遺言で受取人を変更することってできるの?遺産と保険金についての処理を確認
ざっくりポイント
  • 遺産の受取人の変更は遺言の変更で行う
  • 保険金の受取人を遺言上で変更しておくことができる
目次

【Cross Talk】遺産と保険金の受取人って変更できる?

ずいぶん前に公正証書遺言で遺言書を作成しておいたのですが、その後遺産を受け取る相続人に随分と生前贈与をしました。ちょっと不公平かな?と思うので、一部財産の受取人を変更したいのですが、それってできるのでしょうか?

遺産の受け取りでしたら遺言書の内容を撤回・変更することが可能です。保険金の受取人の変更も遺言書ですることが可能です。どちらも変更の際、注意点がありますので気をつけましょう。

詳しく教えてもらえますか?

遺産・保険金の受取人を変更する場合の法律の規定を知ろう。

相続対策のために遺言書を作成したり、保険金を利用したりすることはよくあります。
ただし、ご相談者様のように、遺言書作成後に事情が変わることもあります。
そのような場合、遺産や保険金の受取人を変更することが可能です。
遺産の場合は遺言書の内容を変更する必要があるので、法律の規定に則って遺言内容を変更します。
保険金の場合は遺言で受取人の変更することが可能になっています。注意点などと併せてみてみましょう。

遺言で保険金の受取人を変更することができる

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言で保険金の受取人を変更することが可能
  • タイミング次第では変更されない場合や、相続税との関係での注意が必要

相続対策で保険に加入したのですが、受取人の変更は保険会社と話し合う必要がありますか?

そちらのほうが望ましいとは言えますが、遺言で変更することも可能です。この場合の注意点も知っておきましょう。

相続対策として保険に加入する方も多くいらっしゃいます。保険金の受取人の変更は可能でしょうか。

保険法第44条の規定

保険金の受取人の変更は、基本的には保険契約の変更で行うのが望ましいといえますが、例えば受取人の知り合いの保険会社に加入した場合など、表立って受取人の変更が難しい場合もあるでしょう。 そのため、保険法第44条は受取人の変更を遺言ですることも認めています。

ただし、本規定は平成22年4月1日より施行されており、それ以前に加入した保険について適用はありません。保険会社によってはこの方法を認めている場合もあるので、問い合わせて確認してみましょう。

遺言で保険金の受取人を変更する場合の記載例

遺言では、どの保険契約かを特定するために、保険契約者・被保険者・保険会社の種類・契約締結をした日時・保険に関する証券の番号などを記載します。

例) 第1条 遺言者は、遺言者を保険契約者及び被保険者として、〇〇生命保険株式会社と令和〇年〇月〇日に締結した生命保険契約(保険証書番号〇〇〇〇〇〇〇〇)の受取人を、長男◯◯◯◯から、次男◇◇◇◇に変更する。

タイミング次第で元の受取人に保険金が支払われる可能性がある

この遺言による保険金の受取人の変更については、遺言で新しく受取人に指定された人の行動が遅いと、元の受取人に支払われることになるため注意が必要です。
保険法第44条2項で、遺言による保険金の受取人の変更は、相続人が保険会社に通知をしなければ、保険者に対抗することができないと規定しています。
「対抗することができない」ということの意味は、元の受取人に保険金が支払われてしまった後に、保険会社に「あらためて遺言通りの受取人に支払ってください」と言っても保険会社側は既に支払い済みのため拒否をすることができるということです。
遺言で受取人の変更する場合には、遺言書を見つけてもらえるようにしておき、相続人・受取人は速やかに保険会社に通知を行う必要があるといえます。

相続税との関係での注意点

相続税との関係で注意をしておくべきことも知っておきましょう。
保険金は保険契約に基づく金銭の支払いですので、遺産ではないというのが法律における建前なのですが、相続税との関係では「みなし相続財産」として課税の対象になります。
例えば、保険金の受取人を孫に変更したというような場合で、相続税の基礎控除額を超える遺産があるような場合、受取人となった孫も相続税の申告・納税義務が発生するということを知っておきましょう。

遺言で受取人を変更したときの保険金の請求方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書の検認が必要であれば先に検認を行う
  • 遺言書を金融機関に提出する

遺言で受取人を変更したときの保険金の請求はどのように行うのですか?

相続人が遺言書を保険会社に提出します。遺言書の検認が必要である場合には先に遺言書の検認を行います。

遺言で受取人を変更した場合に、保険金はどのように請求すれば良いでしょうか。

まず遺言がある場合、公正証書遺言と自筆証書遺言書保管制度を使った自筆証書遺言以外の場合には、遺言書の検認が必要です。 まずは遺言書の検認を行います。

参考:遺言書の検認の流れやその後の手続の流れなど検認について解説!

検認が終われば遺言書を保険会社に提出します。
提出にあたっては申込書や添付書類が必要になるので、まずは加入している保険会社に問い合わせをしましょう。

遺言で受取人を変更した後のトラブルと対処法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言で受取人を変更したにもかかわらず変更前の受取人が手続きをすませて保険金を受け取ってしまうことがある
  • 受取人としての地位を失った人から遺言の無効を主張されることがある

遺言で受取人を変更したときにどのようなトラブルが考えられますか?

変更前の受取人が保険金を受け取る場合や、変更前の受取人が納得いかずに遺言書の無効を主張してくることがあります。対処方法と一緒に確認しましょう。

遺言で生命保険の受取人の変更をする際には次のようなトラブルに注意が必要です。

変更前の受取人が保険金を受け取ってしまう

まず、変更前の受取人が保険金を受け取ってしまうことです。
保険会社としては、保険金の受取人変更の遺言があることを申し出てもらわないと、変更があったことを知る術がありません。

そのため、変更前の受取人が保険金を受け取ってしまうことがあります。
これは、変更前の受取人が遺言で保険金の受取人の変更がされていたのを知っていて行われることもありますし、遺言があることに相続人全員が気付いておらず変更前の受取人が保険金を受け取ってから遺言書が見つかるパターンもあります。

遺言書が見つかって保険金の受取人の変更が記載されていた場合には、検認など手続きをしている間でも保険会社に事前に受取人の変更があったことを知らせるようにしましょう。
また、遺言書があとから見つかることがないように、重要な書類がないか早めに遺品整理を行うようにしましょう。

遺言書の無効を主張される

遺言で生命保険の受取人の変更手続きをされて受取人でなくなる人としては、そのような遺言の存在を好ましくないと思うこともあるでしょう。
そのため、そのような遺言は誰かが無理やり作成させた、遺言当時にはもう認知症が相当すすんでいたなどと主張して、遺言書の無効を主張してくることがあります。

自筆証書遺言で誰にも知られずに行った場合には、このような主張をしてくることが考えられます。
公正証書遺言は、公証人という法律に関する高度の知識をもった国の公証制度を担う人が、遺言者の状態を確認しながら公証人が遺言書を作成します。

そのため無効を主張される可能性が低く、トラブル回避が期待できます。
保険金の受取人の変更をしたい場合には公正証書遺言を作成するのが良いでしょう。

まとめ

このページでは、遺産・保険金の受取人の変更を遺言でする方法、注意点についてお伝えしました。
遺産の受取人の変更、保険金の受取人の変更は、法律上の規定に沿って遺言書の内容を変更することで可能です。
とはいえ、遺言の記載方法など慎重な対応が必要ですので、弁護士に相談しながら行うことをおすすめいたします。

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