遺言書の付言事項として、何を書くのかについて解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言書の記載のうち法定遺言事項には、法的な効力が認められる
  • 遺言書の記載のうち付言事項には、法的な効力がない
  • 付言事項として家族にメッセージを記載したり、遺言の内容について説明したりできる
目次

【Cross Talk 】遺言書の記載のうち、付言事項とはどのような事項?

遺言書を作成しようと考えているのですが、色々な用語があってよくわかりません。付言事項とはなんですか?

付言事項とは、遺言書の記載のうち、法的な効力が認められないものです。付言事項の活用例として、家族へのメッセージとしたり、遺言の内容について説明したりすることなどが考えられます。

付言事項は色々なことに活用できるんですね。付言事項の記載例についても教えてください!

付言事項の概要や、付言事項を活用した記載例などを解説いたします。

遺言書の記載のうち、法的な効力があるものを法定遺言事項といいます。 付言事項(ふげんじこう)とは、法的な効力が認められないものの、家族にメッセージを伝えるなどの目的で遺言書に記載される事項です。 付言事項の概要や、どのように活用できるかなどを、記載例とともに解説いたします。

遺言書の付言事項とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言のうち法的な効力が認められるものを、法定遺言事項という
  • 付言事項は法的な効力がないが、家族へのメッセージなどとして用いる

遺言書における付言事項とはなんですか?

遺言書の記載のうち、法的な効力があるものを法定遺言事項といいます。付言事項は法的な効力が認められませんが、家族へのメッセージや、遺言の内容の説明などとして記載されるものです。

遺言書には何を書くか

民法における遺言書とは、自分の死後に遺産をどのように処分するか(どの遺産を誰にどのくらい与えるかなど)についての意思表示です。遺言が記載されたものを遺言書といいます。 遺言書として法的に認められるには、民法が規定する要式を満たさなければなりません。要式を満たしていない場合は、遺言書としての効力が認められない点に注意しましょう。

遺言書に記載する主な事項として、法定遺言事項があります。 法定遺言事項とは、遺言書に記載することによって、法的な効力が発生する事項のことです。 民法が規定する要式を満たした遺言書には法的な効力がありますが、遺言書に記載すればなんでも法的な効力が認められるわけではありません。 遺言書に記載することで法的な効力が認められる事項は民法などの法規によって限定されており、それが法定遺言事項です。

例えば、「長男が500万円と土地を相続し、次男が500万円を相続する」と遺言書に記載した場合、法定遺言事項である相続分の指定に該当するので、記載に法的な効力が認められます。 一方、「兄弟みんなで仲良く暮らすように」と遺言書に記載した場合、法定遺言事項ではないので、あくまで遺言者(遺言をする人)の希望が記載されたものであり、法的な効力はありません。

特に重要な法定遺言事項は相続分の指定ですが、それ以外にも遺贈・遺言による認知・祭祀主催者の指定・遺言執行者の指定など、様々な法定遺言事項があります。

遺言書の付言事項とは

付言事項とは、法的な効力を付与することを直接の目的とはせずに、遺言書に記載する事項です。 付言事項は法定遺言事項ではないので法的な効力はありませんが、遺族へのメッセージや、遺言を作成した経緯の説明などを目的に、遺言書に記載されます。

法定遺言事項は法的な効力があることから、誤って記載すると意図しない法的効力が生じてしまう可能性があるので、慎重に記載しなければなりません。 一方、付言事項は法的な効力がないため、基本的に自由に記載することができます。また、遺言書を作成するにあたって、付言事項を記載することは必須ではありません。

どのような付言事項を記載するかは遺言者次第ですが、主な付言事項として以下のものがあります。

  • 家族や知人などへの感謝の気持ち・メッセージ
  • 遺言をした経緯の説明
  • 家族への依頼・願いなど

遺言書の付言事項とエンディングノートの違いは?

付言事項は遺言書に付属するものであるのに対し、エンディングノートは単体として自由に記載することができます。

エンディングノートとは、自分が亡くなった場合などに備えて、どのような希望があるかを記載したものです。書き方が記載された本や、エンディングノートを記載するための書籍などが市販されています。

エンディングノートには基本的に書きたいことを自由に書くことができますが、主な内容として以下のものがあります。

  • 家族・親族・友人などに伝えたいメッセージ
  • 誰にどの遺産を引き継がせたいか
  • 病気になったときや介護が必要になったときの対応
  • 自分の遺産や大切にしているものの保管場所
  • お墓や葬儀についてどのような希望があるか
  • 自分のプロフィールや家系図

遺言書の一部であるという性質上、付言事項は自分が亡くなった後のことについて主に記載するのに対し、エンディングノートは病気や介護など、生前のことについても記載できます。 付言事項は遺言書の一部として記載するものなので、基本的には短く簡潔に書かなければならないのに対し、エンディングノートは単体のノートとして、様々な事項を自由に記載することが可能です。 ただし、エンディングノートは遺言書ではないので、自分の資産についてエンディングノートに記載したとしても、それだけで遺言としての効力が認められるわけではない点に注意しましょう。

遺言書の付言事項の記載例

知っておきたい相続問題のポイント
  • 付言事項を用いて家族へのメッセージにすることができる
  • 付言事項を活用することで、遺言について説明できる

付言事項はどのような活用法がありますか?

付言事項として家族へのメッセージを記載したり、納得して相続できるように遺言の内容の説明をしたりするなどの方法があります。

家族へのメッセージ

付言事項の活用例として、家族へのメッセージに用いる方法があります。

付言事項を家族へのメッセージとして用いることで、家族に対してどのような気持ちがあるか、自分の死後にどのように暮らしてほしいかなどを伝えるのです。 普段あまり家族と会話をしていなかった場合などは、メッセージとして付言事項を用いることで、伝えたいことを素直に表現しやすくなります。

・家族のメッセージとしての付言事項の記載例
「普段あまり言葉にはできませんでしたが、素晴らしい妻や子どもたちに囲まれて、幸せな家庭と人生を築くことができました。子どもや孫たちが定期的に訪問してくれたり、助けてくれたりしたので、老後も不安なく過ごせたことに感謝しています。私が亡くなった後も、家族みんなで助け合って、幸せな人生を歩んでいってください」

遺言内容について理解を求める内容

争いなくスムーズに相続を進めるために、付言事項として遺言の内容を説明したり、理解を求めたりする方法があります。 法定相続分(民法が規定する遺産の分配の割合)と異なる相続分を指定したり、相続人ではない方に遺贈(遺産を無償で渡すこと)をしたりする場合などは、特に重要です。

法定遺言事項として分割方法を指定するだけでは、なぜそのような指定をするのか理解できず、納得しない相続人が出てくる可能性があります。 付言事項によって遺言の内容を説明すれば、相続人が納得し、相続をスムーズに進めることが期待できます。

・遺言内容について理解を求める付言事項の記載例
「長男は実家の家業を長年手伝ってくれたので、その苦労への感謝として、遺産を多めに残すことにしたのです。また、次男の嫁になってくれたA子さんは、私が病気で倒れた後はつきっきりで世話をしてくれたので、感謝を込めて、遺贈として遺産を受け取ってもらうことにしました。」

まとめ

遺言書の記載のうち、遺産の分割方法の指定など、法的な効力が認められるものを法定遺言事項といいます。法的な効力が認められないものが付言事項です。 付言事項の活用例として、家族にメッセージを伝えたり、遺言の内容について説明したりするなどの方法があります。 付言事項を記載すべきか迷っている場合は、相続に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

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この記事の監修者

弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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