遺言の内容は絶対なのか?遺言者本人と相続人が遺言の内容を覆すための方法を確認しましょう。
ざっくりポイント
  • 遺言の内容を遺言者本人が覆すための方法
  • 遺言の内容を相続人が覆すための方法
目次

【Cross Talk 】前にした遺言の内容を覆したいのですが…

私は2年前に公正証書遺言をしました。ただその時からずいぶんと事情が変わってしまいまして、遺言の内容を改めたいのですが、遺言を覆すようなことはできるのでしょうか。また、私がした遺言が相続人に覆されることはありませんか?

遺言者本人がした遺言の内容を覆したい場合には遺言の撤回という方法があります。遺言書も絶対というわけではなく、相続人・受遺者・遺言執行者全員が同意すれば遺言の効力は覆ります。

遺言を覆す方法は?遺言者本人がやる方法・相続人がやる方法

ある人が遺言をした場合、その人の遺産の分割については、遺言の内容が相続に関する民法の規定(法定相続分)に優先することとなります。 ただ、遺言者本人としては遺言をした後に事情が変わり、その遺言の内容で相続されるのは困るということもあります。また相続人にとっては遺言の内容そのものが好ましいものではないこともあります。 このような場合、条件次第では遺言の内容を覆すことができる場合があります。 遺言者本人による場合には遺言の撤回で、相続人による場合にはどのような主張をするかによって方法が変わりますのでそれぞれ確認しましょう。

遺言者が遺言の内容を覆す方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言者が遺言の内容を覆すための遺言の撤回の制度
  • 遺言を撤回したものとみなす規定について

遺言者である私が遺言の効力を覆すにはどのようにすればいいのですか?

遺言の撤回を行います。前の遺言は取消す、という遺言をするか、民法に規定されている条件を満たせば遺言の撤回とみなすことになります。

遺言者本人が遺言を覆す方法について確認しましょう。

遺言の撤回

遺言をすると、原則として民法の規定に優先して遺言の内容が適用されます。 ただ、遺言をした後に事情が変わることもあり、以前にした遺言の内容がそのまま適用されると困ることもあります。 そのような場合には、遺言の撤回を行います。

遺言の撤回をするためには、前の遺言を撤回する新しい遺言をすることが原則となっています(民法1022条)。 遺言を丸ごと撤回することも可能ですし、遺言の内容の一部のみを撤回することも可能です。 遺言の方式は同じでなくてもかまわないので、最初にした遺言が公正証書遺言で、後にした遺言が自筆証書遺言でもかまいません。

遺言を撤回したものとみなす制度

このほかに特定の行為により遺言を撤回したものとみなす制度がありますので、確認しましょう。 まず、二つの遺言が抵触する場合、抵触する部分について前の遺言は撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。

たとえば、A不動産を、最初の遺言では長男に、次の遺言では次男に相続させると規定しているとき、A不動産の相続について抵触しているので、一つ目の遺言の内容は撤回され、二つめの遺言の内容が適用されることになります。 また、上述の事例で、A不動産をだれかに生前贈与していた場合や、売却してしまった場合には、A不動産を相続させるということができなくなります。 このように、生前に遺言の内容と抵触する財産の処分があった場合には、遺言は撤回されたものとみなされます(民法1023条2項)。

作成した遺言書を遺言者が生前に破棄した場合、死後にその内容を確認することができなくなります。 そのため遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、遺言は撤回されたものとみなされます(民法1024条)。

なお、公正証書遺言を作成した場合、遺言者に手渡される正本・謄本を破棄しても、原本はなお公証役場にあるので、遺言を撤回したことにはならないことに注意をしましょう。 もっとも、これらの方法では、いかなる範囲で遺言が撤回されたかや真に撤回されたとみなすべきかがはっきりとしないことがあるため、遺言を覆したいのであれば、新しい遺言を作る方法によるのが安全です。 遺言の撤回・取消については「遺言書を書き換えたい!撤回・取り消しについての注意点」でさらに詳しくお伝えしておりますので、確認をしてください。

相続人が遺言を覆すための制度

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言で遺留分を侵害された場合の遺留分侵害額請求
  • 遺言の無効を主張
  • 相続人全員による遺言と異なる遺産分割協議

私がした遺言を相続人が覆すという方法について教えてください

遺留分侵害額請求や遺言の無効を主張、さらに相続人全員で遺言の内容と異なる遺産分割協議をすることが考えられます。

有効な遺言があるまま被相続人が亡くなると、その遺言が適用されることになります。 相続人がその内容を覆すための行動としては次の3つが考えられます。

遺留分侵害額請求をする

遺言や生前贈与があった場合に、法律で規定された遺留分を侵害している場合には、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をすることができます(民法1042条)。

遺留分侵害額請求は、遺言は有効としつつ、遺留分を侵害された人が金銭的な請求を行うものなので、厳密にいうと遺言を覆すわけではありませんが、金銭で遺産を取り戻すことが可能となるものです。 例えば、遺言で第三者にすべての財産を遺贈するとされている場合に、法定相続分の1/2(直系尊属のみが相続人である場合には1/3)に相当する金額を受遺者に請求をすることができます。

なお、情報を探していると「遺留分減殺請求」という書き方をしているものもありますが、これは改正前の古い条文に基づく情報です。被相続人がいつ死亡したかで改正前後のどの条文が適用されるかが変わります。 また、この遺留分侵害額請求は、1年という極めて短い時効制度があるので、請求をする場合には早めに証拠に残る形で請求をするようにしましょう。 遺留分侵害額請求については、「遺留分侵害額(減殺)請求権とは?行使方法は?時効は?」でお伝えしています。

遺言の無効を主張する

被相続人が認知症を患っていたような場合など、遺言があることが不自然な場合もあります。 遺言も法律行為なので、遺言をするためには意思能力が必要で、認知症の症状がすすんでいるような場合には遺言をすることがありません。

調べてみれば全く違う人が書いていたような場合もありますので、この場合には遺言無効確認をすることで遺言を覆します。 当事者間で話し合うことにはなるのですが、偽造してまで遺言書を作成するような場合に、話し合いで譲る可能性は非常に低いといえます。 そのため、遺言の効力を争う場合、基本的には遺言無効確認の訴えを起こすことになります。

なお、公正証書遺言については公証人が本人の状態を確認するため、遺言無効になる可能性は低いのが一般的です(もっとも、無効になったケース自体はあります。)。 そのため、遺言無効の確認をすることが多いのは自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合になります。 このとき、自筆証書遺言や秘密証書遺言は検認の手続きがあるのですが(民法1004条)、これは遺言の形状・内容について確定をするのみで、遺言を有効にするものではありません。

相続人全員で遺言の内容と異なる遺産分割協議をする

遺言がある場合でも、その内容が相続人全員が望まないものである場合があります。 このような場合にまで遺言の効力は絶対とするのは妥当ではないといえます。

そこで、相続人全員で遺言の内容と異なる遺産分割協議をすることで遺言を覆すことが実務上認められています。 第三者(受遺者)に遺贈がされているような場合や、遺言執行者がいるような場合には、受遺者・遺言執行者も同意をしていれば遺産分割協議で遺言の内容を覆すことができます。

まとめ

このページでは、遺言を覆す方法についてお伝えしてきました。 遺言についての内容は法律で決められているもので、それを覆す方法もまた法律で定められているなど、厳格なものになっています。 確実に遺言の内容を覆すためには、弁護士に相談をしながら行うようにしましょう。

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この記事の監修者

弁護士 玉田 誠一第二東京弁護士会
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