遺言書に関する重要なルールをまとめて解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言書を作成するには15歳以上であることや、遺言能力が必要
  • 遺言書の方式は一般的な普通方式遺言と、特別な場合に認められる特別方式遺言がある
  • 遺言書が複数あり抵触する場合は、後の遺言書が適用される
目次

【Cross Talk 】遺言書に関する重要なルールは何がある?

私が亡くなった場合に備えて、遺言書を作成しておこうと考えています。そこで、遺言書に関する重要なルールを知りたいのですが。

遺言書に関する重要なルールとしては、遺言書を作成する人について・遺言書の記載について・遺言書が複数ある場合についてなどがありますね。

遺言書を作成するには重要なルールがいくつもあるんですね。それぞれのルールについて教えてください!

遺言書を作成する人や遺言書の記載など、遺言書の重要なルールの概要を解説します。

遺言書を作成するには法律が定める要式(ルール)を満たす必要があるので、ルールの概要を知ることが大切です。 遺言書に関するルールとしては、遺言書を作成する人について・遺言書の記載について・遺言書が複数ある場合についてなどがあります。 そこで今回は、遺言書に関する重要なルールについて解説いたします。

遺言書を作成する人についてのルール

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書を作成するには15歳以上であることが必要
  • 遺言書を作成するには遺言能力が必要

遺言書を作成する人について、どのようなルールがありますか?

遺言書を作成する人に関するルールとして、15歳以上であることや、遺言書の内容や結果を認識できる遺言能力などがあります。

15歳以上であること

遺言書を作成するには15歳以上であることが必要です(民法第961条)。

民法が定める成年年齢は18歳(民法第4条)ですが、遺言書の場合は効力が発生するのは本人が亡くなった後であり、未成年者を保護する必要性が通常よりも低くなるので、15歳以上から遺言書を作成することが認められています。

民法の規定によって、15歳未満の人は遺言書を作成することが認められていないので、15歳未満が遺言書を作成しても、遺言書としての効力はありません。

また、15歳未満の本人にかわって、親権者などの法定代理人が代理で遺言書を作成することも認められていません。

例えば、14歳の人が「自分の財産の全てを弟に相続させる」という遺言書を作成して亡くなっても、遺言書としての効力が認められないので、遺言書によって弟に全ての遺産を相続させることはできません。

上限はないが意思能力が必要

遺言書を作成できる年齢に上限(80歳までなど)はありませんが、遺言書を作成するには意思能力が必要とされています。

遺言書を作成するのに必要な意思能力は、一般に遺言能力と呼ばれます。遺言能力とは、簡単に言えば、遺言書の内容や遺言書による結果を理解できることです。

例えば、「長男に全ての遺産を相続させる」という遺言書を作成する場合、遺言書によって自分の財産の全てを長男に相続させること(内容)や、自分が死んだ場合に長男が遺産を相続すること(結果)などを認識できる必要があります。

遺言書を作成するには遺言能力が必要とされているので、認知症などによって遺言能力を欠く状態で遺言書を作成した場合は、法的な効力が認められません。

遺言書の記載についてのルール

知っておきたい相続問題のポイント
  • 普通方式遺言の種類として自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言がある
  • 特別方式遺言として、危急時遺言と隔絶地遺言がある

遺言書の記載ルールについて教えてください。

遺言書としての効力が認められるには、法が定める要式を満たさなければなりません。一般的な方法である普通方式遺言と、特別な場合にのみ認められる特別方式遺言があります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言書の全文を遺言者(遺言をする人)自身が自筆する遺言書作成の方法です。

財産目録などの一定の例外を除いて、原則として、遺言者自身が全文、日付及び氏名を自筆したうえで押印しなければなりません。

自筆証書遺言は自分だけで作成できるので、遺言書の方法としては最も手軽な方法と言えます。

しかし、遺言書は法が定める要式を満たさなければ無効になってしまうので、自筆証書遺言を作成する場合は、要式をきちんと満たすように注意が必要です。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場の特別な公務員である、公証人の関与のもとで遺言書を作成する方法です。

公正証書遺言を作成するには手数料などの費用がかかりますが、公証人が関与することで、法的に不備のない遺言書を作成できるのがメリットです。

また、遺言書の原本が公証役場に保管されるので、遺言書を紛失したり改ざんされたりする心配がありません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者以外に遺言書の内容を秘密にできる遺言書の方法です。

秘密証書遺言を作成するには、遺言書が存在することを公証人や証人に証明してもらうために、公証役場で手続きをする必要があります。

秘密証書遺言をすると、遺言者以外の誰にもその内容を知られることなく、遺言書を作成することができるのがメリットです。

ただし、遺言書の内容自体は公証人も確認できないので、不備がある場合は遺言書の効力が認められない可能性があります。

その他の遺言書

その他の遺言書として、通常の遺言書を作成する余裕がないときの方法である、特別方式遺言があります。

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つは、通常の遺言書の方法であり、普通方式遺言と呼ばれます。

特別な場合にのみ認められる遺言書の方法が、特別方式遺言であり、危急時遺言と隔絶地遺言の2種類があります。

危急時遺言とは、病気や遭難などの特別な事情で死期が迫っている場合に認められる、遺言書の方法です。

危急時遺言は、病気や怪我などの場合に利用できる一般危急時遺言と、船や飛行機で遭難した場合などに利用できる難船危急時遺言があります。

隔絶地遺言とは、伝染病や航海などで一般社会から離れており、通常の遺言書の手続きを利用できない場合に認められる、遺言書の方法です。

伝染病などで隔離されている場合の一般隔絶地遺言と、長期の航海で陸地から離れている場合の船舶隔絶地遺言があります。

遺言書が複数ある場合のルール

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  • 遺言が複数あり抵触しない場合は、どちらも有効である
  • 遺言が複数あり抵触する場合は、後の遺言が適用される

遺言書が複数ある場合のルールを教えてください。

遺言書が複数ある場合、抵触しなければどちらも有効です。抵触する場合は、新しく作成された遺言書が適用されます。

遺言書が複数ある場合、それぞれの遺言書の内容が抵触していない場合は、どちらの遺言書も有効です。

例えば、日付が令和4年9月10日の遺言Aに、「A銀行の預貯金は全て長男に相続させる」と記載されているとします。

次に、日付が令和4年9月20日の遺言Bに、「B銀行の預貯金は全て次男に相続させる」と記載されているとしましょう。

この場合、遺言Aと遺言Bは両立する関係にあり、抵触していないので、どちらの遺言書も法的に有効です。

ただし、遺言書が複数あり、それぞれの遺言書の内容が抵触している場合は、その抵触する部分については後に作成された遺言書が適用されます(民法第1023条第1項)。

例えば、日付が令和4年9月10日の遺言Aに、「A銀行の預貯金は全て長男に相続させる」と記載されており、日付が令和4年9月20日の遺言Bに、「A銀行の預貯金は全て次男に相続させる」と記載されているとします。

この場合、遺言Aと遺言Bはどちらかしか成立しない関係にあり、抵触しています。よって、後に作成された遺言Bが適用されて、A銀行の預貯金は次男が相続します。

まとめ

遺言書を作成する人についてのルールとして、15歳以上であることと、遺言能力があることが必要です。 遺言書に関するルールとしては、一般的な方式である普通方式遺言や、特別な場合にのみ認められる特別方式遺言があります。 遺言書が複数あり抵触する場合は、後の遺言書の内容が適用されます。 遺言書に関するルールを詳しく知りたい場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

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