遺言者・他の相続人が遺言書を見せてくれない場合の対処法を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言者が存命で遺言書を見せてくれない場合は、内容を知る事は難しい
  • 他の相続人が公正証書遺言を見せてくれないときは公証役場で所定の手続きを行う
  • 他の相続人が自筆証書遺言・秘密証書遺言を見せてくれない際には検認の手続きで閲覧が可能
目次

【Cross Talk 】遺言者・他の相続人が遺言書を見せてくれない時はどうしたら良い?

遺言者や他の相続人が遺言書を見せてくれないときにはどうしたら良いでしょうか?

遺言者については遺言書を「見せない」権利もありますので、存命中は難しいでしょう。相続が始まってからは、遺言書の書式に応じた手続きにより閲覧が可能です。

詳しく教えてください。

遺言書を見せてくれない時の対処法を解説いたします。

遺言書を巡って「遺言者が遺言書を見せてくれない」「他の相続人が遺言書を見せてくれない」といったトラブル事例が存在します。 遺言者は、存命中であれば、遺言書を書き換えることができ、誰かに見せる必要はありません。 しかし、相続が始まった後に他の相続人が遺言書を見せてくれない場合は、所定の手続きに従って遺言書を見る事が可能です。今回は遺言書を見せてくれない際の対処法を解説いたします。

遺言者が遺言書を見せてくれない場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言者が存命中で遺言書を見せてくれない際には、遺言書の内容を知ることはできない
  • 遺言書は遺言者が亡くなってから効力が生じる

父が遺言書を書いているようです。いざという際の相続人は私ひとりですが、遺言書の内容を見せてくれず困っています。どうすれば良いでしょうか?

遺言者は相手が推定相続人でも遺言書を見せる必要はありません。また遺言者が存命のうちは遺言書に効力はありません。そのため、お父様にもしものことがあった後に対処することになります。

遺言者には、たとえ相手が推定相続人(将来相続人になる人)であっても、遺言書を見せないことができます。 また、民法985条には「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる」と記されており、遺言者が存命中は遺言書に効力はありません。

遺言書には自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言があり、このうち、自筆証書遺言は遺言者が所定の方式に従い自身で書くもの、公正証書遺言は公証人に内容を伝え公証役場で証人2人立ち会いのもと作成するものです。 そして秘密証書遺言は、証人2人と公証人が立ち会い、定められた手順で遺言者が記した遺言書を封印するもので遺言者が遺言書の内容を周囲に知られたくない時に作成します。

遺言者と話し合っても、遺言書を見せてくれない場合には遺言者が亡くなり相続開始となるまで内容を知る事は難しいでしょう。 また、遺言者が生きているうちはいつでも遺言書を撤回する事ができますので、相続時に現在ある遺言書が必ずしも有効になるとは限りません。(民法1022条「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる」)

公証役場の中には、ホームページで「調査対象者が生存中の場合は、たとえご家族であっても一切請求できません」という記載がある所が存在します。

なお、遺言書と関係して、自身に遺留分(遺族の最低限の取り分)があり、遺言書で遺留分が侵害されている場合には侵害された遺留分相当の金銭を請求できる権利があります。 遺留分は被相続人(亡くなった方)の配偶者、子ども(亡くなっている時は孫)、父母(亡くなっている時は祖父母など直系尊属)に定められており、兄弟姉妹にはありません。 詳しくは「遺留分とは?相続分との違いは?遺留分は親や孫にも認められる?」の記事をご確認ください。

他の相続人が公正証書遺言を見せてくれない場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 他の相続人が公正証書遺言を見せてくれない時は、公証役場で検索のうえ原本閲覧または謄本交付の手続きを行う
  • 手続きができるのは遺言者の法定相続人など利害関係者に限られ、証明書類が必要となる

亡くなった父が生前公正証書遺言を残していたようですが、以前から私と兄は折り合いが悪く遺言書を見せてくれません。

公証役場で謄本交付または原本閲覧の請求手続きを行いましょう。

遺言書の原本は公証役場にある

公正証書遺言を作成すると遺言者には正本1通と謄本1通が交付され、遺言書は原則20年間公証役場に保管されます。 他の相続人が公正証書遺言を見せてくれない時には公証役場に行き、遺言書の原本を閲覧または謄本の交付請求を行いましょう。

遺言書閲覧のための手続き

公正証書遺言を閲覧し、もしくは謄本を取得するには、まず最寄りの公証役場にて遺言検索システムで遺言書を探し、被相続人の作成履歴があれば、原本閲覧または遺言公正証書の謄本交付の請求をします。

遺言検索システムは遺言者の法定相続人といった利害関係者のみが利用できます。 照会を希望する方は、遺言者が亡くなったことや法律上の利害関係の存在を、除籍謄本等の書類によって示せば、遺言の有無・遺言公正証書を保存している公証役場を教えてもらえます。

遺言書の原本閲覧・謄本交付の請求を行うことができるのは、遺言検索時と同様に亡くなった遺言者の法定相続人や法律上の利害関係者のみです。 必要書類の例は以下の通りです。
(1)遺言者の除籍謄本(死亡の記載があるもの)
(2)遺言者と請求者の関係(続柄)が分かる戸籍謄本
(3)請求者の身分証明書類
(4)請求者の認印
公証役場によっては必要書類が異なる可能性がありますので、事前に電話やホームページで確認しておきましょう。

他の相続人が自筆証書遺言・秘密証書遺言を見せてくれない場合

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認の手続きで閲覧可能
  • 遺言者が法務局の保管制度を利用している場合は遺言書情報証明書交付の手続きを行う

亡くなった父が自筆証書遺言を自宅に残していたようですが、他の相続人が私に見せてくれません。

法務局以外で保管されている自筆証書遺言は検認の手続きが必要となり、検認の際に遺言書の閲覧が可能となります。法務局に保管されている遺言書は閲覧または遺言書情報証明書交付の手続きを行う事で内容を確認できます。

検認の手続きで閲覧することが可能

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、それに従って相続手続きを進めるには、家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があります。 そのため、他の相続人が見せようとしなくても、相続を進めるためには検認の手続きをする必要がありますし、さらに隠匿や破棄をした相続人は相続する資格を失う場合もあります(民法891条5号)

検認とは遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。 家庭裁判所に申立てた人と、立ち会いを希望する相続人が指定された日に家庭裁判所に赴き、裁判官は封がされた遺言書を全員の目の前で開封し、遺言書を検認します。 よって、検認の手続きを行う事で遺言書の内容を閲覧できます。 検認後は遺言検認調書または検認済証明書交付の申請を行うと検認を行った証明書が交付されます。

遺言検認調書・検認済証明書を他の相続人が受け取り、取得できなかった時には家庭裁判所に謄本の交付を請求することで内容の確認が可能となります。

自筆証書遺言保管制度が利用されている場合

遺言者が自筆証書遺言保管制度を利用している際には、検認の手続きが必要ありません。 自筆証書遺言保管制度を利用している場合、遺言書は法務局に保管されています。 遺言書が法務局に保管されているか確認する場合は遺言書保管事実証明書の交付の請求を行います。 保管されていることが分かっており閲覧したい時には、法務局に閲覧の請求または遺言書情報証明書交付の請求を行うことで閲覧できます。 なお上記の手続きは、保管者の相続人・受遺者・遺言者執行者等の利害関係者のみ請求が可能です。

まとめ

このページでは、遺言者・他の相続人が遺言書を見せてくれない場合の対処法などについて解説しました。 遺言者は相手がたとえ推定相続人であっても自身が作成した遺言書を見せる必要はなく、遺言者が亡くなったあとに遺言書の内容を確認できます。 他の相続人に遺言書を見せてもらえず、遺言書が法務局・公証役場に保管されている場合はそれぞれ所定の手続きを行い閲覧が可能となります。自宅など身近な場所に保管されている自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認の手続きで閲覧が可能です。 他の相続人が遺言書を見せてくれない場合は、相続トラブルが発生する可能性が高いため弁護士への相談をおすすめします。

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この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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