証人が必要な場合・不要な場合、選ばれ方、費用はどうなっているのか
ざっくりポイント
  • 遺言書を作成するにあたって証人が必要な場合
  • どうやって証人を選ぶか
  • 証人に支払う費用
目次

【Cross Talk 】遺言書を作りたい!証人ってどうやって選ぶの?

私は妻・子どもたちの相続を円滑にしてもらいたいと考えています。遺言書を遺しておこうと思っているのですが、証人は誰になってもらうのが良いでしょうか?

証人になることができないとされている人以外なら誰でもいいのですが、私たち弁護士にお任せいただけるのであれば証人になることができます。守秘義務もあるので安心していただけますよ。

そうですね。証人についてもう少し詳しく教えていただけますか?

遺言書を作成するにあたって証人が必要な場合について

普通方式の遺言書である自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のうち、公正証書遺言・秘密証書遺言をする場合には手続きの過程で証人が必要になります。 誰が証人になれるのか、その場合の費用など確認をしましょう。

遺言書の証人とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書の証人とは
  • 公正証書遺言・秘密証書遺言をする場合に必要とされるもの

遺言書の証人とはどのようなものでしょうか。

民法の規定で遺言書を作成する際などに立ち会う人のことをいいます。

遺言書における証人とは、民法で、特定の場合に立ち会うことになっている人のことをいいます。 後述しますが、公正証書遺言では内容が正確かどうかを確認するなどの役割をもっており、秘密証書遺言では遺言書を封印するのを見届け封紙に氏名・住所を記載します。

証人の立ち会いなく作成された遺言書は、方式に背くものとして無効となります。 また、遺言書の作成において疑義が生じたときには、裁判などで証人となることを求められることも考えられます。

遺言書を作成するのに証人が必要な場合とはどのような場合か

知っておきたい相続問題のポイント
  • 自筆証書遺言では証人は必要ではない
  • 公正証書遺言・秘密証書遺言で証人が必要となる

遺言書の種類によって証人が必要か不必要か分かれるのですか?

はい。自筆証書遺言では不要ですが、公正証書遺言・秘密証書遺言では証人が必要となります。

証人が必要な遺言書の種類について確認しましょう。

自筆証書遺言では必要ない

まず、自筆証書遺言については、作成にあたって証人を必要としていません。

公正証書遺言の場合には証人が必要

公正証書遺言を作成する手続きにおいては、証人2名以上の立会いが必要とされています(民法969条1号)。 遺言者が公証人に遺言書の趣旨を伝え、公証人がこれを筆記し(実務上はあらかじめすりあわせをして作成しておく)、その内容を遺言者と証人に読み聞かせ・閲覧させます(民法969条2号・3号)。 内容に誤りがなければ、遺言者と証人は遺言書に氏名を記載し捺印をします。

この手続きは公証役場で行うので、公証役場に出向く期日までに証人を決めておく必要があります(証人になってくれる人がいない場合、公証役場が準備してくれることもあります。)。

秘密証書遺言の場合には証人が必要

秘密証書遺言を作成する場合にも証人2名以上の立会いが必要とされています。 秘密証書遺言は、遺言者が直接作成をして、公証人の前で封印をおこない(遺言書を封紙にいれて開けられないようにする)、公証人・証人が封紙に署名・捺印をします(民法970条)。 この手続きのために同じく証人2名を決めておく必要があります。

証人になる人はどのような人か

知っておきたい相続問題のポイント
  • 証人になることができる人
  • 実務上よくある証人の選び方
  • 証人を選ぶのにかかる費用

証人になることができる人は誰ですか?

証人になることが出来ない人については法律で規定されており、それ以外の人であれば誰でもなることができます。遺言書作成を依頼した弁護士と、同じ事務所の弁護士や従業員が証人になることが多いです。

では、証人になることができる人はどのような人なのでしょうか。

証人になることができる人は法律上禁止されていない人全員

法律上は「誰が証人になるか」という観点から規定されているのではなく「証人になることができない人」という規定がされています(証人欠格:しょうにんけっかく)。 民法974条は、証人になることができない者として、次のような者を規定しています。
1号:未成年者 遺言は死後の法律関係についての意思表示をする重要な行為です。 ですので、未成年者はいまだその意味を理解することができないこともあるので、証人になることができないとされています。
2号:推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族 推定相続人・受遺者とその配偶者と子・孫なのどの直系血族も証人となることができません。 証人となる人は、公正証書遺言であれば遺言があることおよびその内容を、秘密証書遺言であれば遺言の存在を知り得ることになります。 生前に遺言があることを知ると相続人の間で無用の争いを招く可能性があるため、証人にはなれないとされています。
3号:公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人 公証人は公正証書遺言・秘密証書遺言ともに重要な役割をしています。 証人は公証人が何か間違っている場合には指摘をしなければなりませんので、公証人が誤っているような場合に指摘できない人であってはならないといえます。 そのため、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は、証人になることができません。 書記及び使用人というのは、現実には公証役場で事務職として働いている人がこれにあたります。

実務での証人の選び方

証人欠格にあたらなければ誰でも証人になれるのが法律の建前ですが、現実にはどのような人が証人になるのでしょうか。

ここでは3つのよくあるパターンについて確認しましょう。 1つ目のパターンは、友人や証人欠格ではない親族になってもらうものです。 2つ目のパターンは、弁護士・行政書士などの専門家に依頼して遺言書作成のサポートをしてもらい、そのまま証人にもなってもらうものです。 証人は2名以上必要になるので、依頼している弁護士と、その秘書・同じ事務所のほかの弁護士・協力関係にある税理士・司法書士などと一緒に証人になってもらいます。

3つ目のパターンは、専門家を通さずに直接公証人とやりとりをしている場合などに、公証役場で証人を手配してもらうものです。

公正証書遺言や秘密証書遺言の場合、身近な人に証人を頼むと、相続人に遺言書の内容や遺言書があることを知られてしまう可能性があります(自筆証書遺言は証人が不要なため、内緒で遺言書を作成することができる)。 弁護士などの専門家は職務上知りえた秘密を公開することは、弁護士法などの資格について規定した法律で禁止されています(守秘義務)。そのため、専門家に証人になってもらえば、秘密が公開されるおそれが低くなるというメリットがあります。

証人にかかる費用

証人になってもらうにはいくら費用がかかるのでしょうか。 まず証人になってもらうからといって、お金を支払わなければならないとする法律はありません。 そのため、友人・知人が証人になってくれるような場合には費用を支払う必要はありません。 遺言書作成を弁護士などに依頼し、そのまま証人になってもらう場合には、証人には当日公証役場に来てもらうことになるため、日当などの報酬が必要です。公証役場から証人を手配してもらう場合にも同様に、1名1万円程度の報酬が必要となります。

公正証書遺言の証人に選ばれたら

知っておきたい相続問題のポイント
  • 公正証書遺言の証人に選ばれたときの当日の流れ
  • 公正証書遺言の作成にかかる時間

公正証書遺言の証人に選ばれた場合どうすれば良いのでしょうか。

作成している人から公証役場に出頭する日が指定されるので、その日に公証役場に出頭します。当日は印鑑と身分証明書を忘れないでください。

公正証書遺言の証人に選ばれた場合の当日の行動や後日の対応などについて確認しましょう。

遺言書作成を行う当日の流れ

公正証書遺言の証人に選ばれると、公証役場など遺言書を作成する場所が指定されます。 直接公証役場で待ち合わせする場合があったり、弁護士や遺言者などと別の場所で待ち合わせして向かう場合もあります。 通常は公証役場内に待合スペースがあるので、現地で待ち合わせする場合には公証役場に入ってしまっても問題ありません。 遺言者・弁護士などと一緒に公証人に呼ばれますので、一緒に向かいます。 公証役場で身分証明書の提示を求められるので、必ず身分証明書(顔写真付き)を持っていくようにしてください。 当日は、公証人から遺言者に内容を確認する旨の問答を行い、事前にすり合わせをした遺言書の内容について、遺言者・証人に分かるように説明します。 内容に間違いなければ、遺言者・証人2名は、遺言書に署名捺印を行います。 印鑑はスタンプ印(シャチハタ印)が不可なので注意しましょう。 認印でも問題ないですが、公正証書遺言書に押印するものなので、実印を使う方が多いようです。

手続きにかかる時間

公証役場での手続きにかかる時間は概ね30分~1時間程度で終了します。

後日の対応

公正証書遺言の証人になったからといって、例えば本人が亡くなった際になにか手続きを求められたり、その他手続きで対応を求められることは、法律上はありません。 しかし、公正証書遺言についての遺言無効確認など、相続人などが受遺者と争うような場合には、作成に立ち会っていることから、作成当時の状況について質問される・訴訟になった場合には証人として裁判に立ち会って裁判官・原告・被告から質問を受けるなどの可能性があります。 裁判所で証人となる場合には真実を話す義務があるので注意をしておきましょう。 基本的には、後日になにか対応しなければならないことはないので、あまり心配する必要はありません。

まとめ

このページでは証人が必要な場合や選び方、証人の行動などについてお伝えいたしました。 公正証書遺言や秘密証書遺言で必要となるのが証人で、遺言書作成を専門家に依頼すれば、専門家とその同僚・事務員などがなってくれます。 不明な点があるようでしたら、弁護士に相談してみてください。

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