新型コロナウイルス感染症などにかかってしまって隔離をされている場合の遺言の方法
ざっくりポイント
  • 自筆証書遺言・秘密証書遺言は使えない可能性が高い
  • 一般方式で利用できる可能性があるのが公正証書遺言
  • 特別方式の伝染病隔離者遺言・死亡危急時遺言の利用も検討
目次

【Cross Talk 】夫が新型コロナウイルス感染症で入院。遺言をしておきたいと言っているのですが…。

夫が新型コロナウイルス感染症で入院をしています。幸い今はそこまで症状は重くないものの、報道などを見ていると急変するようなことも伝えられているので、万が一の時のために遺言をしたいと言っているのですが、どのようにすればいいでしょうか。

入院をしているということであれば、伝染病隔離者遺言を利用するのがいいかもしれません。無症状で隔離のためのホテルや自宅にいるのであれば公正証書遺言でもよいです。病状が非常に悪く遺言作成を急ぐ必要があれば死亡危急時遺言の利用を検討しましょう。

新型コロナウイルス感染症にかかってしまったときに遺言をするための方法

新型コロナウイルス感染症にかかってしまった際に、万が一に備えて遺言をする場合、どのようにすればいいのでしょうか。 一般方式の遺言である自筆証書遺言・秘密証書遺言については症状次第では利用が難しい可能性があります。 公正証書遺言を利用するか、特殊なケースの時に利用することができる特別方式の遺言のうち、伝染病隔離者遺言・死亡危急時遺言の利用を検討しましょう。

新型コロナウイルス感染症にかかってしまったような場合に使えない可能性のある遺言

知っておきたい相続問題のポイント
  • 自筆証書遺言は、自筆ができないと無効となる
  • 秘密証書遺言は、遺言書を自分で作ることができないといけない

遺言書にもいろいろ種類があるようですが、新型コロナウイルス感染症にかかっている場合に利用できなくなる可能性のあるものはありますか?

自書が必要な自筆証書遺言と、自分で作成することが必要な秘密証書遺言は、容態次第では難しいかもしれません。

新型コロナウイルス感染症にかかってしまった場合に、使えない可能性のある遺言について確認しておきましょう。

自筆証書遺言

後述するすべての遺言において証人や立会人を必要とするのに対し、自筆証書遺言は証人や立会人が不要なので、新型コロナウイルス感染症にかかって病院や隔離施設にいるような場合でも利用することができます。 ただ、自筆証書遺言は「自書」が不可欠ですので(民法968条1項)、容態が安定していて遺言書を自分で書ける状態であれば可能なのですが、自書できないような状態になっているときには利用することができないので注意が必要です。

作成時には捺印が必要なのですが、急な遺言をすることを考えると、極端な話三文判でもかまいません。しかし、遺言を巡って争いになることを避けるためにも、なるべく実印を利用すべきです。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言書を自分で作成した上で、公証人・証人2人以上の前で封印する手続きが必要です(民法970条)。パソコン等で作成してもかまわないのですが、自分で作成する必要があるので、容態次第ではやはり作成できない可能性があります。

作成さえできれば、公証人・証人については、公証役場に出向くことができない場合には費用がかかりますが出張してくれます。ただ、公証人・公証役場も新型コロナウイルス感染症対策のため、通常と違う業務体制になっていることもありますので、すぐに訪問をしてくれるとも限りませんので注意しましょう(防護服の調達・日程の調整などに時間がかかる可能性があります)。

公正証書遺言

遺言者が公証人に口授(直接話して伝えることができる)という状態であれば、公正証書遺言を検討しましょう。 公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言を口授し、これを公証人が筆記し作成するというもので(民法969条)、現実には公証人と事前にやりとりをして、作成日に公証人と最後の確認をして作成します。 自分で作成できる状態でない場合には、弁護士などに依頼し公証人とやりとりをしてもらうことで、上述のように公証人に来てもらうことができます。

ただし、上述した通り、公証人が実際に病院や隔離施設に出向くためには時間がかかる可能性があり、容態が急変すると報じられている新型コロナウイルス感染症に罹患している場合、時間がかかりすぎるようであれば別の手段も考えましょう。

新型コロナウイルス感染症にかかってしまった場合に利用する遺言書

知っておきたい相続問題のポイント
  • 伝染病隔離者遺言
  • 死亡危急時遺言

新型コロナウイルス感染症にかかってしまっている場合に利用すべき遺言書はどれでしょうか。

特別方式の遺言について確認をしておきましょう。

新型コロナウイルス感染症になってしまった場合で、自分で遺言書を作成するのが難しい、なるべく早く遺言書を作っておきたい、という場合にはどのような遺言があるのでしょうか。

伝染病隔離者遺言

以上の3つの方式の遺言は通常方式と呼ばれるものですが、緊急時では上記3つの遺言を利用できない可能性があります。 このような緊急時に備えた特殊な遺言の方式として、特別方式という遺言の仕方があります。 その中の一つが伝染病隔離者遺言(民法977条)です。

民法977条は、

  • 伝染病のため行政処分によって交通を絶たれた場所にある者
  • 警察官1人証人1人の立会いをもって遺言書を作る

としています。 この条文のもとになるものは明治期に出来た民法であるため、伝染病によって交通を絶たれた場所にある、という規定をしていますが、一般的に自由な行動を制限されている場合には本条による遺言ができるとされています。

そして、新型コロナウイルス感染症は、「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」によって「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」における指定感染症に指定されており、感染症法19条3項によって入院させることができるとしています。

そのため、この方式での遺言の作成が可能であるといえます。 実際には、弁護士に依頼をして、文案を作成してもらい、文案が出来次第、遺言者・証人となる弁護士・警察官で遺言書に署名・捺印することになります(民法980条)。 また、新型コロナウイルス感染症から回復して通常の遺言ができるようになったときから6ヶ月経過した場合には効力を生じないとされています(民法983条)。

死亡危急時遺言

現在非常に容態が悪いような場合には、死亡危急時遺言(民法976条)の利用も検討しましょう。

民法976条は

  • 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者
  • 証人3人以上の立会い
  • 証人の一人に遺言の趣旨を口授
  • 口授をうけた者が筆記
  • 筆記した者を遺言者・他の証人に読み聞かせ又は閲覧させる
  • 各証人が筆記の正確なことを承諾した後に署名・捺印をする
  • 遺言の日から20日以内に家庭裁判所に請求して確認をする

以上の要件で遺言書とすることができる旨を定めています。

証人が3人以上必要で、相続人は証人になれないので、遺言書作成を依頼した弁護士・弁護士の秘書・同じ事務所の弁護士などにそのまま証人になってもらうのが良いでしょう。

まとめ

このページでは、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の遺言についてお伝えしてきました。 自筆証書遺言で作成できればいいのですが、容態が悪い場合には別の手段も検討することになります。 弁護士に相談して、素早く適切に遺言ができる体制を整えるようにしましょう。

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