終活でよく耳にするエンディングノートとはどのようなものか
ざっくりポイント
  • エンディングノートと遺言書の違い
  • エンディングノートで記載する事項
  • エンディングノートと遺言書の使い分け
目次

【Cross Talk 】エンディングノートってなんでしょう?

私の老後のことを考えて終活を始めました。先日参加した葬儀社のセミナーで「エンディングノート」というものがあることを知りました。今検討している遺言書とどう違うのでしょうか?

遺言書は死後に遺産を誰に譲り渡すかなどの法的な効果を生じるものである一方、エンディングノートには、葬儀の希望や伝えたいメッセージ・自分史などがあり書き方も自由です。

なるほど、詳しく教えてもらいたいです!

遺言書は法的効果が生じるがエンディングノートは主に死後のメッセージ!両方のこしておくことも検討しよう

終末期から自分の死後のことについて伝えたり決めたりする終活において、死後のものについて書き残しておくものとして遺言書とエンディングノートが挙げられます。 法的な効力をもつ遺言の内容として作成される遺言書と、終末期から死後の希望などについて記載されるエンディングノートの違いと使い分けについて確認しましょう。

遺言書とエンディングノートの違い

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書は遺言の内容を記載するもので法的な効力があり手続きに利用される
  • エンディングノートは終末期の医療や葬儀の希望・自分史や遺族へのメッセージなどが記載されることが多い

遺言書とエンディングノートの違いはどのようなものなのでしょうか。

遺言書は、法律的な効果を生じさせる遺言の内容を記載したもので、その内容に従って相続をすることになる一方、エンディングノートには終末期の医療や葬儀の希望・自分史や遺族へのメッセージなどを中心とし、自由に書くものと考えておいてください。

遺言書とエンディングノートはどう違うのかを確認しましょう。

遺言書とは

遺言書とは、自分の遺産について死後の取り扱いについての意思表示をする遺言の内容を記載したものです。 ある方が亡くなったときには、遺言書がなければ、民法の相続に関する規定に従って、亡くなった方の遺産が分割されることになります。

しかし、遺言をすることによって、基本的には遺言の内容に従って相続がされることになります。 遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言といったいくつかの種類があり、それぞれ作成の手続きが決まっています。 遺言書には、法律で定められた遺言についての内容を記載し、法律で定められた形式、手続きに従って作成する必要があります。法律で定められた内容以外に、何か希望があるような場合には、附言事項という項目を設けて記載をすることができます。 通常は遺言書に書かれている内容に従って遺産分割が行われます。また、銀行口座の解約・不動産の所有権の移転・車の名義の書き換えなどの相続手続きで利用されることもあります。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分の終末について記載したノートです。

特に法的な効力を発生するものではないので、その内容は自由ですが、よく記載されることとしては、

  • 終末期の医療に関する希望
  • 葬儀やお墓についての希望
  • 自分が亡くなったことを連絡してほしい相手
  • 家族・知人などへのメッセージ
  • 自分史
  • SNSのログイン情報
  • ペットについての希望

などが記載されます。ただし、エンディングノートにこれらの事項を記載しても、法的効力はありません。 エンディングノートについては葬儀社のセミナーなどで書き方について教わることができたり、市販のキットを購入して作成することが可能です。

両者の違いは?

一番の違いは、法的な効力が有るか・無いかです。 このような記載をすると、法的な効力が必要かどうかでどちらを記載するか?という区別をつける気もしますが、遺言書とエンディングノートの両方を作ることも可能です。 遺言書は法的な効力を生じることについてのみ書くのが基本で、メッセージについては附言事項で書くのが一般的です。附言事項で自分の言いたいことを書くことはできますが、盛り込みすぎるとその分、遺言の分量が多くなり、作成手続きも大変になります。 遺産に関することなど、遺言に書くべきこと以外にも伝えておきたいことなどが多くあるのであれば、エンディングノートに記載しておくと良いでしょう。

エンディングノートは葬儀社などで相談をすることができる

エンディングノートについては法的な効力を生じるものではなく、形式に決まりもないので、弁護士・行政書士などの法的手続きの専門家に相談する必要はありません。葬儀社などに相談することが多いです。

目的別遺言書とエンディングノートの使い分け

知っておきたい相続問題のポイント
  • きちんと法的な効果のある遺言をのこしたい場合には遺言書を作成する
  • 説明が必要なのであればエンディングノートで理由を記載しておく

どのような利用の方法が良いと思いますか?

法的な効果を確実に生じさせたいのであれば遺言書を、何か伝えたいことがあるのであればエンディングノートをと考えておくのが良いと思います。

目的別に遺言書とエンディングノートのどちらを利用するかについて確認しましょう。

きちんと効力のある遺言をしたい

きちんと法的効力のある遺言をしたいのであれば、遺言書を作成します。 エンディングノートで遺産についてのお願いをするだけですと、場合によってはエンディングノートの通りにすべきかどうかで相続人の争いを誘発しかねないことに注意をしましょう。

なぜこのような遺言の分け方にしたのかを説明したい

遺言をした場合に、どうしても遺留分を侵害する内容になったり、相続人の一人だけ他の相続人よりも不利に見えるような場合があります。 このような場合に、なぜこのような遺言をしたのか、ということを伝えて、不利になった方にその事情について納得してもらうことが必要です。 遺産の分け方を記載する遺言書を作成する際に、附言事項で付け加えて、遺言書にまとめて記載するのが良いでしょう。ただ、書式が自由なエンディングノートでその事情について記載することもできます。

遺産の一部を寄付してほしい

遺産の一部を寄付してほしいという希望がある場合には次の2種類の方法があります。 一つは遺言書で記載をして、寄付する遺産を指定しておく方法です。 もう一つは、エンディングノートで、寄付をお願いしておく方法です。 慈善団体の中には寄付するものについて制限をしていることがあるので、お金に換えてからでないと寄付できない場合があります。

例えば生前カメラが趣味で、死ぬまでは持っておきたいけど、死んだ後は中古品販売業者に売却をしてそのお金を寄付してほしい、というような希望をもっているとしましょう。 この時に遺産として残るのはカメラなので、売却して寄付するという遺言をする必要があります。遺言の内容を確実に実現してもらうため、遺言執行者を選任したほうがよい場合もあります。 このような場合には、エンディングノートで、遺族にお願いをしておくことになります。 ただし、前に記載した通りエンディングノートに法的効力はないので、遺族がエンディングノートに書いた通り動いてくれるとは限りません。

遺言で伝えられないことについてたくさん伝えたい

終末期の医療についての希望や、どのように葬儀をしてほしいかなど、遺言で法的な効果を生じさせるものではないお願いについては、遺言の附言事項を用いるよりも、エンディングノートで記載しておきましょう。 例えば、好きなアーティストがいて、自分の葬儀ではそのアーティストの音楽を流す音楽葬にしてほしいというような希望がある時には、自分史などもあわせてなぜそのような希望があるかを記載しておくと、より遺族に説得的となります。

まとめ

このページでは、遺言書とエンディングノートの違いについてお伝えしました。 遺言書とエンディングノートではそもそもの機能や伝えたい内容が違います。 どちらか、ということではなく、どちらも記載してみるのが良いのではないでしょうか。 確実に自分の相続について法的な効力を生じさせたい場合には、弁護士に遺言書の作成についてご相談をしてみるのが良いでしょう。

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この記事の監修者

弁護士 鎌田 隆博東京弁護士会
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