遺言書が要式行為と言われる意味や、遺言書の方式ごとの要件を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 法令に定める一定の方式を満たさなければ法的な効果が認められない行為を、要式行為という
  • 遺言書は要式行為の一種であり、他に婚姻や認知などがある
  • 遺言書には様々な方式があり、それぞれ要件が異なる
目次

【Cross Talk 】遺言書は要式行為って、どういう意味?

遺言書は要式行為だから注意しないといけない、と聞きました。要式行為とはなんですか?

法令に定める一定の方式を満たさないと法的な効果が認められない行為を、要式行為と言います。遺言書は要式行為の一種なので、所定の方式を満たさなければ遺言書の効力が認められません。

遺言書が要式行為であるとは、遺言書の効力が認められるには所定の要件を満たさなければならないという意味なんですね。遺言書の主な要件についても教えてください!

要式行為の意味や、遺言書の方式ごとの主な要件を解説。

遺言書は要式行為と言われることがあります。 要式行為とは、法令に定める一定の方式を満たさなければ法的な効果が認められない行為のことです。 つまり、遺言書の効力が認められるには、法が定める所定の方式を満たさなければなりません。 そこで今回は、遺言書における要式行為について解説いたします。

「遺言書は要式行為」と言われる意味

知っておきたい相続問題のポイント
  • 法令に定める一定の方式を満たさなければ法的な効果が認められない行為を、要式行為という
  • 遺言書は要式行為の一種であり、他に婚姻や認知などがある

遺言書は要式行為だと聞いたのですが、要式行為とはなんですか?

法令が定める一定の方式を満たさなければ法的な効果が認められない行為を、要式行為といいます。遺言書は要式行為の一種であり、他の要式行為として婚姻や認知などがあります。

遺言書とは

民法における遺言書とは、遺言者(遺言書を作成する人)が、自分の死後の法律関係についての最終的な意思表示をすることです。 遺言書の内容の中心となるのは、自分の死後に遺産をどのように処分するかを指定することです。 民法が定める相続の割合(法定相続分)とは異なる割合を指定したり、相続人のうち誰にどの遺産を与えるかを指定したりすることなどです。

その他の遺言事項としては、相続人以外の方に財産を遺贈する、子どもを認知する、遺言執行者を指定するなどがあります。

要式行為とは

要式行為とは、法令が定める一定の方式に従って行為をしなければ、法的な効果が認められない行為のことです。 要式行為に該当する行為をする場合、法令による要件を満たさなければなりません。 要件の例としては、特定の人が記載をする、所定の書式で記載をする、署名押印をする、所定の方法で届出をするなどです。

遺言書は要式行為である

遺言書は要式行為の一種です。 民法が定める方式に従わなければ、遺言書を作成することができないと規定されています(民法第960条)。 民法が定める遺言書の方式(遺言の種類)は複数ありますが、共通の要件として以下の2つがあります。
  • 遺言書を作成するには15歳以上でなければならない
  • 遺言書を作成する時点で遺言能力(遺言書の内容や効果を理解する能力)が必要である

遺言の種類ごとに必要とされる行為

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書には様々な方式があり、それぞれ要件が異なる
  • 一般的な遺言書の方式である普通方式と、特別な事情がある場合の特別方式がある

遺言書を作成するのに必要な行為について教えてください。

遺言書には様々な方式があり、方式によって必要な行為は異なります。例として遺言者による署名押印や、一定の人数の証人などです。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で遺言書を作成する方式です。 自筆証書遺言の要件は以下の通りです。

・遺言書が全文を自筆する
添付の財産目録などの例外を除いて、遺言者自身が遺言書の全文を自筆しなければなりません。

・遺言書を作成した日付を自書する
遺言書を作成した日付を遺言者が正確に自書します。内容が異なる複数の自筆証書遺言がある場合、原則として新しい日付のものが優先されます。

・遺言者が自分の氏名を自書する
自筆証書遺言の要件を満たすには、遺言者が自分の氏名を自書しなければなりません。

・遺言書に押印をする
遺言書が自書した氏名の後に押印をします。実印でなくても可能ですが、長期間の保存に耐えるものを使用するのがおすすめです。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人の関与のもとで遺言書を作成する方式です。遺言書の紛失や改ざんのおそれがないなど、複数のメリットがあります。
公正証書遺言の要件は以下の通りです(民法第969条)。

・証人2人以上の立ち会いがあること
公正証書遺言を作成するには、公証人とは別に2人の証人が必要です。遺言者の意思に基づいて遺言書が作成されたことなどを確認するためです。

・遺言の趣旨を公証人に口授すること
遺言者が遺言の趣旨について、口頭で公証人に伝えることです。遺言者が話せないなど、口頭で伝えられない事情がある場合は、手話による通訳や筆談が認められる場合があります。

・公証人が口述を筆記して読み聞かせ・閲覧を行うこと
遺言者が口授した内容を公証人が筆記した後、遺言者に読み聞かせまたは閲覧を行います。趣旨がきちんと反映されているかを確認する手続きです。

・遺言者・証人・公証人の署名押印
公正証書遺言が成立したことを証明するために、遺言者・証人・公証人がそれぞれ署名と押印をします。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者以外に遺言の内容を知られないようにする遺言書の方式です。 秘密証書遺言の要件は以下の通りです(民法第970条)。

・遺言者が遺言書に署名押印をする
秘密証書遺言をするには、遺言者自身が署名と押印をしなければなりません。
もし遺言者以外が代理で署名や押印をしてしまった場合は、秘密証書遺言の効力が認められないので注意しましょう。

・遺言者が遺言書を封じて封印をする
遺言書を封じるとは、遺言書を封筒に入れて糊などで封じて、開けない状態にすることです。 封印をするとは、遺言書に用いた印を使用して封筒に押印し、封筒を開封したかどうかを確認できるようにすることです。 注意点として、封印をする際には、必ず遺言書の押印に用いた印を使用しなければなりません。

・遺言者が証人の前で申述をする
公証人と証人2人の前で封書(秘密証書遺言を封じた封筒)を示して、自身の遺言書であることと、筆者の氏名および住所を申述しなければなりません。
筆者の氏名および住所なので、遺言書の代筆した人がいる場合は、代筆者の氏名と住所を申述する必要があります。

その他の遺言書

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類の方式を、普通方式の遺言書といいますが、その他の遺言書の方式として、特別方式の遺言書があります。 特別方式の遺言書とは、普通方式によって遺言をする時間的な余裕がない場合に、特別に認められる遺言書の方法です。 特別方式の遺言書には、危急時遺言と隔絶地遺言の2種類があります。 危急時遺言とは、病気・怪我・遭難などの一定の事情によって、死期が迫っている人のための遺言書の方式です。 危急時遺言は、病気や怪我などの一般的な事情によって死期が迫っている場合の一般危急時遺言と、船や飛行機の遭難などの特殊な事情によって死期が迫っている場合の難船危急時遺言があります。 隔絶地遺言とは、伝染病や長期の航海などによって一般社会から離れており、一般的な遺言書を作成できない人のための遺言書の方式です。 特別方式の遺言書も要式行為であり、一定の立場の人物の立ち会いや、規定の人数の証人などが必要です。

まとめ

要式行為とは、法令が定める一定の方式を満たさなければ法的な効果が認められない行為のことです。 遺言書は要式行為の一種なので、法が定める要件を満たさなければ、遺言書としての効力が認められません。 遺言書には普通方式や特別方式など、様々な方式があり、方式ごとに規定された要件も満たす必要があります。 遺言書の作成に悩まれている方は、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談するのがおすすめです。

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