
- 遺言書が有効であるための要件
- 遺言書が無効であるような場合
- 遺言書の無効を主張するための方法
【Cross Talk】そんな遺言書、書ける訳がなかった!として無効であると主張したいんだけど…
先日母が亡くなり、相続が発生しました。すでに父も他界しているため、相続人は兄と私のみになります。実は母の遺言書が出てきたのですが、母は認知症を患って施設に入居してから外に出ることもできないほどだったのです。
意思能力を欠く場合には遺言は無効になります。無効を主張する場合には、遺言無効確認の訴えを起こします。
詳しくお話しを聞かせてください。
遺言は民法の規定に従ったものでなければなりません。遺言の方式に関する要件を満たしていないような場合には遺言書があったとしても無効となります。 また遺言は自身の財産処分に関する意思表示なので、意思表示に関する要件も満たす必要があります。 遺言時に高齢で認知症などにより物事の判断ができなくなっているような場合や、自筆証書遺言を書いたけども法律の要件を満たさないものだった、というような場合には遺言が無効なのではないかと主張することができます。遺言の無効が疑われる場合は、遺言無効確認の訴えを起こすことができます。
遺言が有効になるための要件

- 遺言が有効になるための要件
- 遺言の規定以外にも意思能力が必要
遺言書がでてきた場合、有効な遺言であるかどうかはどのように判断できるのでしょうか。
遺言が有効といえるための要件を確認しましょう。
遺言は法律の規定に従って作成された場合のみ、有効なものとして効力が発生します。 どのような時に効力が発生するのでしょうか。
遺言能力
遺言には様々な方式があるのですが、前提として意思能力と遺言能力が必要です。 まず、意思能力というのは、民法の条文にはありませんが、「自己の行為の結果を弁識するに足りる能力」、つまり自分のやっていることがどのような結果になるのかを判断する能力です。そして、遺言者が有効な遺言をするには、遺言の際に、意思能力、すなわち遺言内容及びその法律効果を理解判断できることができる必要な能力を備えることが必要です。
例えば加齢や認知症によって、遺言の内容を正しく理解できない状態などは意思能力を認められません。 また、遺言は15歳からできるとされているため、遺言能力として15歳以上になっていることが必要となります(民法961条)。
民法に規定された方法による遺言(遺言書の作成)
以上の共通の要件に加え、遺言書作成の際には民法が規定する方法で作成する必要があります。 民法が規定する遺言方法には、一般方式として自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。また、あまり使用頻度は高くありませんが特別方式という遺言もあります。 遺言の方式についてはそんなに難しくない?自筆証書遺言の書き方(メリット・デメリット) 公正証書遺言とは?メリット・デメリット、費用などについて解説! 遺言書とは?普通方式・特別方式すべてを簡単に解説 こういったページで詳しく解説しているので、そちらを参照してください。
どのような場合に遺言が無効となるか

- 遺言が無効となる典型的なケース
遺言が無効になる場合とはどのようなときですか?
遺言が無効になるケースには、遺言能力がない場合、法律で規定された方法に沿って作成されていない場合などが挙げられます。
遺言が無効となるのはどのような場合なのでしょうか。
遺言能力が無いとして争われる(認知症のケース)
遺言能力は、年齢が15歳を超えているか否かで割り切れるため、あまり問題になることはありません。 ですが、遺言能力の有無については判断基準が明確でないため揉める要因となる場合があります。 遺言は、人生の最終意思の表示であるため、高齢者に利用されることがほとんどです。高齢者の中には、認知症などを発症している人もおり、状態によっては遺産をどのように割り振るかなど複雑な内容を思考することが難しい場合もあります。
このようなケースでは遺言能力が無いと判断される可能性があり、遺言が無効になることがあります。 公正証書遺言を作成しても、実際に無効になった裁判例もありますので注意が必要です。
法律の要件を満たしていない
民法で規定されている要件を満たしていない遺言は無効になります。 公正証書遺言では公証人が気をつけながら作成しているので、法律上の様式を満たさないという事はまずありませんが、本人以外は内容を確認しない自筆証書遺言、秘密証書遺言においては、記載要件を満たしておらず無効となるケースが多くあります。 たとえば、自筆証書遺言には遺言の日付を記載する必要がありますが、日付を記載しなかった、あいまいな記載をした(よく挙がる例としては「◯月吉日」)ため、無効となるケースなどです。遺言が無効だと主張したいときにはどうすれば良いか

- 当事者間での話合いができないような場合には遺言無効確認の訴えをおこす
- 有資格者に任せるときには弁護士に依頼する
遺言書の作成日には、既に母は重度の認知症でした。遺言は無効だと主張したいのですが、どのように行えばよいのでしょうか。
話し合いで遺言無効の合意が得られないときには、遺言無効確認の訴えを起こします。
遺言が無効である場合にはどのような手続きを取るとよいのでしょうか。
遺言無効確認の訴え
遺言の無効について相続人間の話し合いで合意が得られず、無効の疑いのある遺言書に記載された内容で相続が行われそうな場合には、遺言無効確認の訴えを提起することができます。 相続に関する争いは家庭裁判所に調停を申し立てる場合が多いですが、遺言無効確認については地方裁判所に訴えを提起することになります。依頼は弁護士にする
遺言無効確認に関しては、訴訟代理であるため弁護士に依頼することとなります。 普段から懇意にしている行政書士、司法書士、税理士などがいる場合は、弁護士の紹介をお願いするのも良いかもしれません。まとめ
このページでは、どのような場合に遺言書が無効になるのか、無効を確認する方法などについてお伝えしてきました。 遺言書の内容が怪しいと思う場合には、遺産を使われてしまないように、なるべく早く弁護士に相談することが重要であるといえます。

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