遺言書が見つかった?遺言の強制力について解説
遺言書が見つかった時に知っておきたい、遺言の強制力について
ざっくりポイント
  • 基本的に遺言は相続に関する規定に関し優先される強制力がある
  • 一定の要件のもとに強制力を排除することは可能
  • 遺言書が見つかった場合に強制される手続き
目次

【Cross Talk】遺言書が見つかったんだけど…これって本当に強制力があるの?

父が亡くなり、母と私と妹で相続をしました。遺言書が見つかったのですが、内容がちょっと無茶苦茶だな…という感じでして、みんなで困惑をしています。これって強制力があるのでしょうか?普通に相続をしてはダメなのでしょうか。

基本的には遺言がある場合相続において優先されるべきですが、相続人・受遺者・遺言執行者全員が納得していれば遺言の内容と異なる相続もすることが可能です。ただ、自筆証書遺言や秘密証書遺言、封のしてある遺言書が見つかったのであれば、検認という開封の手続きがあり、それには強制力があるので、そちらは確実に行いましょう。

遺言書があった時の強制力について

遺言者の最終意思の表示である遺言がある場合には、その内容は相続に関する法律に優先して実行されることになります。そのような意味では強制力のあるものです。ただし、相続人・関係者全員がその内容を是認できないような場合にまで強制力を認める必要はありません。そのため遺言の内容と異なる遺産分割や、遺贈の放棄というものが認められています。 また、遺言の内容とは別に、遺言があった場合には検認などの手続きを経なければいけない、という強制的な規定もありますので、併せてみてみましょう。

遺言書に強制力がある?ケース別に紹介

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書がある場合には相続に関する規定に優先するという強制力がある
  • 遺言書がある場合に強制力のある手続きがある

まず、遺言書の強制力について詳しく教えてください。

遺言することで法的な効力が生じる事項について遺言がされている場合には、相続に関する法律(民法)の規定に優先するという強制力があります。また、遺言書がある場合に法律上強制されている手続きがあるので注意しておきましょう。

遺言されているときの強制力とはどのようなものでしょうか。

遺言書の強制力の原則

相続が開始した(=被相続人が死亡した)ときには、民法の相続の規定に従って相続をすることになります。 もっとも、遺言をすることで効力が生じるとされている事項について遺言がある場合には、その遺言の内容が法律よりも優先されることになります。遺言の内容が法律よりも優先されるという意味では、強制力があるといえるでしょう。

遺言に関係ない事項には強制力はない

遺言の内容として、遺言により法的な効力が生じる事項とは関係の無いことを記載することも可能です。 例えば、「私は音楽が好きなので私の葬儀は音楽葬にしてほしい」といった内容を記載することも可能です。 このような記載は,その記載がされたからといって、法的な効力が生じるものではないので、遺族はその他の方法で葬儀をすることも可能です。つまり、遺言があっても法的な効力が生じない事項には強制力はないといえます。

遺言書が古い場合でも期限はないので強制力はある

昨今は早いうちからいわゆる終活に取り組む方も増えたため、遺言書を作成してから数年が経過するような事例があります。このような場合でも古い遺言書であるという理由から法的な効力・強制力がなくなるといったことはありませんが、複数の遺言があり、各内容が抵触するような遺言がある場合には、新しい遺言の内容が適用されます。

また、遺言書に書かれている対象の財産を処分してしまったような場合には、その部分については撤回したものとして取り扱われることになります。

手続きに関する強制力

遺言の内容についての強制力以外に、遺言書がある場合の手続きとして強制される手続があります。 具体的には、公正証書遺言以外の遺言書がある場合には、遺言書の検認を家庭裁判所で行わなければなりません。

遺言書の検認とは、遺言書に書かれている内容や遺言書がどのような状態であったかを、相続人・受遺者などの利害関係人全員で確認をして、以後偽造されないように確定するための手続きであり、検認をしないで遺言を利用しようとすると過料に処せられます。なお、遺言書を破棄・偽造・改ざんなどをした場合には、相続人の欠格事由にあたり相続ができなくなります。

遺言の強制力を否定するための方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言の強制力も絶対ではない
  • 遺言の強制力を否定するための方法

では、遺言書があるような場合には、どのような内容でも相続人は強制的に従わなければならないのでしょうか。

相続人は一定の要件のもとに遺言と異なる遺産分割をすることができます。また遺贈がある場合に受遺者が遺贈を受けることを望まない場合、遺贈の放棄をすることが可能です。また、遺言の内容がおかしい、という場合には遺言無効確認という形で争うことになります。

遺言がある場合でもその強制力は絶対的なものではなく、一定の要件で遺言の内容を拒否することが可能です。

遺言と異なる遺産分割をする

遺言の内容については、相続人の特定の人にだけ有利な内容になっていることがあり、その場合他の相続人が不満に思うことはあります。 もっとも、遺言は遺言者の最終意思として尊重すべきという考え方のもと、遺言の内容について相続人に不満がある場合でも遺言には強制力があります。なお、遺留分を侵害するような内容の遺言も原則として有効となりますが、遺留分を侵害されている相続人は、遺留分侵害額請求権を行使できます。

しかしながら、相続人全員が遺言の内容に納得がいっていないような場合にまで、必ず強制力がありその通りにしなければならないとなってしまうと、相続人全員にとって不都合があるという場合もあります。そこで、相続人全員が遺言の内容と異なる遺産分割を望んでいる場合には、相続人全員での合意により、遺言と異なる内容での遺産を分割をすることが可能であるとされています。なお、遺贈がある場合や、遺言執行者がついているような場合には、受遺者・遺言執行者の同意も必要となります。

遺言の内容と異なる遺産分割については「遺言書に納得できない!遺言書と異なる遺産分割はできる?」こちらで詳しく解説をしているので参考にしてください。

遺贈を放棄する

遺言で、たとえば相続権がない内縁の妻・長男の妻・孫などに財産を譲り渡すことも可能です。 このように遺言による財産の移転を遺贈といいます。 遺贈を受けるといっても、受けることで相続人と争いになる可能性もあり、必ずしも喜ばしいことばかりではありません。そこで、受遺者は遺贈を放棄することが可能です。

遺贈には、特定の財産を示して行う特定遺贈と、割合を示して行う包括遺贈があります。特定遺贈の放棄は自由に行うことができますが、包括遺贈については相続放棄の方法で行うものとされています。 遺贈の放棄については「遺言の内容を拒否することができるか?遺贈の放棄について」こちらで詳しくお伝えしておりますので参照してください。

遺言の無効の主張方法

遺言書が存在している場合でも、強制力があるといえるためには遺言が有効なものである必要があります。 たとえば自筆証書遺言で作成されており、日付の記載がない・押印がないなどで、法定の要件を充たさないような場合、遺言は無効です。また、どの遺言の形式にしても、たとえば遺言時に遺言者が認知症を患っていて、遺言書の内容にあるような意思表示をすることができなかったといえる場合であれば、遺言は無効であると判断されることもあります。

遺言の無効を確認するためには、裁判所に遺言無効確認訴訟を起こす必要があります。その裁判で遺言が無効であると確認されると、遺言がなかったものとして、民法の相続の規定に従って各相続人に遺産が承継されることになります。

まとめ

このページでは遺言の強制力等についてお伝えしてきました。 遺言がされている場合には法律の規定に優先する強制力がある一方で、それを否定する方法もあります。 遺言の内容に困ったような場合には、すみやかに弁護士に相談をするのが良いでしょう。

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