ざっくりポイント
  • 相続に関する手続きと期限について
  • 期限を過ぎたときのデメリット
目次

【Cross Talk】相続で期限がある手続きってどのようなものがあるの?

先日母が亡くなり、父・私・妹で相続をしました。これから相続手続きとなるわけですが、期限のあるものがありますよね。どういったものかを教えてもらいたいのと、万が一過ぎた場合にはどんなデメリットが生じるのでしょうか。

期限が定められているものと、期限をすぎた場合のデメリットを知っておきましょう。

お願いします。

相続に期限があるものと、期限が過ぎた場合のデメリットについて

相続が発生したときの相続手続きについては期限があるものがあります。手続きによって期限が異なることのほかに、期限が過ぎると重大なデメリットがあります。それぞれしっかり把握しておきましょう。

相続手続の期限一覧

知っておきたい相続問題のポイント
  • 期限のある相続手続き一覧
  • 期限について考慮すべきポイント

相続の期限について教えていただいたていいですか?

はい、期間とその期間についての注意点について知っておいてください。

相続手続きに関する手続きの期限について確認しましょう。

死亡届の提出(7日以内)

相続そのものではないのですが、被相続人が亡くなったときには市区町村の役所に死亡届を提出します。 死亡届は、被相続人が亡くなったことを知った日から7日以内に提出する必要があります。 死亡したというのは、医師が死亡を確認して行い、医師はその際に死亡診断書を作成します。 死亡届はこの死亡診断書とセットになっています。 人が亡くなったときには葬儀をするのですが、この際に火葬許可証をもらうために、まず死亡届けを行う必要があるため、この一連の手続きのために、死亡届けは通常は葬儀社が行ってくれます。 葬儀を行わないような事情がある場合には、手続きが必要であると認識しておけば大丈夫です。

相続放棄・限定承認(3か月以内)

被相続人に借金がたくさんあったような場合に、相続をしないために相続放棄・限定承認をします。 装束放棄・限定承認については、自己のために相続の開始があったと知った時(通常は被相続人が亡くなったことを知った時)から3ヶ月以内に行うように規定されています。 3か月あれば余裕をもって手続きができるように思いますが、よくあるパターンとして、四十九日法要までは喪に服する意味で遺産についての話し合いは何もしないという方も多く、この場合期限はすでに半分を過ぎています。 さらに手続きに必要な書類として戸籍謄本等が必要なのですが、この収集は時間がかかる場合もあります。 基本的にはあまり時間に余裕があるものではないと考えておくべきでしょう。 また、このような期間制限があるのを債権者も知っていますので、期間内ギリギリにあるいは期間をすぎてから請求してくることも考えられます。ギリギリである場合には期間を延長することが可能ですし、期間を経過するのがやむをえない事情があるような場合には例外的に期間経過後も申述をすることが可能な場合があります。

所得税の準確定申告(4か月以内)

被相続人が確定申告をする必要があった人(自営業者・年間2,000万円以上の所得があるなど)の場合には、相続人は準確定申告というものを行う必要があります。 準確定申告は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から4ヶ月の期間内行うこととされており、延長は基本的には認められないものになります。 なお、コロナウイルス感染症対策のための行動制限などに伴うものについては延長が認められています。 確定申告すべき内容にもよりますが、自営業者をしていて複雑な簿記の処理が必要な場合には、時間が限られていると考えましょう。

相続税の申告・納付(10か月以内)

被相続人の遺産が相続税の基礎控除額を超えていたような場合には、相続税の申告・納付をする義務があります。 この手続きは相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内で、延長も基本的には認められません。 相続放棄などと同様に戸籍謄本の取り寄せが必要な上に、遺産分割協議・遺産分割協議書の作成をした上で申告書の作成・添付書類の収集を行います。 申告書の作成や添付書類の収集は非常に複雑な計算をするので、専門家である税理士でも時間のかかるものです。 10ヶ月は時間があるように思えますが、基本的には時間はないと考えておきましょう。

遺留分侵害額請求(1年以内)

遺言や生前贈与が遺留分を侵害するときには、遺留分侵害額請求権を行使することができます。 遺留分侵害額請求権の行使は、遺留分が侵害されていることを知ったときから1年で時効にかかります。 遺留分がいくらなのかなどで争いになったような場合に、相手がのらりくらりとかわすような場合には、時効を主張されてしまうこともあるので、時間は限られていると考えた方がよいでしょう。

配偶者相続税軽減の手続(仮の分割での申告を行ったうえ、申告から3年以内に分割)

被相続人の配偶者には、実際に取得した正味の遺産のうち、①1億6000万円又は②配偶者の法定相続分のどちらか高い方まで非課税となる、という配偶者の税額減額の特例があります。 この特例は、相続税申告の際に遺産分割などで実際に取得した財産が対象です。したがって、相続税申告の際に遺産分割協議ができなかったような場合には、配偶者の相続税についての軽減の特例を利用することができません。 ただし、いったん仮の分割の計算で相続税の申告を行った上で、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、遺産分割協議がととのった段階で更生の請求手続きを行うことで、申告時に分割されていなかった財産でも、特例の対象とすることができます。 したがって、一旦仮の分割の計算で相続税申告を行った場合は、申告から3年以内に遺産分割を行う必要があります。

相続手続で期限を過ぎた場合に生じるデメリット

知っておきたい相続問題のポイント
  • 手続き期間を過ぎたら発生するデメリットについて

それぞれ期間をすぎたらどんなデメリットが発生するのでしょうか。

手続きを利用できなくなったり、刑事罰になるようなものもありますので注意しましょう。

期間をすぎたときのデメリットとしては次のとおりです。

相続放棄・限定承認

自己のために相続の開始があったと知った時から3ヶ月以内に裁判所に対して申述を行わない場合は、遺産を相続したものとみなされ、遺産に債務がある場合もそれらをすべて相続したことになってしまいます。 しかし、相続放棄・限定承認の期間(熟慮期間)である3ヶ月を超えた場合でも、上述したように3ヶ月を超えて借金・債務が判明することがあります。

このようなやむをえないといえる事情があるときには、例外的ではありますが、相続放棄・限定承認を認めてくれる場合もあります。 この場合、やむえない事情があることについても説明する必要がありますので、できれば弁護士に依頼をして手続きをすすめるようにしましょう。

準確定申告

準確定申告の期限が過ぎると、延滞税・無申告加算税といったものが課せられます。 刑事罰を科されることもあるので注意が必要です。

相続税申告

相続税申告についても準確定申告と同様に、延滞税・無申告加算税が課せられます。 刑事罰が科されることがある点も同様です。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求を1年間行使しないと時効にかかります。 この期間を過ぎると、時効にかかるので、請求をしても応じてもらえず、裁判をしても敗訴することになります。

相続税の還付請求

相続税をいったん仮で納めて、遺産分割協議が調ってから更生の請求をしてから、納めすぎた相続税を返してもらう手続きを還付請求といいます。 還付請求は相続税の申告期限から5年までの間に行うとなっています。

まとめ

このページでは、相続に関する手続きとその期限についてお伝えしてきました。 期限があるのみならず、遅れてしまうと重大な不利益になるので、注意が必要です。 また、その期限のスタートは「相続の開始があったことを知った日」が基準となることが多いですが、「相続の開始があったことを知った日」がいつなのか、各相続人で違うこともあります。 具体的に、自分がいつまでにどのような手続きをすればいいのか、不安があるならば弁護士・税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

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この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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