
- 弁護士費用はどのようにして決められているか
- 遺産分割調停を弁護士に依頼するとどのようなお金が必要となるか
- 費用を安くしたい場合に検討したいこと
【Cross Talk 】遺産分割調停を弁護士に依頼するとどんな費用がかかるんでしょうか。
遺産分割について相談があります。遺産分割協議がなかなかうまくいかず、遺産分割調停をしようと思っています。裁判所の手続きということもあり私にはハードルが高いので、弁護士に依頼をしたいのですが、どんな費用がかかるのかを知りたいです。
弁護士の報酬といっても、相談料や着手金など様々なものがあるので詳しく確認しましょう。
是非お願いします。
遺産分割協議がうまくいかない場合には、遺産分割調停を行います。相続に関する法律知識や裁判所での手続きに関する知識が必要であるため、弁護士に依頼をすることが望ましいといえますが、弁護士費用などの費用面で心配という方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、遺産分割調停にかかる弁護士費用等についてお伝えいたします。
弁護士費用はどのようにして決められているか

- 弁護士費用は自由化されている。
- 旧報酬規定を基準に弁護士費用を定めている弁護士は多い。
弁護士費用はどのように定めているのですか?
弁護士費用は自由に定めることができるのですが、過去、弁護士会で規定していた報酬規定を利用している弁護士も多いです。
そもそも弁護士費用はどのようにして決まっているのでしょうか。 かつては、弁護士会で報酬をいくらにするかの規定がされていました((旧)日本弁護士連合会報酬等基準:以下、「旧報酬規定」といいます)。 しかし、現在では、弁護士費用は自由化されているので、事務所で独自に定めることが可能となっています。 自信のある分野・専門的な内容を取り扱う必要があるような場合には弁護士費用を高額にすることも考えられます。 また、他の弁護士と競争がある分野では、低い費用で提供している場合もあります。 ただし、多くの弁護士は、旧報酬規定に従って報酬を請求していることが多いです。 後述する弁護士費用で弁護士を選ぶかどうかにかかわりますので、参考にしてください。
遺産分割調停の弁護士費用としてかかるもの

- 弁護士費用には主に、相談料・着手金・成功報酬・実費などがある。
- それぞれの標準的な金額。
弁護士費用にはどのようなお金がかかるのでしょうか。
弁護士費用の種類にもよりますので確認しましょう。
弁護士費用としてどのくらいのお金がかかるのでしょうか。 弁護士費用にも種類があるので、その種類ごとに費用を確認しましょう。
相談料
弁護士などの国家資格を持っている専門職に相談をするときに発生する費用です。 法律相談30分で、5,000円~10,000円程度の費用が必要となります。 時間がかかるほど費用が発生するので、相続人が誰か、どのような遺産があるのか、何で争いになっているのか、といったことをまとめておくことが望ましいでしょう。 なお、相続問題など個人の法律問題を取り扱う場合は、相談料を無料として相談しやすい環境を作っている弁護士もいますので、気軽にご相談をすることをおすすめいたします。 東京新宿法律事務所でも初回のご相談は無料で行っていますので、是非気軽にご相談をしてみてください。着手金
弁護士に事件を依頼して着手してもらうのに必要なお金を着手金といいます。 弁護士費用として参考になるのは、前述したように旧報酬規定です。 旧報酬規定での計算にあたっては、案件によって依頼者が得られる利益のことを指す「経済的利益」を基準に計算をします。例えば、遺産分割調停がまとまって、1,000万円が得られるとすると、経済的利益は1,000万円と計算されます。
旧報酬規定によると、着手金は
経済的利益の額 | 割合 |
---|---|
300万円以下 | 8%(最低額は10万円) |
300万円を超え3,000万円以下 | 5%+9万円 |
3,000万円を超え,3億円以下 | 3%+69万円 |
3億円を超える | 2%+369万円 |
成功報酬
成功報酬とは、紛争が解決したときに弁護士に対して支払うお金のことをいいます。 遺産分割調停では、調停を終わらせて、取得した遺産の価額に応じて弁護士が依頼者に請求をします。 成功報酬も着手金と同様に、旧報酬規定に従うことが多く、旧報酬規定は次のようになっています。経済的利益 | 割合 |
---|---|
300万円以下の場合 | 16% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 | 10%+18万円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 | 6%+138万円 |
3億円を超える場合 | 4%+738万円 |
東京新宿法律事務所では、33万円+手続きで得られた利益×11%となっているので、遺産によっては旧報酬規定よりも費用がかかりません。
その他
遺産分割調停の申立てをするためには、印紙代や切手代がかかります。 印紙代は、被相続人1人につき1,200円となります(一人の相続についての争いであれば1,200円です)。 切手代は裁判所ごとに異なるので、裁判所で確認しましょう(東京家庭裁判所の場合には、相手が10人までであれば3,310円分です)。 また、弁護士が裁判所に行くための交通費も実費として支払う必要があります。遺産分割調停のための弁護士費用を安くしたい場合に検討したいこと

- 最初から相談料無料の弁護士に相談をするのが良い
- 値段よりも実績で選ぶべき
やっぱり費用が安い方に相談・依頼したいというのが本音ですが…。
相談については無料のところに相談しても良いですが、依頼は費用だけで考えず、実績や相性などを見ながら検討すべきでしょう。
相談・依頼をする弁護士を決めるにあたって、費用の安い弁護士を選んで良いかについて検討しましょう。
相談無料の弁護士に相談するのは良いこと
まず、相談料は無料である弁護士にご相談して良いでしょう。 相談料を無料にするためには、市区町村の法律相談・都道府県の弁護士会の法律相談・法テラスにおける相談などが候補にあがります。 しかし、時間に制限があったり、相談できる時間が限られていたりする上に、そのまま依頼をすることができない場合がある、相続に詳しい弁護士と相談できない、などの可能性があります。相続のような個人の法律問題に関しては、力を入れている弁護士ほど、相談をしやすいように相談料を無料としていることが多いです。 最初から相談料が無料である弁護士に相談をしましょう。
安いかどうかよりも当該分野に注力をしているか・実績で選ぶ
着手金・成功報酬について「安い」という理由だけで選んでも良いのでしょうか。 遺産分割調停は、相続に関する法律を知っているだけではなく、調停でどのような結論になりそうか見通しが優れているほど有利に進みます。 そのため、相続案件についての知識・経験が物を言います。弁護士費用が安くなっているのが、知識・経験不足であることに起因する場合には、弁護士費用を節約したことが原因で遺産分割調停を有利にすすめることができない、ということになる可能性が否定できません。 弁護士費用だけではなく、実績や弁護士の熱意・相性など総合的に判断することが重要であるといえます。
弁護士に調停の前に遺産分割協議をしてもらうことも検討する
当事者で遺産分割協議がうまくいかないときに、すぐに調停を検討する方が多いです。 しかし、遺産分割の対立が激しくなると、どのような遺産分割を行うかということよりも、感情的に話し合いをすることができなくなっているケースが多いです。このような場合に、弁護士に依頼をして遺産分割協議をすることによって、いわば緩衝材となって感情的な対立を和らげる結果、遺産分割協議がまとまることもあります。 遺産分割がうまくいかない場合には、早めに弁護士に依頼して協議からすすめることも検討してみましょう。
まとめ
このコラムでは、遺産分割で弁護士に依頼する場合にかかる費用などについてお伝えしました。 遺産の額にもよるのですが、決して安くはないといえますので、依頼をするのであれば無料相談を利用して、信頼できる弁護士に依頼するようにしてください。

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