとも、「相続税の申告・納税期限は10ヶ月」の期限内に遺産分割協議が成立するとは限りません。遺産の調査に時間がかかることもありますし、相続人との間に長年にわたる感情的な対立があり、円滑に話し合いができないこともあるでしょう。

ところが、遺産分割協議が「相続税の申告・納税期限は10ヶ月」の期限内にととのわなかったとしても、そのことを理由に申告・納税の期限を延長してもらうことはできません。 そのような場合は、いったん法定相続分で相続したものとして仮の申告・納税をしておき、遺産分割協議が成立した後で取得することになった遺産に応じて訂正(修正申告又は更正の請求)をすることができます。

手続きは非常に複雑!早めに税理士に依頼しないと費用があがることも

相続税の申告・納付の手続です。 計算上基礎控除額がいくらか分かったとしても、不動産や株式は金銭に評価することが必要になりますし、「相続税の申告・納税期限は10ヶ月」で触れた配偶者控除などいくつもの特例がありますから、知識のない方が自分で申告・納付をするのは現実的ではありません。

そこで、税理士に依頼をするのが一般的ですが、その依頼も早めにすることが重要です。 税理士の報酬額は、基本報酬と事案に応じた加算報酬の合計額とされることが多いといえますが、申告・納税期限が迫っている場合、期限に間に合わせるために深夜まで作業したり、いったん概算で申告して後で修正申告又は更正の請求をしたりする必要があるため、その点で加算報酬が発生する可能性もあります。

まとめ

相続税の基礎控除について解説しました。 身近な方を亡くした直後に税金のことを考える心境には、なかなかなれないかもしれません。 しかし、相続税の申告には10ヶ月という期限があるため早めの対策を心がけてください。

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